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星の賢者と召喚された姉と俺  作者: 秋見 京也
不帰都市の領主 編
22/33

22話 還してくれるって

「はっ……あたしは一体……? あわわわわわ!」


 数分後、ずっとヨウキにべったりだったフルド=ノックは突如顔を赤らめて離れた。グウロの方に走っていった。

 ちなみにグウロに乗っていたら酔ってしまったのかもしれないセイカは酔い止め薬のおかげかピンピンしており、グウロの背を降りている。


「ちょっとグウロ、今のどういう状況なのよ!?」


 小声でグウロに話しかけるフルド=ノック。


「ガウガウ(吾輩が知っている訳がないだろう。ずっとああして本当の幼子の様にしていれば可愛げがあるものを)」

「へえ、随分なことを言ってくれるじゃない。ここがどこだかわかってるのかしら? あたしが還さなきゃ永遠の時をここで過ごすことになるわよ?」

「ガウガウ(誰もをその場に留め置く能力をそんなふうに使うから不帰都市などと呼ばれ、恐れられているのではないか)」

「なにをー! そもそもそんな名前、あたしは認めてないわ! ここは温泉都市よ!」


 ヒソヒソ話は段々と大声になっていた。


「二人とも仲いいな」

「「ガウ!(よくない!)/よくない!」」


 ヨウキの言葉を声を揃えて否定するあたり、仲が良いのではないのだろうか。


「ガウガウ?(セイカ様は何をしているのだ?)」

「ちょっと羨ましくなったから私も~」


 今度はセイカがヨウキに抱き着いていた。


「ほんと、姉ちゃんはしかたないなー……」


 グウロとフルド=ノックは顔を見合わせて小声でやり取りをした。


「ガウガウ(セイカ様は弟離れができていないようだな)」

「珍しく同意見だわ……」


 フルド=ノックはセイカとヨウキに向き直って言う。


「改めて、あたしはフルド=ノックよ。勇者さま、名前を聞いてもいいかしら?」

「セイカだよ」

「ヨウキだぞ」


 二人のことをしっかりと見つめながら「セイカさま、ヨウキさま、礼を言うわ」とフルド=ノックは言う。

 セイカは真面目な気配を察知したのかヨウキから離れてフルド=ノックの方に体も視線も向けた。そこはヨウキも見習った。


「あたしを止めてくれてありがとう」


 本当に安心した様子だった。

 グウロの暴食衝動もそうだったが、やはり今回のフルド=ノックの行動も本意ではなかったようだ。


「お礼ならヨウキに。私はグウロの上で動けなくなってたから」

「姉ちゃんは乗り物酔いしてたんだからしょうがない」

「あら、あたしはセイカさまも十分働いたと思うわ」

「そうだぞー。俺は姉ちゃんが言ったとおりにしたわけだからな」

「そ、そう?」

「そー」

「なら、どういたしまして、かな」

「うんうん、それが正解よ」


 セイカの返事を聞いて、フルド=ノックは満足そうにうなずく。


「それとグウロ、世界樹の加護が戻ったのね。転移で勇者さまたちを連れてきてくれたことには感謝するわ」

「ガウガウ(フルドのためなどではない。地上のヒトも勇者様方も困っていたからだ)」

「勇者さまはわかるけど、ヒトが困っていたから……ね」

「ガウガウ(なんだその意外そうな顔は。魔王様に会いに行こうと地底都市から出てきたところ、ここに転移する輩を見た。話くらい聞くのは当然だろう)」

「見ないうちにちょっとは領主らしくなったわね」


 グウロが言い返す前にフルド=ノックは「それじゃああたしは、本来ここに来るべきじゃなかったヒトたちを還さなくちゃ! 勇者さまはそのあとで」と言って帽子を取る。


「星を治める賢者よ 始末する者フルド=ノックに応えて 生者を示して道標を与えよ」


 フルド=ノックの帽子からどんどん同じような帽子が出てきて、特定の人たちの頭に乗る。この人たちはフルド=ノックが不帰都市に呼んでしまった人たちだろう。かなりの数いるみたいだ。


「星を治める賢者よ 始末する者フルド=ノックに応えて 生者を還す橋を架けよ」


 赤い帽子を乗せた人たちが歩き出すと、金色の光と共に消えた。帽子を被った人たちには自宅へと続く金の橋が見えており、そこへ踏み出したのだ。


「ここにいたのですね、セイカ様、ヨウキ様。早く帰りましょ……おや!」


 ヨウキたちは人が多い街の中心部から少し離れた場所に移動していたため、オツターは見つけるのに手間取った。

 ようやく探し出して走ってきたのだが、還ってしまった。タイミングが悪かったようだ。


「さ、これで還し終えたわよ!」

「そう、だね」

「ああ……そうだな」


 セイカもヨウキも(オツターさん、不憫)と思ったとか。


「次は勇者さまね」

「何も、そんなに急がなくても。まだ30分もここにいないし、休みがてら観光とか駄目かな?」

「あら、知らない? 魔王様がここを創ったとき時間の概念を省いたの。空はいつもならあたしが切り替えてるけど、今日は何もしてないわ」

「ここの空って手動なのか!?」

「うかうかしてたら周りがみーんなおじいさんになってしまうわよ」

「龍宮城みたいだね」


 大人しく帰った。

オツターは「ここで帰した方が面白いな」と思った作者に帰されました。

もとはヨウキたちと一緒に帰る予定だったんですけどね。


これで「不帰都市の領主 編」は終わりになります。

余談ですが、短めのストーリーなのでこれで半分くらいですかね。

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