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14-1・戦利品の鎧

 宿敵認定をしていたホブゴブリンと戦って、どうにか勝てた。

 数分休んで動けるようになったので起き上がる。腕はしばらく痺れていたけど、徐々に動くようになった。折れていなかったので安堵する。

 だけど、いくら声を掛けても真田さんは気を失ったまま。町を出てから3時間くらいしか経過していないけど、さすがに、この状態で森に入って薬草探しを続行することはできない。


「そう言えば、モンスターから強盗をして、町で売ってたっけ」


 本日のクエストはキャンセル決定だ。だから代わりに、申し訳ないと思いながらホブゴブリンの装備品を剥ぎ取る。革の鎧と鉄製のサークレット、ヘビメタバンドの人が着けてるみたいなトゲトゲの腕輪、それからトゲトゲ鉄球のモーニングスター。全裸にするのは可哀想なので、革の腰巻きは残しておく。


「依頼達成の報酬より高額になるかも」


 先生の剣と革の盾を所定の位置(背中)に戻し、片方の手で革の鎧とサークレットとトゲトゲの腕輪を抱え、もう片方の手でモーニングスターを持つ。モーニングスター、メッチャ重たい。


「・・・・・・・・あ」


 この持ち方だと、真田さんを置いていかなきゃならない。その選択肢は有り得ないので、一案の後、革の鎧とサークレットとトゲトゲの腕輪は装備して、真田さんを背負って盾を持った手で支え、もう片方の手で先生の剣とモーニングスターを持つ。先生の剣とモーニングスターがメッチャ重い。町まで引き摺って歩くことになりそうだ。盾を持ってると真田さんを支えにくい。

 この状態でモンスターに襲われたら、見たまんま手も足も出ない。足を踏ん張らせてヨタヨタと歩き、モンスターが出現する心配の無い街道を最短ルートで目指す。



「ふぇ~~~・・・だ~る~い~~~~~~~」


 街道を歩いている途中で真田さんが意識を取り戻してくれた。だけど「歩けそうにない」ってことで、そのまま背負って町に向かう。起きてくれたおかげで、支えなくても自力で僕の背にしがみつけるようになったし、盾は持ってくれたので、さっきまでと比べれば、だいぶ楽になった。


「迷惑かけちゃってごめ~~~~ん」

「大丈夫」

「さっすが、バスケで鍛えてるだけのことはあるね」


 真田さんは謝ってくれたけど、謝られる理由なんて何にも無い。真田さんが助けてくれなければ僕は死んでた。真田さんのおかげでトラウマだったホブゴブリンを倒せた。おんぶなんてお安いご用。感謝の気持ちしか無い。


「そう言えば、荷物袋とあたしの剣は?」

「ああ・・・それね」


 立ち止まって森の方に振り返る。


「置いて来ちゃった。真田さんを町に運んでから取りに行くつもり」

「1人で?」

「うん。真田さんをおんぶして連れてくわけにはいかないよ」

「危険だよ。明日にしよ。明日ならあたしも動けるだろうから」

「森の浅いところだし、場所は覚えてるから大丈夫だよ」

「死亡フラグ立ってるかもしれないじゃん」

「え?今の会話のどこに死亡フラグがあった?無いよね?」

「『大丈夫』って余裕かましてるとこ・・・とか」

「えぇ!?そんな普通の言葉が死亡フラグになっちゃうの?」


 その後の会話で真田さんの許可がもらえず、荷物袋と剣は、明日、一緒に取りに行くことに決まりました。

 今頃気付いた。このパーティーは「僕<真田さん」ってパワーバランスだったらしい。


「さっきから思ってたんだけどさ。尊人くん、なんで鎧を着てるの?」

「ホブゴブリンから強盗したの。町で売ろうと思ってね。

 ちょっと罪悪感はあるけど、北東村ペイイスの時もやってたし・・・」

「今日みたくモンスターと戦うこともあるんでしょ?」

「うん」

「なら、売るんじゃなくて装備すればいいんじゃね?」

「・・・あ゛~~~~」


 なんで今まで気付かなかったんだろう?使ってる盾や斧だって戦利品なんだから、強盗した鎧を着たって、何の問題も無いはずだ。・・・モンスターのお古ってのが、ちょっと気持ち悪いけど。


「似合う・・・かな?」

「アニメに登場する兵士Dくらい」

「モブってこと?しかも、少しくらい台詞がありそうなAとかじゃなくてD?」

「もう少し格好良い鎧の方が良いんだろうけど、買う余裕なんて無いからね。

 ただの服のまんまでモンスターと戦うよりは良いでしょ?」

「まぁ・・・そうだね」


 僕は、その日「名も無き町人」もしくは「英雄チートの友人A」から、「モブの兵士」に昇格をした・・・のかな?



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