19話暴食の魔物
目の前に、現れたのは『異形』とも言える姿をした魔物だった。あまりの巨大でおれたちが、虫程の大きさにあいつは、見えるだろう。そして、その巨体を泥のような皮膚で覆われており、そこから覗く赤い目が、おれたちを見下ろしてくる。
「・・・何、こいつ・・・。」
「こんな、魔物見たことない。・・・」
亜人2人が、驚愕している。無理もないおれも驚きを隠せない。
「どうやら、こいつがここら一帯の魔物が増えたことやこの村を襲った正体らしいな。」
魔物の皮膚が3本鞭のように伸びおれたちに、襲いかかる。おれたち3人はそれぞれの方向に避ける。
「グレンさん!リーザが!」
ハナの言葉におれは、リーザを見る。リーザは、あそこから一歩も動いていなかった。恐怖で身体が動かないようだ。魔物の皮膚がリーザにも襲いかかるが、リーザは動かない。
「あいつ!」
リーザのところまで走り、魔物の攻撃を大剣で捌く。
「早くさっさと下がれ!!死にたいのか!?」
捌きながら、リーザに叫ぶ。
「あっあ・・・」
リーザは、放心しているのか、おれを見るだけで動こうとしない。魔物が、皮膚をもう1本、伸ばしさらに攻撃が激しくなってくる。ハナやレンズも自分たちにくる攻撃を防ぐので手一杯でこちらを援護する余裕が無い。
「早く!!」
もう一度、叫びようやくリーザが後ろに下がる。リーザが、徐々に下がるたびにおれも、捌きながら後ろに下がりながら詠唱する。
「荒ぶる火の元の者達よ。その炎をつかい敵を燃やし尽くせ。『インフェルノダウン』」
ヒトより一回り大きい火の玉が魔物に向かって放たれ直撃するが、ダメージは無いようだ。
(火の上級魔術でもダメージなしか・・・なかなか硬いな。)
さて、どうすか・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、ただ見ていることしか出来ませんでした。ハナさんやレンズさんもら動けずにグレンさんの魔術も効かなかったみたいで今は、魔物の攻撃を私から守るのに徹しています。
(今、攻撃出来るのは私しかいない。・・・でも怖い。足が動かない・・・)
私は、グレンさんを見ます。今も、私から攻撃を防いでいます。
(・・・もう、守られるだけなのはイヤだ。私も、戦える。)
そう思うと恐怖は徐々に消えていき、足に力が入ってきます。
(今度は、私が守る!)
双剣を構え、魔物に向かって走り出します。
上からの攻撃を、右に避け横からくる攻撃を上に飛んで走り続けます。
『放たれてから避けるんじゃ遅すぎる。放つ前に避けろ。相手の動きをよく見ろそして予測しろ。』
初めての修行の時にグレンさんに教えてもらった時の言葉を思い出す。最初は、無理なことを言うと思っていたけど今なら、わかる気がします。私は、魔物の動きを見ます。
(・・・わかる。魔物動きが手に取るよう見える。・・・これならイケる!)
攻撃を全て避け、遂に魔物の身体にたどり着きます。
「はぁぁぁぁぁ!!!」
双剣に魔力を籠め、斬りつけます。
「ブモォォォォォォォォォォォ!!」
魔物から、悲鳴が鳴き響きます。もう一度、斬りかかります。
そこには、『ヒト』がいました。
「痛てぇよ。痛てぇよォォォォ」
皮膚が、裂けたところから男のヒトが声をあげます。私は、攻撃を止めました。
「何をしている!攻撃しろ!!」
グレンさんが私に言ってきます。
(できない・・・私には、無理・・・)
この瞬間に魔物の攻撃が私に、向かってきます。
(・・・しまった。避けれない!)
気付くのが遅れもう目の前に迫ってきていました。
(あぁ。ここで死ぬんだ・・・。グレンさんごめんなさい・・・)
いくら待っても痛みは来ませんでした。おそるおそる目を開けると
「・・・このバカが・・」
身体を貫かれたグレンさんが私の前に立っていました。




