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姉の失踪と新しい生活

 私の姉は、3年前に行方不明になった。当時私は中学生で、姉は大学を卒業した頃だった。姉の大学の友達や先生も、何も知らないらしい。


 ただ、家に置き手紙が残されただけだった。


 置き手紙にはこう書かれていた。

「ごめんなさい。私はとある研究をするため、海外へ行きます。お金の心配はいりません。寂しい思いをさせてしまうと思います。わがままな私を許してほしいとは言いません。でも、いつか帰れる日が来たら、その時は温かく迎えてください。 美緒奈」


 私達に残されたのは、大きな喪失感だった。手紙を見つけた時はただただ呆然とした。両親がその後陰で泣いていたのを私は知っている。


 私は、結局まだ1回も泣いていない。


 姉がいないことを実感する前に、姉がいないことに慣れてしまった、とでも言うのだろうか。年が離れているからか、なかなか一緒に遊ぶこともなかった。というより、姉は頭も良く私よりもずっと大人で、私とは遊ぼうとも思わないのだろうな、と勝手に思っていた。もしかしたら、姉も同じようなことを思っていたのかもしれない。まあ、これはただの私の期待だけれど。


 そして、この前姉らしき人を見たという情報を貰い、私達は一縷の望みをかけてこの街へと引っ越してきた。今日から、私は新しい学校へと行くのだ。

 私が行く学校は自由な校風で、私服登校なのはとても新鮮な気持ちだ。


「行ってきます」

返ってくる声はない。職場が引っ越しで遠くなったから、前よりも両親は早く家を出る。だから見送る人もいなくなった。


 でも、いつかは……いや、なるべく早く。お姉ちゃんに、「行ってらっしゃい」と言ってもらえる日が来るように。そんな祈りを込めて、私は家を出た。


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