5話 悲しい夢《王女側》
王女サイドです。
来た、ついにこの日が。学園の入学試験。入学試験は入学の一ヶ月前にやるのだ。この試験は落とすためっていうより、実力をはかるため、って感じだけど、しっかり頑張らないと。第3王女が最下位とかシャレにならないしね。
試験は筆記、戦闘、魔法の順番だね。うーん。戦闘が1番心配だな。私は非力な女の子よ?まあ、やれるだけやってみよう。
***
えーと、『次の中からもっとも魔力回復に効く薬草を選びなさい』?なにこれ、すっごい簡単。ほいほいほいっと。『あなたがもっとも役に立つと思う魔法の名前を書き 、その効果と選んだ理由を書きなさい』か。やっぱりヒールだよね。ハイヒール、と。
ふんふん。
***
思ったよりも簡単だったな。7、8割はできたかな?
次は鬼門の戦闘試験だね。逃げたい。強そうな試験官が待っている。冒険者らしいね。ムッキムキで、金髪に緑色の目だ。それなりのイケメンなのに、なんか残念臭がする。いわゆる、残念イケメンだね。
-えっ?現実逃避するんじゃないって?
だって、私が一番最初にやるんだもん。周りからの圧が凄い。
「受験番号002!」
私の受験番号が呼ばれた。
支給された剣を持ち、ゆっくり試験官の方へ進むことにした。
次の瞬間、私は地面に倒れ、空を見上げていた。何かされたのだろうと予測はつくのだが、何をされたのかわからない。
あとは魔法の試験に賭けるしかないな。
***
「では、魔法を使い、15メートル先にある的を破壊してください。」
そう試験官は言った。
魔法はちょっと自信がある。厳しい宮廷魔術師の人が魔力のコントロールだけは完璧だって言ってくれたから。これは火魔法でやったほうがいいかな?
「火矢」
私がそう言うと、私の手から出る、白く輝く細い糸が魔法陣をえがいていく。できた魔法陣からは燃え盛る炎に包まれた矢が的の方へ進んでいく。
メキャメキャという音を立てて的は壊れていく。最終的に残ったのは的を支えていた棒だけだった。
ふー。上手くいってよかった。あれ?試験官さんがフリーズしてる。ま、いっか。
そう思い、私は家へと帰っていった。
***
いよいよ、試験結果が出る。楽しみと同時に不安もある。そんな感情が入り混じりながら、私は学園へと向かっていく。私は発表の紙を見つめる。番号がない!あれ?あっちにもう一枚の紙があるようだ。その紙を見てみると……
002、002っと。あった!良かった。
私は安堵して家に帰っていった。
***
「ルーニ。おめでとう。」
普段、滅多に喋らないお父様が口を開いた。なんのことを言ってるんだろう?試験のこと?
「ありがとうございます。」
「10位以内に入るとはな。さすが我が娘だ。」
衝撃の新事実。10位以内だったんだ。良かったわ。
「はい、これからも頑張っていきます。」
最初っから結構ハードル高いな。が、頑張ろう。
◆◇◆◇◆◇
体育祭の帰り、私はいつもと同じように和也と帰る。
「ああ、負けちゃったなー」
私は悔しさを見せないようにして言う。
「そうだな。」
和也は私の方を見ずに言う。
しばらく、いつものように会話しながら歩いていくとお互いの家の前に着く。すると、和也が手招きをしてきた。和也に近づくと頭を撫でまわされた。
「ちょっと、髪型崩れちゃうじゃん。」
照れ隠しにそういうと、
「お前の頭って、たまに撫でたくなる。」
「何よそれー」
「じゃあ、また来週。」
和也はそういってさっさと家に入ってしまった。
そのあと、私も家に入る。軽く手を洗い、自分の部屋のベットに飛び込む。顔から熱が出ているのを感じる。きっと、真っ赤になっているのだろう。
ずるいなあ。和也はこっちだけドキドキさせて。そう思いながら、私は笑う。目から暖かい液体が出ているのを感じた。
涙?なんでだろう。
◆◇◆◇◆◇
*3年後*
「ルーニ様?」
護衛兼メイドのメアが私を心配そうにみている。
「おはよう。」
そういって、私は体を起こそうとした。が、力が入らない。そして、倦怠感がある。
「メア、だるい。」
「まあ、風邪ですか?医者を呼んでまいります。」
そういって、メアは超特急で部屋を出ていった。
ぽた。
水がシーツの上に落ちる。ふと、顔に触れると、暖かい水が流れていた。悲しい訳でもないのになんで涙が?わからない。
けど、悲しい夢を見たような気がする。
1話では5歳(あと一ヶ月で6歳)だったので、この話で3年進んで、9歳になりました。
ルーニの誕生日は7月です。
最近は1日ごとに更新しています。ブクマ、評価などよろしくお願いします。




