目覚め
目を開けると見えたのは、知らない天井だった。といっても、ぼやけてほとんど見えないに等しいけども。あれ、なんでこんなところにいるんだっけ?
目が覚める前の記憶が曖昧だ。もやがかかったようでなにも思い出せない。名前さえも思い出せない。
それに、身体中の感覚が恐ろしい程に鈍い。全身麻痺してしまったように感じる。
声をだそうとしたら、うまく声がでなかった。息は吸えるので、口が塞がってるということはないのだろうけれど。
とりあえず体を起こさないとな。
そう思い、体を動かそうとするが、思ったように動かない。
手だけでも、そう思って動かそうとするが、まるで硬い手袋でも付け入るかのように動かしにくい感覚だった。
ううむ?
あれ?視界の端に、細い小さな棒のようなものが映る。ぼやけてなにかまではわからないが、なんだか動いて、、、って、俺の手だこれぇ!!
状況を飲み込めないまま、小さな手を見ていると、少しずつ視界が鮮明になってきた。
もう、認めるしかないらしい。
どうやら俺は、、、
赤ちゃんになってしまったようだ。
ため息をつこうとしたら、
「あー」
と可愛らしい声が響く。俺の声だ。
その事実に、さらに気がおもくなる。
まぁ、どうせ意識はあるけど、こんな体じゃあ何も出来ないし、どうやら前世?の記憶も全く無い。
もともと、一般常識だとか教養だとか、ある程度の計算能力くらいしかないので、そのへんの大人と大差ないと思っていいだろう。
まえむきになろう。
これから始まるであろう第2の人生(まず本当に2回目なのかどうかも定かではないのだが)を楽しむ上でのハンディキャップだと思えば、まぁ、まぁ、まぁ前向きになれないことも、ないこともないのかなー!
とりあえず、周辺の情報を確認しておかねば!!
そう思って、辺りを見回す。
どうやら俺は柔らかい布の上に横になっているらしく、周囲には綺麗な女性と、どこからどうみても爽やかイケメンの男性が柔らかい笑みでこちらを見つめているのが見受けられた。
2人ともまだ10代かな?というところだ。
え?この人たち、もしかして俺の親なの!?
と思考を巡らせていると、
勢いよく扉が開けられ、
「ダンスさん!!!お子さん生まれたってほんとうですか!?」
と言いながら、少年が入ってくる。
それに、爽やかイケメンの父さん(仮)が
「おぉ、ディルか。さすがに耳が早いな!ほらこのとおり、元気な子だ!さすがに俺とミルフィの子だ、将来はきっと美形に育つさ!」
と満面の笑みをたたえて答える。
どうやら彼が本当に俺の父さんらしい。銀髪に赤い目の、はっきり言わなくてもイケメンであるので、俺の将来が安泰っぽくて良かった。 父の名はダンス、というらしい。この少年はディルね。ふむ。
「こら、ディルもあなたも、ソルが怖がっているじゃない、、、少しは静かにできないの?」
「おっと、すまないすまない。」
「す、すいませんでしたっ!」
慈愛に満ちた表情で微笑むのは、俺の母さんだ。顔は笑っているのに、どこか凄みがある叱り方だった。
怒ったらこわそうだなぁ。しかし、綺麗すぎて一瞬自分の目を疑ったほど、母は綺麗な人だ。金髪碧眼の美女、というか美少女?というレベルで若々しい。母はミルフィ、というのか。ふむふむ。
すると、ディルが懐から小包をとりだす。
「これ、つまらないものですけど、お祝いに。どうぞ。」
「あぁ、ディル、ありがとうな。」
「あらまぁ、柔らかいお菓子ね?これならソルでも食べられるわ。ディル、ありがとうね。」
「いえいえ。喜んでもらえてなによりです。」
ディルがくれたのは、小さな果実のようなものだった。とても柔らかそうである。
会話から察するに、俺の名前はソルというらしい。
ふむふむふむ。
しっかし、いろいろ考えこんでたら、眠くなってきたな、、、
やっぱり体は赤ん坊という、こ、と、、、か、、、
こうして、まだまだ理解が追いつかないまま、微睡みの中に意識を手放した。
誤字脱字、感想等あれ是非とも。




