表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕ちた英雄騎士  作者: CSS
第4章タイナノド平原の戦い
46/84

39話圧倒

タイナノド平原が、全て見渡せるところでおれは、

戦場を観察していた。

(魔族の目的は、リターナーとパナウェイの共倒れ。

だとしたら、この戦場に来ている可能性は極めて

高い。)

しかし、これだけの数がいる中で魔族を捜すのは

困難だろう。

(戦場を影から見ていると思って捜してみたが

そのような者は、いなかった。ということは

この戦場に参加しているのだろう。)

見てみると、パナウェイ軍の兵が押し負けている。

(戦況は、パナウェイ軍が圧倒的に不利か。)

ここで、パナウェイ軍が負けてしまうと今だにいるで

あろう仲間たちに危険が及ぶ。それだけは、何とか

回避しなければ。

(しかし、ここでリターナーを殺せば、魔族の

手助けになってしまう。さて、どうするか・・・)

戦場の東側に目をやるとパナウェイ軍のグループが

孤立し始めていた。

(・・・仕方ない。一時、加勢してから魔族を

捜すか。)

考えたすえにパナウェイ軍に加勢することを決める。

孤立しているグループを見て詠唱を始める。

「あらゆる物を無に変えよ。」

『ダークフープ』

『ダークフープ』で孤立しているグループのところ

まで、一気に転移する。

「何だ!お前は!?」

グループを指揮していた虎獣人の男が、剣をおれに

向ける。よく見ると、いたる箇所に怪我が

出来ていた。

「安心しろ。味方だ。」

「そんなこと信じられるか!!」

敵ではないことを伝えたが信じて貰えないようだ。

「きさまが、信じるか信じないかはどうでもいい。」

そう言って、前方を見る。おれが、突然現れたことによりかなり動揺している。

「ええい!落ちつかんか!!敵の数が1人増えようが

我らの勝ちは確定している!」

馬に乗った隊長らしき男が兵たちの動揺を鎮める。

「何グズグズしてる!?さっさと亜人共を殺しに

行かんか!!」

「クソ!!こうなったら最後に1人でも道連れに

してやる!!」

「立派な決意を固めているところ悪いが、きさまらは

撤退して貰うぞ。」

「ふざけるな!!お前は、おれに生き恥を晒せと

言うのか!!」

「ここで、無駄に死なれてはこちらも困る。

悪いことは言わんから撤退しろ。」

「断る!1人の軍人、いや、1人の獣人としてここで

撤退しては、国にいる同胞に顔向け出来ん!!」

説得を試みたが、まるで聞いてくれない。

「・・・わかった。おれが、あいつらを何とかする。

だから、撤退してくれないか?」

魔族の手助けになってしまうが、ここでさらに

パナウェイに被害が出るとこっちも困る。

「何だと?そんなこと出来るのか?」

「あぁ。その代わりおれの邪魔をしなければな。」

「・・・いいだろう。ただし、出来なければ

その場で殺すからな。」

「構わんよ。」

虎獣人は言質をとると仲間たちに下がるよう命令

する。おれは、前方にいるリターナー軍を見据える。

「突撃ーーー!!!」

隊長の号令で兵士たちが前進してくる。

「あまり、ヒトを殺しにたくないが仕方ない。」

おれは、ヒトを殺す覚悟を決めある魔法を放つための

詠唱を始める。

「終わりが、見えぬ大地よ。全てを飲み込み、食し

平らげよ。汝は母なる大地なりて命を食い尽くす

悪魔なり。」

地面に手をつけて放つ準備をする。先に騎馬隊が

先進しておりあと数秒でこちらに来るだろう。

「悪いな。『グランブルブレイカー』」

手をつけた場所から大きく地面が裂けていく。

騎馬隊と後ろにいた兵たちは裂けた場所から

真下に落ちていく。途中で、止まろうとした兵も

いたが、後ろから押され落ちていく。

そして、おれたちに向かってきた兵の9割が

地面の下に消えていった。

「何だよ・・・これ。」

「こんなの!上級魔術でも不可能だぞ!!」

「ありえねぇ。ここまで地形を変えるなんて・・・」

「化物だ・・・。」

兵たちが怯えている間に影からノートゥングを

取り出す。

「死にたい奴は、前に出ろ!!」

ノートゥングを向けて大きな声で言う。

「ヒィ!」

「あいつに勝てるわけがねぇ。」

「死にたくない!」

周りにいた兵たちが次々に手放して我れ先にと

逃げていく。

「これでいいだろう?」

「あっあぁ。大丈夫だ。十分だ。」

「そうか。だったら速く撤退してくれ。」

「わかっているが、お前は?どうする?」

怖がっているのを、隠しているような顔で

聞いてくる。

「おれの標的は、まだ先にいるようだからな。

行ってくる。」

「わかった。気おつけてな。」

「お互いな。」

そして、男は、生き残った仲間を連れて撤退

していく。

「さぁ。まだヒトを殺すことになりそうだ。」

戦場で唯一誰もいないところで1人でに呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ