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聖女って、魔力を使い果たすまで使って、気絶したらベッドに放り込まれる人のことです。  作者: 瀬崎遊


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2/22

02 一歳年下か三つ年下か五つ年下か選んでいいよと言われました。

 第一部、『女性の処女性が信じられない時代に突入・・・?!』

 9/22に改稿しています。

 大筋は変わっていませんが、細々としたことが変わってしまいました。

 第一王子が伯爵だったものが子爵になっていたりします。

 もしお時間があるようでしたら読み直していただけると嬉しいです。

9/25にも微調整しました。

 防衛線に着くまでに一年近く時間を掛けた。

 あっちへふらふら、こっちへふらふらしながら、村の人達と仲良くなりつつ、移動した。

 メキシアには聖女が居ないために、戦争で傷ついたまま放置されている人がいたり、持病や怪我をしていた人が多かったため、治療にも多少時間がかかった。

 

 それに王都に帰りたくないという、思いがいっぱいの私は、急ぐ旅では無かったということもあって、ゆっくりと村から村へとたっぷり時間を掛けて移動した。


 防衛線に着くと隣国メキシアの王族がズラズラと並んでいて、治療して欲しいとお願いされた。

 特にどこかが悪い訳では無いらしい。

 治癒されると、日常の疲れも綺麗に無くなることを知っているからの願いだった。


 正直、戦争で傷ついた人たちの治療がしたいと思っていたけれど、敵国の治療をしたいとは思っていなかった。


 死にかけているのならいざしらず、敵国の王族に治癒魔法を使う理由が見つからなくて、私もハルロイ辺境伯も治療を拒否した。

 治療はしないと言っているのに、メキシアの王族もしつこくて、判断をジャイカルの王族へと(ゆだ)ねることになった。


 ハルロイ辺境伯が陛下へと使者を立て、その使者と共に第二王子殿下がやって来た。


 メキシアの王族と第二王子殿下が話し合い、第二王子殿下から、私に治療をするようにと要請され、治療へと至った。


 防衛線近くに、メキシアの王族がいると、殺気立つ騎士達が居て、面倒この上なかったので、早々に居なくなってくれることをジャイカルの面々は望んでいた。



 治療が終わった私は第二王子殿下に呼び止められた。

「メキシアの王族から治療費を頂いている。その金額を教会に戻ったら受け取ってくれ」

 そう言って第二王子殿下のサイン入りの書類を渡され、その金額を見て目が飛び出るかと思った。

「一生働かなくても食べていけますね」

「平民ならな。貴族だと半年ほどしか過ごせないよ」



 メキシアの王族との話し合いが終わったら、直ぐに帰るのかと思っていた第二王子殿下は「暫くここに留まる」と態々私に伝えに来た。

 

 態々私に伝えに来ることといい、第二王子殿下はなんだか私に纏わりつくなー?と思っていると、第二王子殿下が「ルリィの第一位婚約者候補に私が選ばれている」と言った。

 第二王子殿下は私の一つ下で十七歳だとも言った。


「王族の方はご遠慮したいのですが・・・」

 第一王子殿下が子爵位に降下した以上、第二王子殿下が次の王様だよね?


「あぁ、私は辺境伯へと降下すると決まっているんだよ」

「そうなのですか?」

「王になんてなったら働き詰めになっちゃうでしょ?弟に王になりたがる子達もいるし、それならいいかなと思って、私は辺境伯になることに決めたんだ」


「えっ?じゃぁ、ここに来るんですか?」

「ここより西側になるけどね。私が十八歳になると移動することになると決まっている」


 メキシアはジャイカルの北に位置する。

 攻め取ったのは西側が一番メキシアに深く食い込んでいて、東側は西側ほど食い込んでいない。

 それでも、かなりの土地を攻め取っている。


「西側の大部分が私の領地となり、中央部分に、先代の王弟である公爵家が辺境伯になって中央部分に。東側は公爵へと降下している陛下の末弟である私の叔父が、辺境伯となる事が決まった」


「防壁を守るのは全員王族と言うことですか?」

「そうだね。そうしたら聖女(奥方)が付いてくることになるから一石二鳥だろう?」


「そうなんですか・・・」

 辺境伯としての能力があるのか心配な配置に、誰も何も言わなかったのか不思議に思った。

 そんな私の考えが読めたのか、第二王子殿下は「今まで守ってきた辺境伯達が鍛えてくれるから心配ないよ」と笑って答えた。


 第二王子殿下は第一王子殿下とは全く違うタイプなんだなぁーと感じた。


「あぁ、そうだ。私との結婚を断ったら、下の王子は君の三つ下にあたるけど・・・」

「えぇ?・・・あのぉ・・・私、王族の方々を、お断りは出来ないんでしょうか?」

「勿論、断ることは出来るよ。報奨の場で陛下が認められただろう?でも、いらぬ内乱を起こしたくないなら、王族を選ぶの方がいいと思うよ」

「内乱って・・・」


「起きるだろう?ルリィ嬢の奪い合いが」

「それは断れないと言っているのですよね?」

「そんなことはないよ。諦めてもらうのが一番だと思っている。ルリィ嬢は歴代聖女の中でも能力も魔力量も高すぎるし、王都に戻ると貴族が色んな意味で騒ぐだろう?」


「第二王子殿下と結婚するって決まっているんですね?」

「決まっていないよ?三つ下の弟でもいいし、その下の弟でもいいよ」

 その下の王子殿下って、五つくらい下だったはずなんだけど・・・。

「それは決まっているというのと変わりないと思うんですけど・・・」


「陛下としてはルリィ嬢には王都に居て欲しいと思っているらしいよ。教会に住まわせず、王城に住まわせたいとも仰ってもいた」

「それは絶対嫌です・・・」


「だろう?・・・私、優良物件だと思うけど?」

「王族の方が嫌なんですけど・・・」

「単なる辺境伯だよ」

「私達が結婚した場合、子供はどういう立場になります?」


「辺境伯の子として普通に子育て出来るよ。まぁ、聖人、聖女認定されちゃうと教会に取られちゃうけど、屋敷の側に君のための教会を建てることになっているから、君が育てることになると思うよ」


 子供を取り上げられないだけでも第二王子殿下と結婚するのはいいかもしれないと頭をかすめた。


 聖魔法の能力を持った子が生まれると教会に取り上げられるのは法律で決まっている。

 ただし、王族の子に限り、昼間は教会へ行くことになるが、夜は親元へ帰ることが出来る。


 元王族の辺境伯の扱いがどうなるのか知らないけれど、教会が隣りにあって、昼も夜も一緒に居られるなら、いい話なような気がした。


 私が聖魔法に目覚めて教会へ行ってからの両親弟妹の嘆きは、それは見る者も涙なくしては語れない。というほど悲しんでいたと聞いている。

 私も半年ほど治療しながらも、泣き暮らした。

 両親から引き離され、辛い聖女としての日々を思い出し、少し悲しくなった。



「まぁ、後一ヶ月私は防衛線にいるから、その間に答えを出してくれる?」

「質問形ということは答えがもっと後でもいいってことですか?」

「いいよ。但し、結婚相手は弟になるけど」


「第二王子殿下のお気持ちはどうなんですか?」

「嫌ならここに来てはいないよ」

「そう・・・ですか・・・この後の予定はどうなっているんでしょうか?」


「私が帰る時に王都へと一緒に帰ってもらって、結婚式の準備をしてもらうことになる。私の十八歳の誕生日に結婚式で、その後直ぐ私が頂いた領地へと移って、暫く子作りに励んで、教会が完成したらルリィ嬢はそこで昼間は働きながらの子作りかな。まぁ、先の長い話だけど」


「私が返事する前にそこまで決まっているのですね?」

「いやぁ、決まっていないよ。予定だよ予定。ルリィ嬢の返事待ちだよ。私はルリィ嬢の一言一言に一喜一憂しているのさ」

 悪びれない第二王子殿下に聞こえるように大きくため息を吐いた。

 声を上げて笑われてちょっとだけムッとした。



 第二王子殿下は工事現場の視察や、頑張っている人々に声がけをしている。

 けれどあまり土魔法の能力の高い人はいないのか、遅々として進まない。



「ちょっと私が賜ることになる領地を見に行くよ」

 そう言って私の手をとり、私を馬車に乗せた。

「えっ?私も行くんですか?」

「ルリィ嬢も住む場所だから気になるだろう?」

「・・・・・・」


 第二王子殿下は笑って、互いのことを知ろうと言って、馬車の中で色んな話をした。

 どんな領地にしたいのか、村民の声が直接届くのだから、その声を聞き入れたい。そんな話もした。

 子供はたくさん欲しくて、あんなことがしたい、こんなこともしてみたいと話してくれた。

 その時間は私にとって両親から引き離されて初めての楽しい時間だった。

 


 第一王子殿下との婚約時は会話というものは全く無かった。

 ただ命令されるだけの関係だった。

「王族たる私が聖女とは言え平民の女と何故結婚せねばならぬのか?!」

 そう言って私と会う時は何時も怒っていて、私には何をしてもいいと思っていた。


 一度、怪我を治療してからは、便利な治癒師扱いになり、プレゼントも、お茶も一緒にいただくことは無かった。

 なので、私の感覚としては第一王子殿下は面倒な人だっただけで、婚約者だとは思っていなかった。

 第一王子殿下が女性と何をしていようが、なんとも思わなかった。

 ただ(わずら)わしかっただけだ。



「ねぇ、ルリィ嬢、私の名前知ってるよね?」

「はい。知っております」

「だったら何故名前で呼ばないの?」

「第一王子殿下に、私ごときが名前を呼ぶなど厚かましいと言われたからですね」

 第一王子殿下は第一と言われることにこだわる人だった。

 次期国王は自分だと示したかったのだろうと思う。


「兄上は本当に聖女様を何だと思っていたんだろうね?私は名前で呼んでもらいたいんだけど・・・もうすぐ、王族じゃなくなるし」

 ちょっと顔をひきつらせながら私は「解りました」と渋々答えた。



 目の前に大きな川があり、その川に架けられた橋に馬車が乗ると「ここから西側が私の領地になる」と第二王子殿下こと、ランベルト殿下は言った。

 

 地図を開き、指先で川から防衛線をたどり、ランベルト殿下の領地の大きさを示した。

「こんなに広くて領地の端々にまで目が届くのですか?」

「優秀な側近がいるからなんとかなるだろう」

 指さしながら「ここと、ここ、ここに側近の屋敷を置くことになる」と八箇所指さした。


「私の屋敷はここになる」と言って領地の中心部を地図で指し示した。

「暫くは前の領主が住んでいた屋敷に住むことになるが、そのすぐ横に新たな屋敷を建てることになる。完成したら引っ越しだな」


 優秀な側近八人は既に前の領主の屋敷に行っていて、残された書類等に目を通しているとのことだった。



 着いた屋敷は古い古い建物だった。

 外壁は苔生(こけむ)していて、通り道以外の庭は荒れ放題だった。

 そんな庭に反して、建物の中はとても片付いていて綺麗だった。


「中と外で大違いですね」

「貧乏領地で外まで手が回らなかったのだと聞いている」

「収入が少なかったのですか?」

「違う。この間会ったメキシアの王族が、戦争を仕掛けるために絞れるだけ搾り取っていたらしい。王族だけが肥え太り、民には生きられるギリギリの生活をさせていたみたいだ。接収した領地はどこも似たりよったりだった」


「知りませんでした。皆、痩細っているとは思っていましたが・・・」

「民を大事にする領地経営をしたいものだ」

「そうですね」

 その考えには賛成だと思った。


 なんだか嫌な気配を感じて、ランベルト殿下の顔を見ると、ニヤニヤと笑っていた。

「私と領地経営を頑張ってくれるってことかな?」

 私はにっこり笑って「どうでしょう?」と答えておいた。


 側近の方々と挨拶を交わし、旅の疲れを取ってくださいと、入浴の準備をしていてくれた。


 そこは温泉と呼ばれる、地下から自然とお湯が湧いて出てくるところらしく、大人が十人入っても余裕があるほど大きな湯船だった。


「すごーーい!!こんな広いお風呂初めて!!贅沢〜〜〜!!」


 湯の中に浸かると、ザッパン・・・と溢れ出す。

「きもちいい・・・」

 子供の頃に川で遊んだことを思い出す。

 全身の力を抜いて、体が浮くに任せる。

「しあわせ・・・」


 この温泉に入れただけでもここに来た甲斐があった。

 こんこんと下からお湯が湧いて出てきていて、どんどん流れ出ていく。お湯は少し熱め。

「長湯するとのぼせちゃうかも?!」


 端の方に人が二人ほど入れる小さな湯船が一つある。

 のぞいてみると、水が八分目程入っていて、そっと手を入れてみると冷たい水が入っていた。

 なんだろう?と不思議に思ったけれど、解らない物には触らないほうがいいと思って、頭と体を洗って、もう一度湯船に浸かって温泉を堪能した。



「ここに住んでいた領主様はどうされたのですか?」

「村民に聞いたところ、敗戦間際に慌ててメキシアへ逃げたらしい」

「領地を投げ出した領主様って、国では厄介者になりませんか?」

「戦争でどれだけ人が死んでいるかで変わってくると思う」

 なるほど。と納得していると、ランベルト殿下にエスコートされ、食堂へと案内された。


「今日の夕食はここの郷土料理らしい」

「もしかしてここにいる使用人は、メキシアの方達ですか?」

「そう。領主が逃げる時に置いていかれたらしい」

 私が安全なのかちょっと気にしているのが判ったのか「メキシアに行きたいものは行くように進めた。残った者はこれからは私達の民だ。あまり気にするな」と背をポンポンと叩かれた。


 実を言うと先の戦争から聖人、聖女には護衛騎士がつけられていた。三交体制で、必ず二人は私にはついていてくれる。

 聖女につけられたのは全員女性で、聖人には男性騎士がつけられた。治癒魔法を使っては気を失うので、護衛が必要だったのと、戦場という危険な場所での治療、無防備な背を守ってくれる人が必要だった。


 その中から私と気が合って、優秀な護衛騎士が、今回は六人つけられている。

 その騎士達も「何があっても守ります」と笑顔で答えてくれた。


 食事中に温泉の話になり、使用人の方が教えてくれたのは、小さい湯船はのぼせた時等に浸かるのだと教えてくれた。


 郷土料理は味も食材も物珍しいものだった。とだけ書き記しておこう。

 けっして不味かったとか、口に合わなかったなどとは言ったりしない。



 ランベルト殿下はここに来てからは忙しいようで、私に構うこと無く、自由にさせてくれていた。

 私は村民に治癒魔法を掛けて回り、炊き出しも行った。

 村民達とは仲良くなり「ずっとここに居てください」と手を握ってお願いされた。



 ランベルト殿下がこの地を旅立つ日、二台の馬車の中央に立った。

「私はこちらの馬車に乗る。ルリィ嬢が私の乗る馬車に乗れば、私と結婚することになり、もう一台の馬車に乗ると弟かもしくは他の誰かと結婚することになる。さぁ、どちらに乗る?」


 私は肩を落としてランベルト殿下が乗る馬車に乗り込むことを選んだ。

 王都までの道のりは、楽しいものだった。



 王都に戻ると、とても慌ただしい日々を送ることになった。

 たった一度しか着ないのに、贅沢なウエディングドレスを突貫で仕立ててもらうことになった。

 それも二着。結婚式用と、披露パーティー用らしい。

 一応女の子なので、夢は見ていたけれど、全てが想像と違うものになった。


 結婚式には私の両親も招待してもいいと言ってくれて、ランベルト殿下に招待状を渡された。


「ルリィ嬢のご両親に移り住む気があるのなら、領地に来ていただいてもいいよ」

「いいんですか?」

「元々農家なんだよね?」

「はい」

「戦争に駆り出されて亡くなった村民が大勢いるから、その畑を任せてもいいなら、来ていただきたいくらいだよ」

「ありがとうございます。聞いてみます」


 結婚式への招待状と、移住の提案を書いた手紙を持たせて、使者を送った。

 来週アップ出来ると良いな。と思っております。


 一話が長すぎますか?

 4〜6000文字目安にしているのですが・・・。

 2〜3000文字ぐらいにしたほうがいいのでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 正直両親から引き離したうえに自分のことを散々こき使ったゴミを産んだ一族と親類になるぐらいなら死んだ方がマシかもな。 あと小説の長さに関しては問題ないです。 むしろ1話の本文と、星5ください…
2023/10/06 23:58 退会済み
管理
[良い点] よかった、まともに会話できる人! 少々強引ではありますが、セールスポイントを明確にしてくれるのは良いですね。 [気になる点] 第一王子が王族の基準になってしまっているので。第二王子には、…
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