22話家族
パナウェイの街は、城を中心に扇状に
広がっている。これは、簡単に
攻められないようにするためだ。
「うわ〜。グレンさん!いろんな
亜人が、いますよ!!」
「・・・獣人の国だからな」
「あ!あっちに見たことのない食べ物が!
ちょっと行ってきます!!」
「落ち着け」
リーザの服を掴み抑える。パナウェイに
入ってからリーザの行動が子供並みに
なっていた。興味があるのは、わかるが
自重してほしい。
「ハハ。それだったら私が案内するよ。」
「いいんですか!?」
「あぁ。いいさ。グレンさんも
いいでしょ?」
レンズが、おれに許可を求める。
「別に、かまわん。好きにしろ。」
「了解。正門の近くに宿があるから夕方に
そこで、集まるってことで。」
「さぁ、早く行きましょう!レンズさん!」
「ちょっと。走らなくても何も
逃げないわよ」
人混みのなかに走しっていたリーザを
レンズが追いかける。
残ったのは、おれとハナの2人だ。
「・・・丁度いい。ここで、
終わらせとくか。」
「何が?」
ハナが、おれに聞いてくる。パナウェイに
「お前の弟がいるところに案内しろ。」
「・・・え?」
「いいから、さっさと教えろ。」
「・・・あっうん。コッチ・・・」
ハナは、何が起きているのかわからないまま
案内をする。
数十分ほど、歩くと街並みは徐々に消えて
いき廃屋が軒並み並んでくる。
さらに、歩き続けると1つのボロ屋に
辿り着く。
「ここです。」
そう言って、扉を開ける。
中は、テーブルと椅子しかない。そして
椅子に座っている老婆が1人いた。
「・・・ハナ!」
「ただいま!お母さん!」
2人は、抱きしめ合う。
「あぁ!ハナ!良かった!!
無事だったんだね!」
「うん。この人に助けて貰ったの。」
そう言うと、ハナの母親がこちらに
顔を向けた。
「ハナの母親のランサラです。この度は
娘を助けていただいて、ありがとう
ございます。」
母親が、お礼を言ってくる。
「グレンだ。お礼は、いらん。
それより弟を見せろ。」
「うん。この奥の部屋だよ。」
奥の部屋にハナが案内する。
部屋には、ベッドで寝ている6歳くらいの
子供がいた。
「姉ちゃん!」
「タンバ!元気だった!?」
言葉を交わして、また抱きしめ合う。
数秒抱きしめた後、弟がおれに気づいた。
「姉ちゃん。この人は?」
「この人はね。私の恩人であなたに
会いたいって、言うから連れて来たの。」
「僕に?鎧のお兄さん。僕に何の用事?」
おれは、簡潔に答える。
「足を、見せてみろ。」
すると、弟の顔は暗くなっていく。
「ごめんなさい。僕の足は無いんだ。」
「そのことは、聞いている。いいから
足を見せろ。」
「うっうん。」
頷いて、毛布を取る。そこには、膝の先から
無くなっている両足があった。
「見せたよ。どうするの?」
「こうするんだ。」
そう言って詠唱を始める。
「万物の理を破壊しその身に現せ。」
『リジョイン』
両足の膝から先が徐々に戻ってくる。
数秒のうちに、タンバの両足が元に戻る。
タンバが驚愕を表す。
「最初のうちは、歩けんが練習すれば
前のように歩けるはずだ。」
「うわ!戻ってる!!戻っているよ!!
姉ちゃん!」
「あぁ。神を。この奇跡を感謝します!」
2人が、嬉しがっている間に部屋を
後にしようとするが
「待って!!」
ハナがおれを止める。
「何だ?」
「・・・どうして?私に教えてくれ
なかったのにどうして!」
「別に、お前に教えるよりおれが、直接
やった方がいいからな」
「でも!それじゃあ!?」
「うるさいぞ。さっさと家族のところに行け
・・・家族は大切にしろ。」
「!?」
「今日は、久しぶりの再会だ。楽しめ。」
そう言って、おれは立ち去る。
「グレンさん。ありがとう。」
ハナが、泣きながらお礼を言ってくる。
おれは、それを背に浴びながら歩く。
まったく、慣れないことをするもの
じゃない。




