神に感謝する少女
ああ神様ありがとうございます。
私は太陽に向かって祈る。
もともとこの世界の神様を信じていたわけじゃなかった。だけどその神様のおかげで私はここにいる。
何から何まで金ぴかなこのお部屋に。
異世界からただの普通の女の子が転生したって大したことなんかできない。
私は別にお料理が得意だったわけじゃないし、知識もない。
スマホがあればなんとかなる。そんな生活をしていた。
小さな子供のころ転生したってわかったけど。たとえ貴族に生まれても前世の生活水準に遠く及ばなかった。
前世の機械文明の便利さを知っている身としては中世程度の文明基準のこの世界は野蛮で本当に嫌。
だけど前世を思い出したあたりから別の記憶も蘇ってきたの。
私は交通事故で死んだ自分をぼんやりと見下していた。
周辺ではスマホで警察を呼んでいる人や、目を覆いながら指の隙間から倒れている私を凝視している人,凄い凄いとスマホで倒れている私を連続で撮影している人などが見えたけれどそれはなんだか古い写真のように色あせて見えた。
倒れている私は手足が変なほうに曲がって本当にみっともなかった。
スカートがめくれていたけれどそれを直すこともできない。
倒れた私の向こう側で電柱にぶつかってひしゃげている自動車。
どうしてこうなったんだろう。私は気が付かないうちに暴走自動車にひかれたらしい。
それも私の死体を眺めている人が呟いていた。それもなんだか古いアンプを通して聞こえるようにハウリングして聞こえたけれど。
交通事故に遭った私の死体。私は死んでしまった。それだけはわかった。
これからどうしよう。死んだら天国に行くとしてもどこに行ったら天国があるのかわからない。
そんな私に一筋の光が差し込んできた。
ああ、これが天国の道しるべなのかしら。そう思ってそちらを見た。私を差し招く手、きっと天使に違いない。
そう思った。
そして私の目の前に光り輝く人が現れた。
『お前の望みをかなえよう』
そう言ったのだ。
だから臨んだの。誰からも愛される力が欲しいと。
その記憶が蘇った後、私はいろんな人にその力を試した。
みんな私を愛してくれた。ああ、この力があったら私無敵なんじゃないの。
だから私は迷わず実行したの。貴族の端くれだったから。王宮に入ることは可能。そしてこの国の一番偉い人にこの力を使えば。
そして私はこの場所にいる。この国で一番好奇な人しか使えない部屋をあてがわれ誰からも愛されている。
今愛していない人だって私が力をふるえば愛するようになるわ。
この世界は私の物。




