第67話 爆走うちのラビッツ達?まさかの……!
リトルエデン本拠地から何とか出発したノアの箱舟は、町中を走る間も静かに振動すらなく快適な乗り心地を提供してくれていた。かなり道幅ギリギリで人目に付き、通りに面した民家の軒先を結構削ったかもしれないけど。メアリーが後で地上げするから平気と言っていたのにはビビル。
静かに進むノアの箱舟が本領を発揮したのは東門を出てからであった。
ちなみにノアの箱舟はアヤカが名付けたこの亀甲ラッセル戦車の名前だ。
東門から外に出て何故か木々が一直線に切り倒されている道の隣に、走り始めたノアの箱舟が新たな道を作っていく。
「これやばい! なんでキャタピラなのにこんな静音で振動が無いの? ロストテクノロジー的な何かが使われているの!?」
一人テンションMAXでハシャグ子供が居る……ボクなんだけどね!
キャタピラはアヤカが何か細工したみたいで、驚くほど衝撃を吸収しラビッツ達の走り回る脚力にも負けず軋み音すらさせていない。
「内装もここだけ二一世紀すぎる! 快・適・空・間!」
ノアの箱舟の内部はアヤカの指示でロニーとミリーにより内装が整えられていて、大人が三人座っても余裕がありそうな緑色のリクライニングソファーが左右に五列備え付けられていたり、天井から吊り下げ式のテーブルが降りてきたりする。
中央の縄梯子を上ればロフト的な空間が有り、ロフトの天井の蓋を空けると屋根の亀甲部分から顔を出せるみたいだ。ロフトも皆で固まって眠れるくらい広さがある、ノアの箱舟の中で一番硬い部分らしいので安心して眠れるね。あとすぐに天井から顔を出し周囲を警戒できるのもポイントが高い。
リクライニングソファーはやはりプテレアの擬態で分裂した分体が制御を行なっているらしい、本体から離れても大丈夫なのか疑問に思ったけどボクの魔力が近くに有る限り問題無いみたいだ。魔力が切れると萎れて再度魔力を補給するまで壁に引っ付いて使えなくなるとか。
ソファーに座ると30cmほどの円形の窓から外の風景を観察出来る、恐ろしいスピードで流れていく景色と飛ぶ木を……
「早過ぎワラタ! 時速何キロ出てるのかな! 面白いように木がすっ飛んでいくよ!」
ノアの箱舟内に入る出入り口はラビッツ達が固定されている場所の少し後ろに有り、御者台? は一番前の巨人の盾の後ろに設置してある。豪華なシールド付きの席に座って進む方向など決めるようになっているみたいだ。
乗る前に不安になった木々を薙ぎ倒す時の衝撃は、結界無しだと少し振動が有るのでボクが結界を馬車全体に張り運用する事にして解消された。切れた木の行方は、くの字になった巨人の盾のおかげで左右に流れ綺麗に道脇に積み上がっていくようになっているので問題無い。
「後部座席の後ろに小さい部屋が一室付いてると思ったら、ここは冷蔵スペースにする用か!」
前方から内部に入って突き当たり、一番奥には二畳くらいの個室がついておりボクの【空気調和】を使えば冷蔵庫として利用出来るようになっている。思わず『アヤカグッジョブ!』と叫んでしまった。
惜しむべくはトイレが付いてない事くらいだろう。
「はぁ、はぁ、年甲斐も無くはしゃいでしまった……はぁ、はぁ、何か息苦しくない? あれ? 目が回る……」
はしゃぐボクをスルーして静かに待機していた皆は、突然のボクの豹変振りに驚き立ち上がろうとしてソファーに手を付いた。
おかしい、何か息苦しい、窓を開けないと……ん? 開かない。
「もしかして、酸欠じゃ……」
アヤカがそう言い前方の扉を開けると幾分か楽になった。一応結界が張ってあるので扉を開けっ放しでも問題無い、でもこの馬車……見た感じ通気口と呼べる隙間が無いような?
「まさかの密封空間……」
恐ろしい……何が恐ろしいかと言うと設計の段階で完全密封式にしているのはまだ良い、木造なはずなのに空気が入り込む隙すらない建造技術が怖い。ロッズはユニーク職業に就いてから建築技術が一段上のステージに上がったのかもしれない。
「一番後ろの席の窓に細工してメッシュ状にするね~」
「「「「「「えっ?」」」」」」
皆同時にボクの方へ振り向き疑問の声を上げる。ボクは起きてからこっそり奈落の穴の壁を分解して補充しておいた炭素を使い、窓にはまっている硬虫の羽ごと結界に覆い何重にも結界を重ねその場でメッシュ状のダイヤの窓ガラスを即席で作り出す、その間僅か五秒――気のせいか出力が上がってる気がする。
「今……とんでもなく濃密な魔力が振りまかれたような気がするんだけど? カナタ何したの? アヤカ思わず泣きそうになったわよ……」
室内前方を振り向くと全員何故か涙目でこちらを見ていた。何かまずい事したっけ?
「大げさな~ちょっと窓ガラス? をダイヤメッシュ仕様にしただけだよ?」
「な~んだ……カナタ今いくらMP使ったの?」
青ざめたアヤカが聞いてくる、それほど力を使った気がしないけど一応見ておこうかな?
「ステータスオープン!」
レベル:1001[282+18+701]☆☆☆☆
HP :1783/1783[500+282+1001+☆]
MP :12310/13830[100+282+1001+☆]
ふむ、MP1520も使ったのか……ん?
「アヤカ先生! MPっていきなり一桁増えたりするんですか? いつの間にかMP13830になってるんだけど?」
「普通増えないわよ……七日間も【魔力の源泉】使いっぱなしだったから強化されたんじゃないの? アヤカは初めて聞く症状だけど、規格外なスキルだしカナタだから増えても驚かないわよ?」
「そうやね、うちら増えても全然困らへんで?」
「何を今更……調薬する時間が惜しいと言うのに、連れて来られた方が問題です」
今更それがどうしたのって感じのアヤカに安定のルナ。マリヤは久しぶりに地上に出たと言うのに不満たらたらだ。三食昼寝付きでずっと調薬していたいとかどんだけ調薬好きなの!
「カナタお座り」
「え?」
気のせいかメアリーがお座り……って言った?
視線を前方に向けると苛立ち気に尻尾を振るうメアリーと目が合う、何か怒ってらっしゃる?
「あと操縦席だけでも、ほらもうすぐ着くんじゃないの? その前にちょっとだけ……」
「「「「「「……」」」」」」
何だこの沈黙、全員の視線がボクに突き刺さる。思わず着席して目をそらすと、隣に座ったルナが何故か尻尾をボクのお腹の上に置く。
尻尾はかなりの力が入っているのか立ち上がろうとする度に押さえ込まれ、ボクは窓の外を眺める事しか出来ない。
「んん! ん!?」
「ぐぇっ!?」
急に前方につんのめる感じがしてルナの尻尾がお腹にめり込む、隣に座ったルナは尻尾に集中していたのか前のソファーに顔面から突っ込んだ。
どうやら着いたようだ。町を出発してから一〇分くらいしか立っていない、他の冒険者が出発してから三時間くらい経っているらしいのでどれくらい速度が出ていたのか……?
スマホの地図を見ると目的地の川がすぐ側に有る丘は町から12kmほどの距離にある、一〇分くらいで12km走ったって事は――時速72kmくらい出ていた!?
操縦席に誰も座っていなかったけど大丈夫だった!
「うちのラビッツ達は優秀過ぎる! 操縦席誰も座ってなかったのに目的地に着いちゃったよ?」
「「「「「「アッ!」」」」」」
皆こっちを見て大口を開けている、もしかして……もしかしなくても忘れてたんじゃないか!
「さてと、皆に追いついたのは良いけどカカオマス残ってるかな?」
ルナの尻尾が移動していたのでソファーを立ち上がり外に出る。
ノアの箱舟から出たボクの目の前に広がった光景は、森から10mくらいまでの地面に生い茂る謎ペンペン草が作り出す緑のカーペットと、11mを超えた辺りから急に小石混じりの地面が続きところどころにタンポポのような綿毛を咲かせた植物が生えている川辺だった。カカオの木は丘に生えているのかな?
その先にある川……広すぎじゃないだろうか? 森から出てすぐの地点から見て川の対岸がギリギリ見えるかどうかくらいの川幅がある、もはや運河というか――本当に川?
冒険者の一団が川に面した丘の麓で待機しているのが見えた。
気のせいかこちらを見て何か大声を上げて臨戦態勢に入っている、オルランドを抜き去ってしまったようなのでもしかしたら新種の魔物と勘違いされていたのかもしれない。
誤解を解こうとそちらへ向う……誰も付いて来ていない?
ノアの箱舟の扉を開け中を覗き込むと両膝をガクガク震わせる皆の姿があった……
「皆何してるの? もうギルドの皆は丘の麓で待ってるよ?」
「誰も操縦していない馬車が、普通の馬車の二倍近い速度で走ってたと思うと……足がすくんで!」
そういいながらも立ち上がるメアリー、ルナも負けじとメアリーの肩に捕まり一緒に歩いてくる。
他の皆もそれぞれ二人支えあうようにして立ち上がり何とか外に出る事が出来た。
「オレ達生きてるよな? おい! ユノ寝るな!」
「気絶してるんじゃ?」
アルフとユピテルに両脇を支えられたユノは白目を向いていた。
「あっれ~? 皆前より髪の色黒くなってない?」
明るい太陽の下で皆の姿を見ると、前まで全体的に白っぽかったのに――今は全体的に黒っぽい気がする。
「最近体の調子が良いですね~。これもカナタのおかげですか?」
アンナがそう言いジャンヌの肩を支えていた。支えられたジャンヌはまだ膝がガクガクと震えている。
アンナとレッティはあの速度でも平然としていた。肝っ玉が据わっているのか……それとも慣れているのかな? ルナが今朝も隙を見て一番出入り口から二人を連れて滑空していたとプテレアが言っていた。
「アヤカの推理によると多分魔力が体に浸透してるんだと思うわ。名実共にカナタ色に染まっちゃったわね!」
「黒い髪は魔力の色なのかな?」
ふんぞり返ったアヤカのドヤ顔が可愛らしかったのでオデコにキスをする。
真っ赤になったアヤカは飛び跳ねて、他のまだ膝をガクガクさせている子達のお尻を叩いて回っていた。
メアリーとルナはもう持ち直したみたいで固定されていたラビッツ達を解放し荷物を用意している。
ルナが手に持っているのは投網? アウラ縄仕様で愛姉ですら切れないとアウラのお墨付きを貰っている信頼と実績? のアウラ投網だ。投網で漁でもするのかな?
他の子達は黒鉄杉の槍と硬皮の盾を持ち完全武装状態になっている、ユピテルが弓を二つクロスに合わせた何かカッコイイクロスボウ? の弦を張り、黒バックから木の矢を出し腰の矢筒に矢をセットしていた。矢には何故かアウラ紐が結んでありかなり長い紐の先はラビイチの胴体に結んである? 皆何の準備をしているのかな?
一応準備が終わったのか移動を始める皆、遅れないようにボクも付いて行く。振り返ってノアの箱舟付近を見るとラビイチが側で寝っころがってゴロゴロしており、ラビニとラビサンは森の木々をかじりに向うようだ。
ガルワンはプテレアと一緒にお留守番でスコールはガルワンが放さなかったので置いてきた。
今回の参加者はルナ・メアリー・アンナ・レイチェル・ジャンヌ・レッティ・マーガレット・ミリー・ロニー・アリス・アリシア・アヤカ・フェルティ・アズリー・レオーネ・メリル・マリヤ・シャルロット・シャルロッテ・アルフ・ユノ・ユピテルにサーベラス・ラビイチ・ラビニ・ラビサンの二三人と四匹でかなりの大所帯となっている。
「あれ? サーベラスが居ない?」
「ここにおるで?」
何故かルナがサーベラスに騎乗している、最近肉付きが良くなってルナが騎乗しても違和感が無いくらいには成長していたサーベラス、いつの間にかルナ専用になってしまっていた。
「後は……マーガレットは酔ったの?」
「目が回っているんですの……」
マーガレットはこのままノアの箱舟の中で休んでいるみたいだ。一応留守番も居た方が良いのでラビイチに警備を任せ移動する事にした。
丘の麓にベースキャンプを張っている冒険者達の方へ歩いて向う。謎ペンペン草は薬にでもなるのか、マリヤが白い小さな花が咲いた謎ペンペン草を熱心に布袋につめて黒バックに収納している。
遅れてきてユックリ歩いて行くのは申し訳ないと思い、マリヤの手を引っ張り皆に指示を送り走って向う事にする。
異変に気が付いたのは、初めからと言うか――5mくらいの距離になっても臨戦態勢が解除されない。どういう事? マイケルが何か熱心にモヒカン頭の冒険者を説得している?
こちらを見たマイケルと目があった。
「おい! 【絶壁】、派手は登場は他の支部の冒険者も居るんだから遠慮しろよ……説明するこちらの身にもなってくれ!」
「あっ、すいません」
どうやらモヒカンはボク達がノアの箱舟でここに乗りつけた事を咎めていたようだ。マイケルのおかげで何とか穏便に済まされそうなので安心する。モヒカンは始めガキがまとまって来たといった感じの侮る雰囲気を体全体から醸し出していたけど、【絶壁】の名が出るとこちらを見る目が変わり『ほぅ、こいつらがリトルエデンか……』と呟いていた。
あとモヒカンが他の支部から来た冒険者で一番ランクが高いのか、モヒカンが手を上げ横に下ろすと臨戦態勢はすぐさま解除された。
ベースキャンプは大きく分けて三つに固まりが分かれている、一つ目は言わずと知れたラーズグリーズ支店の冒険者達が作るベースキャンプで、もう一つは他の支部の冒険者が作るベースキャンプ、そして三つ目はリリー達西門の外組みと、他の支部の冒険者で見た感じ最低限の旅装備を身に着けた駆け出しのヒヨッコ達だ。
ラーズグリーズ支店の冒険者がリリー達に向ける視線は温かい見守るような視線なのに対し、他の支部の冒険者達が駆け出しのヒヨッコ達を見る目は冷たい……何だろうこの温度差は?
「カナタ……多分これが普通なんだよ? ラーズグリーズ支店が恵まれて――違う、カナタのおかげだよ?」
「ボク? 何かしたっけ?」
余程顔に出ていたのかメアリーがそう言い悲しそうな表情を見せる、他の皆は首を傾げていたけどアリシアだけはつまらなさそうな感じでアリスを後ろから抱っこしていた。
「そろそろ漁解禁だぜ!」
マイケルの声が聞こえた。昼ご飯の材料でも獲るのかな?
「他の支店に負けるなよお前ら! 今年も王都冒険者ギルドが一位を頂くぜー!」
モヒカンの声も聞こえる、どうやらカカオマス争奪戦になるみたいだ。
周りを見渡すと皆弓やら投げ槍やら投網やら遠距離系の武器を装備して丘の上へ上がっていく、武器には例外無く紐が結んでありその端を川辺にある大岩に結んであった。
「リリー達も行くよ~」
ベースキャンプで準備を終えたリリー達も丘を上がっていく? 他の支部のヒヨッコ達は川辺から投網で漁をするようだ。
「何かおかしい気がする? カカオマスってここから見えるあのラグビーボール状の実がなった木から採るんじゃないのかな……」
丘の麓に来た時に気が付いたけど、ボク達がここまで来た森の通路から大分離れた場所にそれっぽい実が生った木が群生している。
『ワイルドカカオの木』
左目で見るとやっぱりカカオの木! ワイルドなのはその見た目で高さ10mくらいある巨木だ。
よく分からないけどとりあえず一番乗りでカカオを採取しよう、マリヤがボクと同じくワイルドカカオの木をヨダレが垂れそうな顔で見ていたので手を引っ張り走り出す。
「私達も負けてられないよ! あれ? カナタどこに行くの……」
振り返ると完全武装したうちのクラン員達が川辺に向って歩き出していた。メアリーに呼び止められた気がしたけどカカオ一番乗りしてからでも良いよね?
走り始めて五秒でマリヤが息を切らしたのでお姫様抱っこしてワイルドカカオの木まで走る。木まで十数秒で辿り着き下から見上げると、木の幹から直接生えたカカオの実は黄色に茶色に緑色にと様々な色の果実を実らせており、その光景はもう圧巻の一言だ。
「ボクが木に上って落とすからマリヤは回収係りね? 落とす時は真下に来ない事、一応これ被っててね~」
「はっひ、ふぅ、はぁ、はぁ、待ってカナタはカカオの事知ってたんですか?」
マリヤにフェイクラビッツの帽子を被せると木に登り始める、木は太いしデコボコが多いのでかなり上りやすい。
「カカオはチョコレートの原料だよね? ココアとかも?」
「はい?」
木を上りながら答える、下を見るとマリヤがクエスチョンを飛ばしていた。
とりあえず手が届くのを落としていく事にする。
「キャッ」
近くで見るとかなりでかい実だ。50cmくらいある、色々な色があるけどどれでも問題無いよね?
下からマリヤの悲鳴が聞こえたけどちゃんと当たらないように落としている、まぁ50cm前後のカカオの実が振ってきたら怖いかもしれないけど……
手で落とすのは非効率だと開始一分で悟る、黒鉄杉の槍を出し突っついて落とし始めてさらに五分でまた悟る。
「これ下から【舞盾】で小突いた方が効率良く収穫できそうだよね」
「カナタ! 一度降りてきてください、黒いヤツはダメです!」
マリヤが叫んでいる、一つ黒いのがなっていたので先ほど落としたけど……アレ一つだけ異様に硬い感触があった。
素早く木を滑るように降りるとパンパンに膨らんだ布袋を特大木の宝箱につめるマリヤが泣きそうになっていた。
「黒いのはダメだった? 毒でも有るの?」
「黒いのは魔物です……カカオモドキですよ?」
『カカオモドキLv5』
おおう……魔物が混じっていた。落ちたショックで気絶しているのか動かない、これ幸いと思い槍を思いっきり振り下ろすと何の抵抗も無くカカオモドキは真っ二つに割れた。
「あ、そういえばカカオマスの好物って確かカカオモドキだったような……」
カカオマスの好物? アレ?
「えーっと……今気が付いたんだけど、カカオマスってもしかして――魚?」
「はぁ……やっぱり、そうだと思ってました」
右手で頭を抑え首を振るマリヤ、もしかしなくても魚なのか……
「待って! 普通カカオマスって聞いたらチョコレートの材料の方だよね?」
「ちょこれーと? 何に使う気か知りませんがワイルドカカオの実は薬の原料ですよ? 採取の手間と下準備に非常に時間がかかるのであまり市場に出回りませんけど。カカオマスは前にカナタが振舞った大きな魚と似た種類のお魚さんです」
時忘れに似た魚……マスって鮭か! ヤバイヤバイ、皆の前で大恥かくところだった。
それにしてもチョコレートが無い? 砂糖が高い事を考えると誰も思いつかなかったのかもしれない、一儲け出来るチャンスだね。
「とりあえず分かった! いっぱい採ってから戻るよ~」
「はいはい」
それから一五分くらいかけて【舞盾】ダイヤの盾を飛ばし目に着いたカカオの実をひたすら落とし収穫する。アリバイ工作の為にカカオモドキを確保するのも忘れない。
「いいね? ボクとマリヤはカカオモドキを確保する為にここに来た。まだ三〇分も経ってないし全然間に合うと思うから、このカカオモドキで逆転するよ?」
「カナタは転んでもタダでは起きないタイプですね……」
ボクは呆れ顔のマリヤをまたお姫様抱っこして走ると、すぐに皆の元へと向った。




