プロローグ
キレート王国は、様々な人種が暮らす国家だ。
人々は活気に溢れ、街の酒場の光は真夜中でも消えることはないし、身分の差はもちろんあるものの、貴族が平民を見下したりすることはなかった。
しかし、前からこうだったわけではない。
先代の王は、無闇に戦争したり、自分が贅沢な暮らしをするために国民の税を重くしたりと、ろくなことをしなかったために愚王と罵られていた。
圧政に耐えかねた人々は、革命を起こす。国軍は圧倒的な兵力を持っていたが、一部の将軍を除いて、手柄をあげても不当な扱いしか受けていなかった兵たちは次々と反旗を翻した。
戦いは3日と続かず、城はあっけなく落ちた。愚王は民衆の前で首を跳ねられ、国民を苦しめ私腹を肥やした貴族達も同様に斬首刑とされた。
王のいなくなったキレートは、一時は共和制にまとまろうとしたが、革命軍や民衆の強い要望から、革命軍リーダーの男が新たな王となることとなった。
新王は賢明だったらしい。まわりの意見を取り入れつつ、しっかりと芯をもった自分の考えを貫いた。白黒はっきりつける性格だった彼は、黒いことをしていた貴族や文官を裁き、あらたな国づくりへと歩みを進めていったという。
彼の望みは全国民を「平等」にすることだった。しかし、建国時代から残る奴隷制度や、身分制度を変えることはついぞ叶わなかったのである。実際に、まだその制度は残っている。
そして、歴史に名を残す賢王とされた彼が亡くなって、彼の意思を引き継いだ新たな王がキレートを治めることとなる。
王が代替わりしたのは、革命から50余年がたったときのことだ。
そんな時代の転換期ともいえるキレート王国に、また、新たな命が生まれる。




