修学旅行で告白せよ!⑤
ドキドキと打つ心臓がうるさい。
なんて話そうかあれだけ考えたのに、頭に浮かばない。
梨央はこちらをまっすぐに見てくれている。
世界を救うために梨央に近づいた。
でも、この気持ちに嘘はないー
「梨央のこと・・・好きだ」
奏汰はストレートに伝えた。
声が震えてカッコ悪い。
なんとか目を開けて、梨央の顔を見てみる。
梨央は大きな瞳がより大きく見開かれている。
「驚かせてごめん。ただ、どうしても今日言いたかったから」
「いや、あの全然。謝らないで・・・」
梨央は戸惑いながらも状況を把握しようとしているようだ。
奏汰は深呼吸すると、ずっと考えてきたことを話した。
「俺なんて本当に地味だし、モブキャラって感じで、梨央みたいな美人で頭のいい子と仲良くなれるなんて全く思ってなくて、梨央のこともすごい子だなって、ただそう思ってた」
あの時、未来の俺が出てこなければ俺はずっとモブキャラで、誰からも相手にされなかっただろう。
「梨央のことを知っていくうちに、努力家で繊細で強いところもあるけど、傷つきやすくて、友達思いで優しい子なんだってわかった」
「・・・恥ずかしい」
褒められて恥ずかしいのか、顔を手で隠している。
「そんな梨央のそばにいたいと思ってるし、梨央が1番に頼ってもらえる存在でありたいと思ってる」
奏汰はすぅーっと大きく息を吸い込んだ。
「梨央の隣にいてもいいかな」
奏汰はそう言って梨央をみた。
梨央の口が動いて、にっこり微笑んだ。
「おはよ~」
奏汰が欠伸をしながら、高校への道を歩く。
桜の花が咲いて、春の暖かい風が吹いている。
もうすぐで高校3年生だ。
「痛っ!なんだよ、急に」
背中に痛みを感じて振り返ると、小春があっかんべーをしてくる。
「ぼさっとしるからでしょ」
そう言って走って学校へ向かっていく。
最近、小春は岡野と仲がいいらしい。
2人で朝勉強をしていると聞いた。
ノリの合う二人だからお似合いなのかもしれない。
藤志朗は親の都合でまた転校していった。
海外に行くらしく、いい男になって帰ってくると、梨央にしつこく言っていた。
なんだかんだよく話していたので、いなくなってほんの少し寂しい。
あくまでもほんの少しだ。
「おはよ」
可愛らしい声に振り返ると、梨央が手を振りながら小走りにやってきた。
「おはよ」
「ねぇ、今度このケーキ屋さん行きたいの」
梨央が嬉しそうにスマホを見せてくる。
「じゃあ、週末行こか」
「うん!じゃあその分、放課後はみっちり勉強しなきゃ」
「げっ・・・」
奏汰がそういうと、梨央は「成績落とすなんて、彼女して許せません」といたずらっぽく笑った。
「おはよう~」
呑気な声で誠がやってきた。
「お二人さん仲良しだねぇ」
「なんだよ、からかうなよ」
「誠君、おはよう」
誠はニヤニヤしながら、隣に並んだ。
「私、日直だから先に行くね」
梨央は軽く手を振って駆け足で学校へ向かった。
ユラユラ揺れるポニーテールがたまらない。
「なんか一年前まで雪女と呼ばれていたとは思えないな」
「本当にな」
「まぁ良かったよ、2人が付き合ってくれて」
「なんだよ、変な言い方して」
「そりゃ良かったに決まってるだろ?世界が救われたんだからな」
「・・・え?」
「そうなんだろ?」
「お前・・・なんでそれ?」
「未来からメッセージを受け取ったのは、お前だけじゃないということだ」
「・・・やっぱり」
奏汰がそういうと、ニヤっと誠はわらった。
「俺のアシスト最高だったろ?」
「…最高」
桜の花がひらひらと舞っている。
「今度は俺がアシストしてやろうか」
奏汰がそういうと、誠は「いらねーよ」と言って奏汰から逃げるように走り出した。
30年後―
「お父さん、早く準備して~」
梨央に言われて、奏汰は急いでジャケットを羽織る。
「今日は息子の晴れ舞台なんだからね」
梨央は着物を着て嬉しそうにしている。
「まさか、あの子がタイムマシンを開発するなんて思わなかったわ」
「パソコンを通じて、未来に映像を飛ばせるんだよな?」
「映像だけでも、すごいことですよ。ほんとに私の誇りだわ」
梨央はタクシー呼んでくると先に家を出ていった。
奏汰は息子の部屋に入った。
タイムマシンの試作品が置いてある。
パソコンを立ち上げて、タイムマシンを2026年に合わせる。
「お前が彼女を落とさなければ、世界は崩壊する」
「世界を救うために、大久保梨央を落とせ」




