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「美味しいね、これ」
うん、ニルシェ王都中央商店街にあるカフェのスイーツって、
かなりレベル高いよね。
俺って召喚者だし、コンビニスイーツにはかなりうるさい方だったけど、
このクオリティならプレミアムなんちゃらって宣伝すれば、
あっちの世界でも大流行させることが出来るかも。
「なに言ってんだかよく分かんないけど、美味しいからいいや」
「やっぱ食べ放題は奢りに限るよね」
……どこに入ったのかな、あんなに食べた量。
もしかして妖精さんの胃袋って、魔法で無限『収納』可能……
「言葉で口を動かすより、一心不乱に口を動かして美味しくいただくのが食べ放題のマナーですよっ」
「もちろん、お屋敷の皆さんへのお持ち帰りの分も忘れずに注文済みなのですっ」
はいはい、リルシェさんも、出来れば味わって食べてくださいね。
って、おみやげ分は食べ放題と別料金だよね。
これってちゃんと必要経費で落ちるのか、後でショセ様におねだりせねば……
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えーと、こんな感じの毎日ですよ。
今のフォルモルくんはニルシェ司法省所属の王都監視員見習い、だったかな。
記憶探査を含む厳しい詮議で問題無しと判断されたのでしょうが、
いきなりの大抜擢なのです。
試用期間が終わってすぐに、ショセ様直属として配属されましたよ。
まあ要するに、お屋敷住み込みの何でも屋さんですね。
伝令やらお買い物の発注やらで、あちこち飛び回っております。
何せショセ様直属、国にケンカ売る気概でもなければ手出しなんて絶対無理。
残念ながら、例の厄介お貴族さま御一行は、未だご健在。
あんなのでもかなり高位のご身分なので、
流石のショセ様でも一掃するにはもうちょい時間が掛かりそうだとか。
まあ、後腐れ無いよう綺麗に処理していただくのが一番です。
ヨレン師匠には今回の一件を、
心配掛けないように少し言葉を濁して伝えております。
速達鳥で来た返信には、焦らないでええよって書いてましたが、
早いとこ諸々済ませて、またペットリモ村に行きたいのです。
俺の"異種活"って基本的には博愛主義。
どんな異種族さんにも、その種族特有の良さがあるわけで。
ただ、一度見たら忘れられないどころか、
今でも時々夢に出てくるほどインパクトのある異種族さんもいるのです。
ペットリモ村の総合ギルドの受け付け嬢さん。
牛の獣人さんって、本当に圧倒的ですから。
マジで。
そういえば、ニルシェ王国のギルド職員の制服は、
ネルコさん特製のオーダーメイドでしたね。
いやホント凄かったもん、あの制服姿。
偉大な盛り上がりをただ引き立たせるだけじゃなく、
何と言いますか、男心をアレしちゃう方向に念入りに魔改造ってな感じ?
一日も早い復職をお祈りいたします、ネルコ様……
うん、"異種活"頑張れ、俺。
あとがき
最初はぼっち属性のみだったウェイトさん、
いつの間にやら先輩主人公たちの属性を受け継いだ模様。
ロイさんの保護者属性とか、
モノカさんのバトル属性とか、
カミスさんの巻き込まれ属性とか。
でもたぶん一番濃く受け継いでいるのは、
アランさんのえっちっち属性……
つまりは、これからもこんな感じでよろしくお願いします。




