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1/22

01 女性の処女性が信じられない時代に突入・・・?!

9/22 に改稿してしまいました・・・。

大筋は変わっていませんが、細々としたことが変わっております。

本当にすいません。

9/25に微調整してしまいました。本当にすいません・・・。

 ルリィは十歳になってすぐの頃、ある日突然全身が光だし、聖魔法使いと認定されてしまった。

 その翌日教会から迎えが来て、とても愛してくれている両親と弟妹と引き離されて、教会へ連れて行かれてしまった。

 


 聖女と言ってもこの国ではそう特別なものではない。

 この国、ジャイカルには聖人は百人以上、聖女も百人以上居る。

 聖人や聖女の中で血縁関係の濃い者を除いて、力の強い者から順に王族と婚姻を結ぶことになっていて、王族は聖人、聖女の因子を多く持っていた。


 ジャイカル国では聖女の力が重要視されるので、下位貴族や、平民が王妃になることも多々あった。

 王族は産めよ増やせよと、子供を多く産むことで有名だった。


 今の王も当然、当時の最も聖魔法の力の強い平民聖女と婚姻を結んで、現在、王子は四人、王女は三人産まれている。

 そして、王妃は今も妊娠中である。

 

 王妃や上位貴族の出産は聖女に取り囲まれて、陣痛を和らげ、産みの苦しみを和らげ、子を聖魔法で守る。

 そのおかげで、死産や難産がほとんどなかった。


 王妃自身が力の強い聖女なので、子を守ることに優れていたからだった。

 出産後は治癒魔法で体調は万全になり、子育ての疲労も治癒魔法一つで解決だった。



 聖女が産む子供が全て聖魔法持ちとして産まれるわけではなく、半数の子供が聖魔法に恵まれ、半数の子供が聖魔法の能力がない子が生まれる。

 聖魔法の能力がないだけで、なにかの力に特化した者も多かった。

 たとえ、何の能力を持っていなくても、聖魔法の因子は強く持っているため、隔世遺伝として多く現れた。


 聖魔法が使えるものが何故半数なのか、その理由は今を持っても解らない。

 聖魔法の能力を持つ子供達は、聖人聖女として昼間は教会へと行き、その能力を磨くことになる。


 聖魔法を持たなかった子供達は、降下してその子の能力が認められると、望む地位へと降下させた。

 公爵の地位を望む王子が多く、公爵家の数が増えすぎるため、降下した孫の代からは侯爵へ降爵すると決められている。


 降下した王族の中には身分の低い者と婚姻した者も多くいるため、先祖返りで平民からも聖人、聖女が多く誕生しているのが現状だった。

 というか、聖魔法使いの因子を持たない子の方が少ないのだった。


 ただ、聖魔法が使えるものは多く産まれたが、魔力量の少ない者も多かった。

 ルリィは全身が光り輝いたが、手だけが光る者、頭がだけが光る者など、身体の一部だけが光る者も多かった。

 残念なことに一部しか光らない者の能力は低く、一部が光った者同士の婚姻を教会は推奨した。

 それは絶対でなく、あくまでも推奨だった。



 魔力量の差で、治癒魔法を使える回数や、治せる怪我や病気の重さが違う。 

 その為、聖魔法を持った者は、魔力量を増やすために、魔力を使い果たしては睡眠と食事で魔力量を復活させ、また使い果たすことを繰り返していくしかなかった。



 ルリィにとって残念なことに聖人、聖女の中でも魔力量が頭一つ飛び抜けて多かった。

 そしてまた残念なことに、何の能力も持たない第一王子殿下と年回りが良かったため、第一王子の婚約者と決められてしまった。

 それはルリィが十二歳の頃だった。


 この王子は能力を持たなかったために、能力を持つものを(うらや)み、毛嫌いした。

 役に立たないプライドばかりが高い男で、聖女であるルリィを平民と馬鹿にして、蔑ろにしていた。


 王子を産んだ母、王妃も平民だったのだが。

 そしてルリィを自分の持ち物と勘違いして、聖女の力を自分の力のように好き勝手に使った。


 紙で指を切った程度のことで王城まで呼び出す。

 その程度の怪我でも、教会へ来てくれるのなら、治療に文句は言わないが、王城へ呼び寄せ、治療が終わると、お茶の一杯も出さずに追い返す。

 教会と王城の往復だけでもどれだけ時間が掛かると思っているのか。


 相手は王子だからと周りの者に宥められ、ルリィは日々我慢し続けていた。



 ルリィの毎日は教会で魔力が尽きるまで治療を行い、気を失ったらベッドに運び込まれ、目が覚めると王妃教育を受け、常識を身につける為に読みなさいと渡される本を読みながら、治療を行う。

 そして気を失うとベッドに放り込まれる。

 毎日、その繰り返しだった。


 そんな中での王子から頻繁な呼び出しである。

 日々腹を立てながらも、第一王子殿下の言われるがまま治療を行っていた。



 ある日、朝早くから第一王子殿下の寝所に緊急だと呼び出され、何事かと思って登城すると、ある貴族女性と関係を持ってしまったので、女性の処女膜を再生しろと言われた。

 私は、この時まだ十二歳。 

 処女膜が何なのかも分かっていない。

 男女のあれやこれは王妃教育の中で、サラッと習った程度である。



「そんな治療したことがないので、できるのかどうか解りません」

 そう答えると「いいからやってみろ」と言われ、処女膜再生と頭の中で考えながら治療を行ってみた。


「寝所の戸外でしばらく待て」

 そう言われ扉の前で立って待たされていると、女性のあられもない嬌声が聞こえ始め、事が終わると「もう一度処女膜の再生を行え」と言われた。


 第一王子殿下が言うのには「処女膜は再生していた」と満足そうに言った。

「そうですか・・・」

 私はは小首をかしげた。


 私はなんとなく帰り道に文具店へ寄り、新しい手帳を買って、今日の日付と女性の名前と処女膜を二度再生させたことを書き記した。

 何故かそうすることが大事なことのように思えたのだった。

 そして、これからは早朝の呼び出しが頻繁にあるのだろうな。とルリィはそう思った。


 それからは二日か三日に一度、朝早くから呼び出され、処女膜の再生を行うことになった。


 第一王子殿下に愛想がつきたこともあって、厳しい王妃教育が馬鹿らしくなり、早朝に第一王子殿下に呼び出されることもあって、王妃教育の時間が削られ、教育は進まなくなった。


 一度第一王子殿下の元で処女膜再生を行った女性は、度々教会へやって来て、「秘密ですよ」と言ってルリィが何も言っていないのに、結構な金額を個人的に渡してきて、処女膜の再生を三度、四度と望んだ。


 この頃にはルリィも知識を得ていて、女性の処女の意味を正しく理解していた。

 女性の処女性が信じられない時代の到来ね。他の聖女や聖人も同じように処女膜の再生治療、出来るのかな?


 疑問に思ったけれど、そんなことを他の人に聞くこともできず、ただ、望まれるがまま、処女膜を再生し、その女性の名前と日付を書き記していた。



 ルリィが十三歳になって間もない頃、国の防衛線のハルロイ辺境伯領地が隣国から攻撃を仕掛けられた。


 王は直ぐに辺境伯へと治癒魔法が得意な聖人と聖女と援軍を派遣することにした。

 当然、ルリィもハルロイ辺境伯の元へと送られる人員に選ばれた。


 十三歳の少女を戦場に行かせるべきではない、という常識を持った貴族は反対したけれど、魔力量の多さで、ルリィを参加させないと「その代わりの者を六人は送らなくてはならなくなる」と言われると黙ってしまった。

 ルリィを戦場に送るなと言う反対派の声は小さくなった。


 ルリィ自身はというと、第一王子殿下に馬鹿なことで呼び出されなくて済むことと、王妃教育から逃げられることで、内心では戦場行きを喜んでいた。


 戦地のハルロイ辺境伯領に到着するまでに八日かかり、到着と同時に、重傷者の治療から初めることになった。

 ルリィは戦場というものを初めて見て、少し興奮して、そして怖くなった。


 怪我の酷い姿などは常時、見てきている。

 死とは、ルリィの直ぐ側にいつもある。

 丁寧に治癒魔法を次々に掛けては気を失い、目が覚めては治癒魔法をかけた。

 

 ルリィは自分が気を失っている間に、誰かが死ぬのではないかと怖くなり、魔法の扱いも気をつけるようになった。

 僅かな魔力で最大限の効果を発揮させるようになった。


 毎日魔力が枯渇するまで治療して意識を失い、目が覚めたらまた治療をして、一人でも多く助けようとルリィ達治癒班は全員一丸となって、休みなく頑張った。


 戦場に行く前と比べると、魔力量が三倍量になった頃、戦争は圧勝で終わった。


 ハルロイ辺境伯は隣国へと攻め入り、前線をどんどん隣国のメキシアへと突き進んでいき、戦争終結時には、メキシアの領地の一/三の領土を奪っていた。


 今回の戦争でこちらの人的損害は非常に少なく、治癒班は高く評価され感謝された。

 戦争で怪我した全ての人達を治療して、王都へと帰ると決まった時、ルリィは十六歳になっていた。



 ルリィ達治療班は教会へと帰り着いて、自分の部屋に落ち着いて、やっとまともな眠りについた。


 翌朝早くから起こされ、王城へ来るようにと第一王子殿下が呼んでいると言われ、ルリィは丁寧にお断りした。

 どうせ碌な用事ではない。

 二日間は陛下から頂いた休息日だった。断っても問題ない。

 王子は腹を立てて何度も使者をよこしたが、ルリィは全てを拒絶した。

 



 今回の戦争の功労者達が王城へと呼び出され、ルリィもその中に並び立っていた。


 王族が壇上にズラズラと並んで座っている。

 勿論、私の婚約者である第一王子殿下も並んで座っている。


 陛下は一人一人に功労の声を掛け、報奨を与えていく。

 最後に治癒班が報奨をもらえる番になった。 

 ルリィは長い時間、退屈で仕方なかった。


「聖人、聖女達にも何か褒美をやらねばならん。何が欲しい?」

 陛下にそう聞かれて、皆それぞれ欲しい物を陛下に告げ、ほぼ陛下は受け入れた。



「さぁ、ルリィ、治癒班の中でも最も功績を上げた其方は何を望む?」

「褒美がいただけるのでしたら、第一王子殿下との婚約解消を望みます」


 第一王子殿下が目を見開いてその後、怒りの表情をして「貴様から婚約解消を望むなぞ生意気だぞ!!」と騒ぎ出した。

 陛下に「黙れ」と一言で黙らされた。

 その場に居た沢山の騎士や貴族もざわざわとし、陛下は少し面白そうに笑った。


「何故、第一王子との婚約解消を望むのか?」

「第一王子殿下が役に立たない愚かな人だからです」

「ほう・・・」


 一瞬、ざわめきが大きくなり、今度は直ぐに静かになった。

「それに、私は戦場に駆り出されたために、王妃教育が止まっています。婚約解消と自由恋愛の許可が頂きたいです」


「婚約解消は認めてもよいと思うが・・・其方は結婚したいと思う相手でもいるのか?」

「いえ、まだそういった相手はおりません」

「そうか・・・。なら自由恋愛は難しいと思うぞ。第一王子との婚約解消すると、貴族たちがこぞって婚約解消して、其方に婚約の申し込みが殺到するだろう」


 ルリィはなるほどと思った。


「結婚相手として第一王子殿下だけは絶対に嫌です」

「解った。それは受け入れよう」

「ありがとうございます。ついでにお願いがあるのですが、私を治癒のために王子、王女からの呼び出しは禁止してください」


「王城へは治療に来ないということかな?」

「違います。必要な治療の為なら呼んでいただいてかまいませんが、紙で指を切ったとか、ささくれができたからとか、女性の処女膜を再生しろとかで呼び出されるのが嫌なのです」


 第一王子殿下が私に向けて「黙れ!!」と怒鳴った。

 第一王子殿下は立ち上がり、私の方へと向かってくる。

 陛下に止められ、王子は渋々席へと戻った。

 陛下が王子に「口を開くな。次に口を開いた時はここから出せ」騎士達へと命じた。


 貴族達のざわめきは止まず、静かになるまでに少々の時間が必要になった。



「其方、女性の処女膜が再生できるのか?」

「そのようです。王子が試されましたので」


 また大きくざわめいた。

 陛下ではなく、貴族が並ぶ場所から「試すとはどうやって?」と声が上がる。


「王子と枕を共にした女性の処女膜を再生させ、私を戸外で待たせて、もう一度処女膜再生の治癒を行うように命じられました」


 今度はざわめきは収まらない。

 陛下が第一王子に「再生していたのか?」と聞かれ王子は答えを渋ったが「はい」と答えた。


「ルリィ、今までに何人くらいに処女膜再生の治癒を施したのだ?」

「およそ五十人、同じ方に何度も治癒したこともあります」


 今度はもうざわめきは起きず、誰も口を開かない。

 その視線は私へと向かうものと、王子へと向かうものがあった。


「其方はその女性達の名前は解るのか?」

「全て記載しておりますので解ります」

 私は懐から封書を出し、陛下へと差し出す。

「写しになります」

 宰相補佐の方が私から封書を受け取り、陛下へと渡した。


 陛下はその封書を開かないまま懐へと仕舞った。



「其方の婚約者は其方の望みを叶えると約束しよう。王子、王女からの治癒のための呼び出しも禁止にしよう。それと、処女膜再生の治癒は今後行ってはいけない。それも禁止にする」


 陛下がそう言った途端、数人の貴族女性が倒れた。

 私が戦場に行っている間に処女を失った人達かな?と思った。

 治癒班の中の聖女が向かい、治療が行われ、運び出されていった。


「ありがとうございます。医療課からの呼び出しには喜んで答えたいと思います」

「うむ、頼んだ。其方には今までの迷惑料も込めて、相応の金貨を下賜する」

「ありがとうございます」



 

 それから私の元には沢山の婚約申込みがやって来た。

 取り敢えず、今はまだ考えられません。とお断りしている。


 貴族からの面会申し込みが凄く多くて、断れない方からの面会は受けざるを得なかった。


 何の用かと思っていると、自分の娘、婚約者は処女なのかという問い合わせだった。

「治療行為だったので守秘義務の為、お答えできません」

 と答えておいた。


 すると、女性を伴って親や婚約者と一緒に来る方々もやって来て「私が処女膜再生の治療を受けていないと言ってください」と言われた。

「本当に答えていいのですか?」

 と念入りに聞いてから、治療をしていない人には「していません」と答えた。


 中には勇者が居て、治療を受けた女性がやって来て「治療を受けていないと答えてください」と言うので「私は嘘はつけませんが、本当に答えていいのですか?」と聞くと答えを聞かずに帰っていった。


 私が答えずとも答えたようなものだった。



 婚約申込みと貴族の面会から逃がれるため、教会にお願いして、併合した新たな領地へと派遣してもらうことにした。

 新たな防衛線を築くために大規模の工事が行われるため、怪我人が増えることと、道中の今まで治療を受けたことのない人々を癒して回るためだった。



 第一王子は陛下と王妃に「お前には失望した」と言われて、子爵位へと臣籍降下が決まったと、私の出立前に聞いた。



 ルリィは防衛線へ向かう道中に、両親がいる村へと寄ることにした。

 両親は元気だったけれど、一応村の全員に治癒魔法を掛けて回った。

 農作業で曲がった腰がまっすぐに伸びるのを見るのは、治癒師に慣れてよかったと思える瞬間でもある。


 数日、両親の下でゆっくりして、治療をしながらのんびりと防衛線へと向かった。

次話がまだ完成していないため、暫く日をいただきたいと思います。本当にすいません。

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― 新着の感想 ―
[一言] クソ王子は顔面が洗面器になるぐらい殴ってもよかった
2023/09/22 10:06 退会済み
管理
[良い点] 主人公の感受性的な情緒的な何かが蒸発しきってしまった、乾いてサラサラな感じ。 [一言] 王子の所為で人間不信、その後、戦場送りってヒドイ。 まだ年端も行かない娘さんなのに……( ;∀;)…
[一言] なかなかに斬新な設定だと感じました。 面白かったです
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