3話ふたりは向かう
グレンとリーザたちが洞窟からの一件から1日がたっていた。現在、グレンたちは鬱蒼に生い茂る森の中を歩いていた。
「・・・グレンさん」
「・・・なんだ?」
「ここって、魔物が集まる"ウィジャの森"ですよね?」
"魔物"それは獣などが死ぬ前に残した怨念によって生まれ変わった化物。その力は凄まじく、獣だった頃とはくらべものにならないほどに高まる。そして、魔物は人を優先的に狙うため危険生物とされている。ここウィジャの森はそんな魔物たちが蔓延る危険地帯である。
「だったら何だ?」
「いやいやいやいや!何で街道を進めばいいのにこんな、危険な場所を進まないと行けないんですか!?」
「貴様の為だ。」
「私の?何で!?」
「貴様は死にたくないんだろ?だったら、力をつける必要がある。力があれば生き残れる。この世界は力無き者には厳しいからな。」
「だとしても!」
「少し、静かにした方がいい。ここは魔物の住まう森だ。そんな声を・・・・」
グレンは言葉を途中で止め立ち止まり辺りを見渡す。辺りは静かに風で揺れる木々の音が響く。
「手間が省けたな。」
「グレンさん?」
突如、茂みの奥から黒い影が飛び出しグレンの喉に飛びつこうとする。グレンは右手で影を掴み地面叩きつけた。
「ひぃ!!」
それは、犬の形をした魔物だった。歯は不整列に並び、二本生えている鋭い犬歯には血管が脈だっている。
「こっこれは・・・?」
「カースドックだな。犬が魔物化した魔物だ。この犬歯についている毒は猛毒で皮膚が焼けただれ激痛の中で死にいたる。こいつらと闘う時はこの犬歯に気をつけろ。あともう1つ・・・」
グレンが全部言い終わる前に周りの茂みから数十匹のカースドックが2人を囲う。
「こいつらは集団で狩りをするんだ。」
「いや、どうするんですかこれ!!囲まれちゃってますよ!!」
「うるさい奴だ。少し静かに出来ないのか。」
カースドックは次々とグレンとリーザに襲いかかる。
「来いノートゥング。」
グレンがそう言葉を発すると影から大剣が現れる。グレンはノートゥングの柄を右手で掴みカースドック2匹の腹を切り裂いた。カースドックから出る腐りかけの腸から放たれる汚物と腐った食べ物の匂いが合わさったような匂いはリーザが、顔をしかめるには十分だった。こうしている間にもグレンはカースドックを次々とただの屍に変えていく。
「グルキュオ!!」
1匹のカースドックが声帯が腐ってろくに音が出せないなのか歪な鳴き声を上げながら背後からグレンの首めがけて飛びかかる。