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(33)新年

あけましておめでとうございます。

築70年のこの町屋に引越してきて3年。

ちくがこの家に来てから3回目の正月は、みぞれ交じりの冷たい雨が降っていた。


ニュースでは各地の初詣の様子に加え、日本の各地で井戸から水が噴き出したり、逆に枯れたり、湧き水の名水地から泥水が吹き出たりする現象が発生していると伝えていた。


専門家は、大きな地震の跡には地下水脈の流れが変わって、井戸に影響が出ることがあるらしいけど、そんな大きな地震は最近無いし、まだ原因は不明だと言っていた。


そう言えば海上自衛隊の舞鶴基地もニュースになっていた。

舞鶴湾沖防衛出動以降、呉と横須賀から配備された潜水艦は仮設ドックに係留されていたが、遂に専用ドックの工事が本格的に始まったらしい。


「大泉さんたちは、今日も任務中なのかな?」

TVを見ながらハナちゃんが聞いてきた。


「じゃないかなぁ。基本、任務となれば盆暮れ正月なんてない人たちだから」

「おせちの差し入れでも持って行ってあげようかな」

「地底湖にいるとは限らないよ」

「そっか。そうよね」

そう言って、ハナちゃんがちくの頭越しにミカンを渡してくれた。


冬場になって、コタツが出ると、ちくはなぜかコタツの上に乗る。

うちはテーブルコタツなので、乗り降りも大変だろうし、膝の上とか、コタツの中の方が温かいだろうに、なぜか冷たいコタツの上の、オレとハナちゃんの間、つまりど真ん中に陣取るのだ。


しかも決まって、顔がハナちゃんの方で、お尻をオレの方に向ける。

「健太郎のことを守ってくれてる証拠だよ」

とハナちゃんは言ってくれたけど、どうも納得いかない。


もっとも、そんなお尻を指で突っつくと、ぴくんぴくんと動いて、それを何度も繰り返すと、オレの方を振り返りながら「やめれ」と言わんばかりに、ぷぎぃと鳴くのがかわいいのだけれど。


食事の時はさすがに降りてもらうけど、それ以外の時は人間の方が気を使って、隅っこにコーヒーを置いたり、みかん籠もハナちゃんの方にあるので、さっきみたいに取って渡してもらう羽目になっているのだ。


あれから大泉さんには何度かメールをしたけど、返事はなかった。ドックの建設も始まったって言ってたし、きっと忙しくしてるんだろう。春になって暖かくなったら、大文字から縦走してボルデメまで歩いてみるか!


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