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ボクが異世界?で魔王?の嫁?で!  作者: らず&らず
第1章 チェンジリング
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第9話 体がありません!?神の悪戯

 神の手紙から少し時間を空け、一通り感情を吐き出すと落ち着いて今後を考えれるようになった。


「【微笑の聖女】様、今ボクが考えている事がわかりますか?」

「いいえ……心が読めないと言うより守られている? という感じで私には読めませんよ?」


 ちゃんと仕事はしてくれたみたいだ。これで考えるの止めるとか無茶な事をしなくて良くなった。


「先ほどの手紙に、神様が契約内容の変更について書いてくれていました」

「それであの様子だったのですか……大丈夫ですか?」


 心底心配そうな顔で尋ねてくる【微笑の聖女】様、この人は多分味方になってくれる。でも今は不味い悟られては駄目だ。


「何の事です?」

「部下の私が言うのも難ですが、性格とか考え方とか行動が破綻している御方なのですよ」


 そうですね、今はどうにもならないから我慢するけどいつか必ず……


「ダイジョウブダ、モンダイナイ」

「そうですか……それでどういう事になったのでしょうか?」

「契約内容はちょっと変わりましたが。異世界へ行きおつかいをするのは変わりませんね」


 契約内容自体は漏らしたら多分アウトだよね? ぼかしながら答える。


「そうなんですか……体が無いのにどうしましょうか?」


 とんでもない爆弾発言二つ目がキタ!


「体がありません!?」


 さっきまで異世界行っていたのは精神体的なボクじゃなかったのか。あれ、精神体? 肉体あったよね……どういう事?


「説明はしていませんでしたか? 転送して送っていたのは今現在昏睡状態にある貴方本人の体です、余分な持ち物を持って行けない様に装備は置いて送っていましたが」


 どうやらあの天使が説明を忘れていたようだ、と言う事は時間止めてなかったら……日本の自分のベットの上には装備(衣類)だけが人の形に置かれているというミステリアスで大変な状態だったのか。でもなんで昏睡状態なのに動けたのかな? 聞いてみよう。


「え、今昏睡状態にあるんじゃないんですか? なんで異世界で動けたの?」

「貴方がここへ戻ってきた瞬間、今までギリギリ繋がってた線が切れたのですよ? もう少しで異世界で昏睡状態になりそのまま精神体が彷徨う事になってました……六時間の制限時間で強制送還出来るのは体と精神体が繋がっている場合だけですので」


 再び神に対する感情が爆発しそうになるが抑える。今はまだ駄目だ。


「それってあの時死んでたらゲームオーバー?」

「死んでもちゃんと戻れましたよ? 体と精神体がちゃんと繋がっていたので。先ほどまでなら、と付け加えますが」

「そうですか……神はおつかいをしろって言ってたのにどうなってるのかな」


 一体どうなっているのか、体が無いと異世界に行けない。だけど神はおつかいに行けと……

 突然【微笑の聖女】様の天使のワッカが光りだす、アレって通信機能があったよね神からの指示かな?

 耳を澄ませて聞いてみる。


「はい、先ほど手紙を渡して……今転送手段が無いので困っていたところです……え、現地で確保している体が有る? ……でもソレは転送じゃなくて転生に分類されるのでは? えぇっ! チェンジリングを使うのですか? し、しかし、この場合は片方の体が乖離・精神状態で受け皿としての機能を果たせません! ……危険です。そんな事をすると最悪どちらかの精神体が相手を飲み込んで新たな精神体となってしまうのでは? そんな……」


 デジャブを感じるのは気のせいじゃないはず。雲行きが怪しくなってきたけど大丈夫なのかな?

 必死に神を止めようとする【微笑の聖女】様を応援したい! がんばれ! 負けるな!


「わかりました……でもそれなら私からもお願いがあります。一つ温情をかける事をお許しください」


 あっさり【微笑の聖女】様が折れた……そうだよね、相手は神だもんね。


「わかりました……主の御心のままに」


 大分話し込んでいたけどやっと話しが終わった様だ。【微笑の聖女】様の表情が固いのが気になる、碌な事になってない気がしてしまうのは神の手紙を読んだからであろうか。


「【儀式魔法】を使用して貴方を異世界に送る事になりました……」

「その口ぶりからすると良くない事があるのですか?」

「チェンジリングという言葉に覚えはありますか? 貴方の世界のヨーロッパと呼ばれる場所の民話です」

「妖精が人間の子供をさらった後に妖精の子供を置いていくとか、そんな感じの話しですね」

「その通りです。今から行う【儀式魔法】チェンジリングは異なる生物の精神体を入れ替え定着させる禁忌の魔法ですよ?」


 言っちゃった! 禁忌とか言っちゃったよ。絶対駄目なやつだ……


「他に方法な無いのですか……禁忌とか言われても困ります」

「しかも……今回は事情が事情だけに変則的な【儀式魔法】を行います、神様自ら魔法を行使するそうです」


【微笑の聖女】様の目には諦めの色が見える、心なしか乾いた笑みになっている気がする。

 禁忌に変則的使用と驚きの倍プッシュだ。


「今から言う事をしっかり頭に入れて置いてください」

「あっ、ちょっと待ってくださいスマホのメモに登録しときます」


 左手からスマホを出しメモを開く、【微笑の聖女】様が驚いた顔をしてこちらを見ている?

 何か失敗したかな……あっ!


「言ってなかったですけど付与されたアイテムは一つじゃありません……()()()()あの時は眼鏡だけ出してましたけど嘘はついてませんよ? 付与されたアイテムが一つとも言って無いですし、聞かれ無かったからデスよ?」

「私を騙した……? いいえ、自身すら完全に騙し通してこちらに気取られないようにした? 怒らないので全部漏らして下さいね? あの子に対する折檻を改めないといけません……」


 すっごく嬉しそうな笑顔で【微笑の聖女】様が問いかけてくる、左手が何かを振るう動作になっているが本人は気が付いてないみたいだ。

 全部話そう、この人には嘘をついてはイケナイ気がする。全部話したうえでならなんとか天使をかばってあげれるかもしれない。


「付与されたアイテムは三個、眼鏡・スマホ・エアコンのリモコンです」


 答えを聞くと【微笑みの聖女】様はこめかみを押さえ呻いている。


「三つもスキルを付与してそのうち一個が新規のユニークスキル……あの子はどうやら炙られたいようですね」


 炙るって……磔のうえに炙っちゃうんですか! しかもその左手の動きは何かを振るう動作……鞭ですねわかります!

 ちょっとドキドキしながら一つの勘違いを正す事にする、さっき全部漏らしてって言われたしね。


「付与されたスキルは三つじゃありません。【簡易鑑定】【光量調整】【簡易アイテムボックス】【発展】【空気調和】の五つデス」

「新規ユニークスキルが三つに神の御技EXS【発展】まで……」


 とうとう【微笑みの聖女】様は倒れてしまった。目の前に居るボクに向かって!

 スレンダー美人さんだけど出るところはそれなりに出ている、身長の関係でちょうど顔にその部分が押し付けられて身動きが取れない! なんという天国(ぱらだいす)、意識が……


「コホン、大丈夫ですか。お話しの続きですよ?」


 気が付くと居住まいを正した【微笑みの聖女】様、頬が少し赤いが無かった事にするらしい。でも何で正座? こちらも合わせて正座する。


「この際あの子がやった事については不問にします。神様にも連絡して了解を頂きました。何故か爆笑して貴方によろしく言っといてといわれましたが?」

「さぁ……何の事でしょうか」


 あの神心は底嫌なやつかもしれない、ボクが契約内容を漏らすとあの天使まで危ないって言うのに何言ってくれてるんだ。


「もし私が貴方の敵となる時が来るとすれば……あの子がどうにかなった時ですからね。覚えておいてくださいね? 彼方(かなた)さん」


 不意にボクを抱き寄せ耳元で囁くと立ち上がる。


「それでは言います覚えてください」




『チェンジリングの仕様』

 異なる生物の精神体を入れ替え定着させる禁忌の魔法、今回は変則使用。


 1.片方の器が乖離・精神状態の為、異世界に送るのは現地で調達した体に二人分の精神体を定着させて送る。

 2.基本主導権は彼方(かなた)に有るが、彼方(かなた)が意識を失うともう一方が出てくる可能性が有る。(睡眠は意識を失うに該当しない)

 3.お互いがお互いの記憶を共有する、この時に経験・気持ちも共有する事になる。

 ※あくまで各人個別の精神体だと言う事を意識する事、共有化が進めば最悪一つの精神体へと変わってしまう。

 4.現地で調達した体は五年ほど時を止めていたので本来なら一八歳、実質一三歳くらいの精神体ですので貴方がお兄さんになります。優しくしてあげてください。

 ※なおこの体は魔王と戦い敗れた勇者の子供を攫って保管していた物です。勇者本人はもう死んでいますので気にしないでください。勇者の嫁はその戦いの後、魔王の毒牙にかかり自ら命を絶ったと思われます。つまり親の敵を討たせてあげる神様の御心です。




 簡単に考えるとボクが体を動かして、その後ろで体の持ち主が眺めているみたいな感じかな?

 3.の共有化がやばそうだけどまぁ何とかなるかな。4.兄弟が居ないからわからないけど弟が出来た様なものかな?

 そして言える事は一つ、神はやはり屑だ! 子供をさらって保管していた物ってなんだよ、五年も時間を止めてたってボクが来なかったらずっとそのままだったのかな……

 異世界に行ったらまず謝ろう、ボクの都合に巻き込んだ事と体を勝手に使わせてもらう事について。

 勇者の嫁は毒牙にかかって自害した? ん、魔王って〔FOURTH HEAVEN〕の小娘って書いてあったような……魔王が百合!? そっちの趣味の人なのかもしれない。男で良かった……


「以上です。神様が【儀式魔法】チェンジリングの準備中ですので今のうちに私から恩恵を授けます、と言ってもあの子が色々無茶しているので今貴方に必要そうなスキルを一つ昇華させるだけですが」

「ありがとうございます」

「スキルはUNS【生存戦略】が良いでしょう今貴方に必要なのは、あの子の為にも生き残る事です」


 アレ? そのスキルって欲しかったけど才能が足りなくて諦めたやつだよ、【微笑みの聖女】様はあの子がかかわると無茶でも何でもしてしまうらしい。


「大丈夫ですか? ボク才能足りなくてソレ取れなかったんですけど」

「大丈夫デス♪ 確定次項なので。ヨシヨシ」


 ヨシヨシされたって事はスキル覚えたのかな? 異世界に行ったらもう一度ステータス確認してみよう。


「準備が出来たようです。【儀式魔法】チェンジリングを発動します」


 タイミングが良すぎる、あの神こちらをどこかから見ていそうだ。

 満天の星空から大小様々な魔方陣がボクめがけて集まってくる、また見えない壁に囲まれているので大人しく待つ。


 ふわりふわりと体が浮き始め、また異世界への扉が開かれた……(ひびき)必ず戻るからね。



「聞き忘れていたのだけど……なんで彼方(かなた)さんの頭に黒い羽根が刺さっていたのかしら? あの子の羽根とも色合いが違っていた様な……」


 天使のそのつぶやきは誰にも届く事無く消えていく。

 彼方(かなた)の頭には確かに羽根が刺さっていた。何時の間にか……目の前に居た天使でさえも気が付いたのは【儀式魔法】チェンジリングが発動した後だった。




 その羽根の色は『全てを覆い尽くすような漆黒の色』をしていた……

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