ウィローへの帰り道
「キュッキューイ!」
「おぉ、リューちゃん!ただいまー!」
結構長い間いたからなあ、リューちゃんが僕の胸に飛び込んでくる。
「ほう、見たことの無い龍だ」
「キュー?」
シャンガルの生きた頃は、隕石龍が公には絶滅するかしないかといった頃かな。
流石のシャンガルでも知らないようだ。
リューちゃんはリューちゃんで、
リアさんに背負われているシャンガルの匂いをかぎまくり。
「キュ!」
「むぅ、なんだ?」
「おっとっと~揺らさないでおくれ~」
リューちゃんがシャンガルを結構な勢いでバシッと叩いた。
何か知らないけどオッケーの様です。
「それじゃあ、ウィローに戻ろうか」
「そうね! 換金したいわ!」
「ようやく成果らしい成果が出せたぜ!」
「私も早く戻らないと常連さんが待ってるしね~」
グランに少し滞在することも考えたけど、
リアさんの店のこともあるし、すぐウィローに戻ることにした。
今回の収穫があれば、お店しばらく休みにしてもいいと思うんだけどなあ……
リアさん曰くは、仕事というより有意義な暇つぶしらしいので、
早く店を開けて常連さんたちと語らいたいらしい。
とにもかくにも、僕らはグランディルを飛び立ち、ウィローに向かった。
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「あー、長い長い」
「マスター、いつものことだと言ってるでしょう」
「そうは言ってもさあ……」
「仕方ないわよ。ね、リューちゃん」
「キュ!」
ウィローに着陸申請は出したけれども、またしてもいつもの順番待ち。
僕は、ナルとフィオナとリューちゃんと、
《万年アイドル》アリスちゃんのクイズ番組を見てる。
と言っても、アリスちゃんが司会である。
古今東西、現代からはるか昔まで、なぜかアリスちゃんはあらゆる知識を網羅しているので、
回答者としては相手になる人がいないのだそうだ。ナルが相手したそうだけど。
ほんっとにこの娘、仕事の幅が広いなあ……
歴史番組でも遥か昔の出来事を、まるで見てきたかのように語る。
アリスちゃんがさらっと言った事を頼りに調査をすると、
新たな遺跡が見つかったり、新たな理論が展開されることもある。
なのでアリスちゃんの番組は軒並み視聴率が高い。
単純に人気があることもあるが、
あらゆる知識人も、その一言一句を逃さないようにしているのだ。
特に生放送となれば、視聴率は更に高くなる。
リアさんとルークさんは、ババ抜きでずっと対戦してる、
どうやらリアさん、ああいう類は弱いらしく負け越しの様だ。
そう言えばリリスさんが、リアさんに頼みごとをするときは、
じゃんけんでもすればいいって言ってたなぁ。
シャンガルはといえば
「ふう、切り口が良いおかげで早く直せたわ」
霊廟から連れてきた修理ドローンに手足を修理させていた。
意外と早く直せたようで、何もなかったかのように元通りだ。
シャンガルはナルの温情で、あそこから出られない、と言う命令のみ書き換え、
後はそのままにされていた。
リアさんの店で働くことも了承したけど、定期的に霊廟の様子を見に行くらしい。
「やはり手足がないと……ん?」
シャンガルが何かを言いかけて動きを止めた。
みんながシャンガルの方を見る。
シャンガルと言えば、アリスちゃんが映っている画面にくぎ付けだ。
「あれれ~? ガルガル、アリスちゃんに惚れちゃった~?」
「アリス、だと……?」
「そうよ、《万年アイドル》アリスちゃん。知ってるの?」
「キュ!」
「よ、よく見せるのだ」
シャンガルが画面に近づく。と言うよりもう顔が付くって勢いだ。
「この顔……泣き黒子……この口調……この声……空似と言う次元ではない」
「なに、どうしたのよ?」
「……我は、この者に会ったことがある。子供の頃にだ」
「は? 嘘でしょ?」
「嘘ではない。あの首飾りを見よ。あれは我が別れ際に贈ったものだ」
「キューッ!?」
「ぬ、ぬおおお!?」
リューちゃんがすごい勢いでシャンガルを叩いている。
あぁ……羨ましいんだなきっと……
シャンガルの話を聞くと、子供の頃に空から丸い球が落ちてきたらしい。
その中から出てきたのが、アリスちゃん。
今と変わらない姿だったとか。
その出会いは二人だけの秘密とされ、
シャンガルがこっそりと食べ物を運んだりしていたらしい。
自分のことを『宇宙のアイドル』と呼んでいたが、
シャンガル自身、今の今まで本当に宇宙から来たとは思わなかったそうだ。
やがて、アリスちゃんの元にマネージャーと称するお迎えが来たらしいが、
別れ際にシャンガルがつけていた首飾りをあげたそうな。
「ふふ……淡い初恋であったな……」
「なんか、ロマンチックね」
「それよりも、あんな有名人に会ったことがあるって羨ましいな!」
なんかみんなおじいちゃんの昔話に少し感動してるけど、いやいや。
「あのさ、じゃあアリスちゃんって何歳なのさ」
僕の言葉で、場がしいん、となった。
《万年アイドル》アリスちゃん。経歴は不明。
どこかの事務所にも所属せず、基本的に自分のプロデュースを自分で行っている。
しかし、そんな変わったプロフィールでも、
かなり昔から宇宙一のアイドルの座をほしいままにしている。
僕が初めて見た時から変わらずだ。
リアさんもそうだって言ってる。
でも、シャンガルが会った時から姿が変わってないってことは……
「事実であれば、少なくとも1000歳は下りませんね……」
「お、おぉ~う……」
さすがのリアさんも、ちょっと怯んだ。
そうこうしてる内に、ワープ許可だ。
アリスちゃんに関する謎は深まったけど気にしないことにしよう……
いざ、ウィローへ!
今回の収穫
・シャンガル・アーミテイジ
彼の生きた文明の歴代王族の眠る霊廟。
その守護者でもあり、管理者。
守護者の任は離れたが、管理者権限はまだ持っている。
得物の大刀は鞘も含め特殊な鉱石を加工して作られており、
切れ味、耐久性共に優れている。いざという時は鞘も持ち二刀流で戦う。
ちなみにグランは、シャンガルの生きた文明の末裔が築いた。
・神剣シャミール
あらゆる無生物を断つ剣。今はレストのポーチにお蔵入りした。
アンドロイドや無機生命体にも有効。
その特性上、納めることのできる鞘も存在しない。
唯一、刀身を支える柄のみが断てない。
刀身も柄も、製法はシャンガルの最後の主が念入りに破棄したため、不明。
ただ、その刀身も柄もおそらく既知の技術では破壊不可能。




