6話 ついに冒険者《和也側》
「大丈夫?」
目を開くと、そこには心配そうに俺を見ているセリルの顔があった。
ああ、そうだ。試験で怪我をして……俺の足は?
動かせる。なんの異常もない。むしろ、怪我をする前よりも状態が良い気がする。
セリルは俺が思っていることをなんとなく察したようで、
「思ったよりも君の怪我は軽くて、骨に少しヒビが入って、砕けたところはほんの少ししかなかった。だから、グレート・ヒールを使ってカズヤをギルドの部屋で寝かせることにしたんだ。」
そういうことか。骨にヒビが入ったり、砕けてるのは結構重症だと思うんだけどな。魔法があるから、そういった認識が違うのだろう。
「ありがとう。」
「僕だけじゃないよ。ギルドの職員さんがほとんどやってくれたしね。あ、あと、試験は合格だってね。」
ギルドの職員さんにも感謝だな。合格か。あの試験は魔法禁止だったから、できたけど、実践だとそうもいかないだろう。これからの為にも、しっかり鍛えておきたい。
なら、
「セリル、俺に戦い方を教えてくれないか?」
「僕で良いなら。基本的なことしか知らないけどね。」
そうして、1週間ほどギルドの訓練場を使い、セリルから戦い方を教えてもらうことになった。その前に冒険者登録を証明するカードを受け取らないとな。
***
「試験合格おめでとうございます。こちらが冒険者カードです。最初はランクFからですね。」
別の受付さんが冒険者カードを渡してくる。カードは薄く硬い素材でできていて、金色の文字でカズヤ、ランクFと書いてある。
ランクってなんだ?そう思っていたら、受付さんが説明をし始めた。
「えーとですね、冒険者にはランクというのがありまして、下から順番にF,E,D,C,B,A,Sですね。ランクが高いほど、大きな功績をあげていたり、強かったりします。」
なるほど。そして、なぜか受付さんから小さな針を差し出された。
「この冒険者カードに血を一滴で良いので垂らしてください。そうすることで、所有者登録が完了します。」
へえ、血で所有者登録とかできるんだ。流石、異世界って感じだな。そう思いながら、俺はカードに血を一滴垂らした。すると、血はカードに波紋を作り、最終的には血はカードに吸収され、元の見た目に戻った。どうなっているのだろう。
そのあとは宿を探すことにした。泊まる場所がないとどうにもならないからな。セリルぐらいの年齢なら泊まることができるようだ。セリルは俺の分の宿泊代まで払ってくれた。さっさとお金を稼いで、セリルが払ってくれたお金の分を返さなければ。
「あっ、同じ部屋でも良いかい?」
「別にいい。」
俺は短く返事をした。別に同じでも、大した問題はないしな。セリルは男だし。鍵を貰ったあと、俺たちは2階にある部屋へと向かっていった。
「ふう、落ち着くね。」
セリルはにこあるシングルベットのうちの1つに座りながらいった。まあ、今日は1日中色々なことがあり過ぎたから、1ヶ月を濃縮した気分になるな。
セリルは朝食付きで風呂(水浴び)ありという好条件にしてくれたようだ。また、貸しが増えてしまったな。
付くのは朝食だけなので、昼と夜は外に食べに行かなければならない。だが、俺たちはツノブタの肉で満足していたのと、疲れていたのもあるので、今日は水浴びをしてこのまま寝ることにした。
***
寝れない。なぜか分からないが、全く眠くない。セリルも起きていたようなので、少し話をしたいな。
「なあ、セリルはどうやって合格したんだ。」
「カズヤ?まだ起きていたんだ。ええっとね、試験官の人の剣を受け止められるかと、僕の剣の動きを見るだけで終わったんだ。で、合格って。」
めちゃくちゃ楽じゃないか。俺の苦労はなんだったんだ……
「カズヤは実戦だったんだね。それでもBランク冒険者に勝てるなんて凄いよ。」
「あれは、剣だけだったからなのもあるし、少し手加減されていたからな。」
「そうかな?僕はそろそろ寝ようと思うけど、カズヤは?」
「全く眠くないんだ。」
「もしかしたら、回復魔法の副作用かもしれないね。回復し過ぎて、休む必要がなくなっちゃったのかも。まあ、明日になれば大丈夫だと思うよ。おやすみ、カズヤ。」
そういって、セリルは寝てしまった。回復魔法の副作用かそんなのがあるんだな。
ん?この世界に来て、ずっと違和感があったんだが、今気づいた。
日本語じゃないか……
ガッツリ、日本語だったな。偶然なのだろうか。
あ、睡魔が襲ってきた。おやすみなさい。
次回も和也側です。
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