私情警察8 ~前編~
カラン……
「やぁやぁ、マリさん。今日もお美しいっス!」
「まぁ、どうも…圭介さん」
一人の男が入ってきた。オレの後輩、圭介だ。
圭介はカウンターにスッと座る。今日もマスクをしてご登場だ。
今回もA4サイズが入る封筒で持ってきている。
圭介は鼻をすすりながらいつもの封筒をそっと渡す。
「マリさん!これ、いつものっス!…ズズっ」
「まぁ、ありがとう…お店を閉めたら読ませていただくわ」
「圭介、まだ風邪治らないのか?」
「いえ、風邪は治ったっス…。花粉症っス」
「あらまぁ。薬変えるだけでもちがうから…お医者さんに相談してみたら?」
「検討するっス…。頭以外悪いトコのない先輩がうらやましいっス」
「うるせー!って、そうそう、聞きたいことあんだよ。コレ見たことある?」
オレは例の黒いカードを圭介たちに見せた。
「ああ、コレ知ってるっス。おもちゃ屋さんッス」
「…そうなの?」
圭介は少し小声で話しはじめた。
「パっと見、おもちゃ屋なんですけど、そのカードを見せると一部の人間だけが入れる場所がありまして…そっちの方は非合法の武器や防具が売ってるっス。テーザーガンとか防弾チョッキとかスタンロッドとか手榴弾とかロケットランチャーとかも手に入るっス。あと武器によってはレンタルもしてくれるらしいっス。拷問器具もいくつかあったかもっス」
「くわしいのね、圭介さん。でも、しょっぴかなくて…いいの?」
「そんなことすると、いろんな人たちを敵に回すんで…。あと店主が多めに税金払っていますから行政も見逃している部分があるっス」
「袖の下ってヤツね…。いろんなことを知っているのね、圭介さん」
「僕って顔が広いんっスよ、誰かさんとちがって」
「んだとぉ!?」
「パンチだけが戦じゃないっス。こういう情報収集の積み重ねで事件を早期解決、もしくは事件を未然に防ぐこともあるっス!」
「ぐぬぬ…!」
なにも言い返せなかった…。
「っと、もうこんな時間か…。今日は早めに失礼するっス!」
言いたいことだけ言って、ヤツは帰っていった。
オレは玄関に清めの塩をまいた。
(非合法の武器屋か…時間があったら行ってみるか…)
そして滞りなく一日が過ぎた。時刻は夕方。オレは店じまいの準備をする…。
そしてその晩のこと…
「ふふ、圭介さんのラブレター…とても興味深いわ」
「どれ……ふん。国際的非営利組織か…」
オレはアイツが持ってきた資料に目をとおす。今回のターゲットは外国人か…。
海洋生物の保護を掲げる国際的非営利組織【エコテロリスト】…。クジラやイルカ、サメ、アザラシ、ウミガメ、海鳥などの保護も訴えており、環境保護を理由に漁船・漁業施設・漁民などへの攻撃を繰り返すという過激な活動で環境保護をアピールしている。連中の行動はときに過激となり、それがきっかけで悲劇が生まれることがある。日本政府の調査捕鯨を暴力的違法行為で妨害するなど、日本もしばしば被害にあっている。
(被害者は20代の男性。外道の流れ弾に当たって死亡…か)
今回の外道は銃火器の所持の可能性あり…か。
一般的に船上での銃撃戦というのは陸地よりも命中率が下がるといわれる。理由はカンタンだ。荒波で船体が揺れるからである。まぁ、オレには関係ない。特殊な訓練を受けてきたから、銃撃戦ではそうそう引けはとらないハズだ。
(待ってろよ外道ども、死なない程度に風通しをよくしてやるさ!)
そしてその日の夜、10時ごろ…。
コン…コン…コン…
裏口から一人のナイスミドルの中年男性が入ってきた。




