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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第1章 チェンジリング
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第7話 初めての戦闘! ファーストコンタクト犬耳お姉さん

 ソレをどの様に表現して良いか迷う。ペンペン草が蔓延る地面から、球根を頭に乗せたウサギが顔を出している、そのまま見たままだ。球根ウサギはこちらを見ている……


『フェイクラビッツ』


 簡易鑑定が敵の名前を教えてくれる。おそらくその姿形をした生き物がラビッツと言う生き物だと思うが名前の前にフェイクが付いている。頭に思い浮かんだのは、深海の海底で疑似餌を出して待ち構えるアンコウさんだ。

 これは絶対罠だ! でも1km出ていないのに何故? フェイクラビッツは動かないようなのでもう一度コピペ用紙を確認する。


 ん? 気が付かなかったけど裏にも何か書いてある。


 開始地点は周囲1km以内には敵性生物が存在しない安全地帯=どこにもずっと安全とは書いてないby天使


「OK天使よありがとう、謎は全て解けた!」


 つぶやきながら周囲に武器になりそうな物が無いか探す、目が合った。

 フェイクラビッツが増えている! 何時の間にか10m感覚で間を空けたフェイクラビッツ六匹に囲まれていた。


 武器は無い、素手で殴る? いやいや、蹴った方が強そうだ。思い立ったが吉日一番近いフェイクラビッツを蹴ろうとしてすぐに考え直す、素足で蹴って怪我しないかな?


「天使の無茶に気を取られすぎて忘れてた! 攻撃力1しかないよ! 武器も無いし裸足だし終わった!?」


 半ばヤケクソで手近なフェイクラビッツを蹴り飛ばす。面白いほど綺麗な放物線を描きながら飛んでいくフェイクラビッツ、思わず何も考えずに他の五匹も蹴り上げる。


「全然強くないし地面に刺さってただけでアンコウさんじゃなかったよ、一発で倒せるとか攻撃力って何? まぁ気にせず【解体F】発動!」


 フェイクラビッツが淡い光に包まれその場に毛皮と肉が残される。地面に直で肉が出た! 解体する場所はちゃんと考えないとダメだね……

 蹴った場所が悪かったのか、少し足が痛かったので回復も試してみる。


「【治療F】」


 手を足に近づけたりせず立ったまま一言、治療と唱えると足の痛みが引いた。これは自分の回復なら言葉に出すだけでいけるみたいで便利だ。MPが2減っている、解体で1治療で1だとすると恐ろしいほど省エネだと思う。


 フェイクって結局何がニセモノだったのだろうか?


 六匹倒したけどこのまま帰るのでは勿体無い気がするので森の様子を窺う。追加で解体して手に入れた毛皮を足に巻きつけて靴の代わりにしする。よし、大丈夫だ問題無い!



 鳥の鳴き声と風がペンペン草をゆする音しかしない中、恐る恐る森へと入っていくのだった。




 ――∵――∴――∵――∴――∵―― 




 森へ入って直ぐに、真っ赤な林檎が沢山生る木を発見して小躍りしそうになる。簡易鑑定していけそうなら食べてみたい! 異世界産林檎


『アプの実』


 林檎じゃなかったけど多分食べれる。木の様子を遠くから窺うと、落ちているアプの実を目が大きいリスがかじっているのが見えた。


『大き目リス』


 簡易鑑定からもたらされる情報は案外重要じゃないのかもしれない。大き目リスが食べ終わり離れて行くのを見届け手近な枝からアプの実を三個ほどもぎ取る。一度で良いから取ったばかりの果実を服で拭いてかじって見たかったんだよね! 頂きます。


「う、うまい! 思ったより酸味が強いけど濃厚な甘さの果汁があふれる、後味がすっきりな自然の甘さだ」


 これは水分補給にもバッチリだ。毛皮を結んで作った手提げに入れて持って行こう。


 しばらく森を散策するも敵が現れない、ふと簡易アイテムボックスを試したくなる。

 毛皮の手提げを二個とも入れてみる事にした。(二枚を結んで作った手提げで片方は肉入り)

 スマホを出し手提げを入れようと思ったら手提げが消えた。一瞬何が起こったのか判らずスマホを見ると簡易毛皮の手提げ(肉入り)・簡易毛皮の手提げ(アプの実入り)と表示されていた。

 言葉に出さずに手に持った物を一瞬で収納できるみたいだ、これは悪い人が使うと泥棒し放題なんじゃ?

 ついでに消費MPも調べようと思ったが出し入れしても一向にMPが減らない、スマホの電源表示が〇%になった時にまた試す事にして簡易毛皮の手提げ(アプの実入り)を出し手に持つ。次は昆虫でも捕まえて入るか実験しないとね!


 色々な木々が生い茂る道なき道を進んでいると30cmは有るビックリサイズのバッタが倒れた木を食べている場所に遭遇した。


『木食いイナゴ』


 木食いって言うくらいだから草食だと思われる、食事風景を遠くから監視しながら計画を立てる。

 後ろから近づいて後ろ足の爪? に触れて簡易アイテムボックスに瞬間収納する、もし収納できなかった場合は木々を盾に来た道を逃げる。

 よし、これで行こう。イナゴが木をかじる音が凄まじく足音とか考えなくて良い事が救いだ。


「木食いイナゴゲットだゼ!」


 あっさり捕獲出来て拍子抜けする、簡易アイテムボックスはまさかの生き物を捕獲できるチートアイテムだった!

 あっ、一応ちゃんと生きてるか確認しないとね。スマホを地面に向けてイナゴを出すと考えた瞬間イナゴは何事も無かったように出てくる、また先ほどの木まで歩いて行き食事を再開していた。


「チートアイテムボックスゲットだゼ!」


 二つまでと数が少ないけど数の不利を補って余りある性能だと思う。女神様本気(マジ)感謝!

 あと気になる事は容量だ、こればっかりは大きい物が無いので試せないかな……まてよ?

 生えている木とか埋まっている岩とか入れたらどうなるんだろう、さっそく試して合点。

 側に生えている木に手を当てて収納しようとしてみるが何も反応が無い、地面に根が埋まってるからダメなのかな?


 次は埋まってそうな岩を探す、幸いにも少し森の奥へ進むと大きめの岩を発見した。

 蹴ってもビクともしないのでそれなりに良い埋まり具合だと思う、まぁ駄目元だしさっさと試そうか。

 岩を収納と考えた瞬間、視界が暗転し全身に激痛が走る。


「体が痛い特にお尻が痛い……【治療F】尻餅付いたみたいだけど目線の高さがおかしい、何で地面より下が見えてるんだろう」


 すぐに治療と唱え回復し、1mくらいの落とし穴(天然)から這い上がり穴の側に岩を出してみる。岩の形と穴の大きさ形が大体一致する、これは収納出来たみたいだ。

 結果としては上々だけど対価を支払う羽目になった。地面の下が柔らかい土じゃなかったらお尻が割れてたね多分。



 大分時間が経った、スマホで時間を確認するとあと三〇分で六時間経つのでもうすぐ転送されるはずだ。そろそろ安全そうな場所を探して転送待ちでもしようかな?

 フェイクラビッツ以来明確な敵が現れてないし別にここら辺でも良いかもしれないけど、一応見晴らしが良い場所に陣取った方が安心できる。



 ふと水の流れる音が耳に入る、水音の聞こえる方向へゆっくり進むと小さい池? を見つけた。水なら容量の限界を見定める事が出来るんじゃないかな?

 風で少し水面がゆらゆらしているけど、どこか川に繋がっている様子は無い。試すには持って来いかもしれない?

 思い立ったが吉日、水面に手を浸けて水収納と考えると一瞬で池が干上がる。水の無くなった池で魚や植物がピチピチ跳ねている!


『ピチピチピーチ』


 あの植物美味しそうな名前だ! でもさすが異世界? 植物がピチピチ跳ねるとは。


「ヤバイ! 早く戻さないと」


 思わず声が出る、スマホから水全部出ろと思ったら目の前1mくらい先から水が凄い勢いで池へと注がれていく。スマホから直接じゃなく1mくらい離れているのは安全対策なのかな? 水が出終わったと思った瞬間その声は響いた。


「ぱけら!」


 振り返ると背後には真っ白な長髪?毛並み?の犬耳わがままボディーのお姉さんが全裸でこちらを見ている!

 それだけならパラダイスだった……右手に2m近いクレイモアを持って居なければ。


「悪気は無かったんです! ちょっとした実験のつもりだったんです! 水は戻しましたから許してください!」


 美人さんが柳眉を逆立てて怒っていたのでとっさに謝ってしまった。体が濡れていると言う事は水浴びしてたのかな? ついつい視線が下へ下へ……


「ぱけら!!」

「ごめんなさいぃぃぃぃ!」


 思わず後ろへ走って逃げる、追って来る犬耳さん! 結構なスピードが出ているのに振り切れない!

 後ろを振り向くとそこには天国の様な光景が広がっていて、思わず見つめそうになりながらも全力で逃げる!

 後ろを振り向く、逃げる。後ろを振り向く、逃げる。

 何やってんだと思うだろうけどこれは男のサガだ! ごめんなさい……馬鹿なやつと思って許してください!

 だってオッパイが……ぶるんっぶるんっすっごい光景が!


 距離がだんだん近づいてきた、体力の差か……犬耳さんはクレイモアを何時の間にか捨てて、舌なめずりしながら凄い勢いで追って来る!

 全力で逃げたせいなのか犬耳さんの野生のスイッチを入れてしまったみたいだ! 逃げる獲物を追うハンター!

 前方に大きな岩が見える、あの岩を曲がって一瞬でも気を逸らせたら……! アプの実入りの手提げを収納して変わりにフェイクラビッツの肉が入った手提げを取り出す。後ろに向かって弧を描く様に高く投げる。これで手提げに注意がいってくれると助かる、投げてすぐ後ろを振り返ると2m以上のハイジャンプで手提げを咥える犬耳さんが居た!

 岩を曲がった瞬間浮遊感を感じると同時に上空へと飛び上がる。ふわりふらりと上昇していく、時間だ助かった。

 下を見ると岩から少し離れた場所で犬耳さんが周囲を見回している、諦めたのかトボトボと歩いて戻っていく様子が見えた。


「ごめんなさい。もし次会えた時はちゃんと謝ります」


 そっとつぶやいてまたふわりふわりと大気圏を突破しそうな高さまで飛んでいくのだった。

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