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(41)ハナちゃんが宅配業者!?

〇東亜共和国在日本大使館近くのホテルの一室

ちくが無事に大使館に潜入したのを見届けた大泉さんとオレは、近くのホテルの一室に移動した。

ホテルの部屋からは、大使館が見えるので、大泉さんはビデオや双眼鏡を手際よく設置した。


しばらくすると、

「作戦開始だ」

ニヤリと笑ってオレを見て、双眼鏡を覗いてごらんと言い、テーブルの上に置いたタブレットの電源を入れた。


宅配業者の車が、警察官が警護する正面玄関前に停まった。ドライバーが降りて来て、荷台から荷物を降ろす。

ほどなく、職員と思われる人が、大使館のゲートまで出て来て荷物を受取ろうとしたとき、スピーカーから声が聞こえた。

「ハンコかサインをお願いします」

ん? この声・・・


続いて、

「あらぁ、かわいい猫ちゃん!」

と言う声がしたので、双眼鏡を覗くと、なんとちくがドライバーの足元ですりすりしていた!

「え、なんで、ちく?」


ドライバーがしゃがんでちくの頭をなでる。

すると、真っ黒のままだったタブレットに、激しく揺れる映像が映る。

映像はすぐに落ち着いて、ドライバーの手が映る。

「え、大泉さん、これって・・・」


かわいいねぇ、と言うドライバーの顔が映った時、オレは腰を抜かしそうになった。

なんと、そのドライバーはハナちゃんだったのだ!


思わず、

「え、ハナちゃん、なんで!?」

と言って振り返ったオレに、

「実は、ハナさんから、東亜が猫を生体センサーの実験にしていることが、ゼッタイ許せないから何か手伝わせ欲しいと言われたんだ」

と大泉さんが告白した。

「八瀬君に知られたら絶対反対されるから黙っててくれ、とも」


なんとハナちゃん、いつの間に・・・。危険な目に遭うかもしれないのに。

それにしても迫真の演技!


やがて、映像には杖のような棒を持った警察官が、猫を追い払おうと近づいてくる様子が映し出された。すると、

「あぁ、待ってください! この猫は、劉公使も陳参事官もかわいがっているので、このままでいいですよ」

と警官に言う職員の声がした。


そして、タブレットには、大使館のゲートをすり抜け、次々と植え込みの根元を進む映像が映し出された。どうやら、ちくが、また大使館の中に戻っていったようだ。


荷物を渡したドライバーは・・・というか、ハナちゃんは車に乗り込むとき、このホテルの部屋を見上げて、胸の前で小さくサムアップし、

「大成功!」

と小声で言った。


「ハナさんにお願いしたのは、ちくわちゃんへのカメラの装着と私から劉公使へのプレゼントの荷物を届けることだ」

「カメラにプレゼント・・・」


「あぁ、そうだ。ちくわちゃんに大使館に潜入してもらうことが決まったあと、特調にちくわちゃんの額に着ける小型のマイク付きカメラを開発してもらったんだよ。それを、宅配業者を装ったハナさんが荷物を届けるときにちくわちゃんに着けるようお願いしたんだ」


「そしてその荷物こそが、奴らの悪事を暴くために内調が用意した、秘密兵器だよ!」


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