4話 いざ、冒険者ギルドへ《和也側》
しばらく歩くと、ヘルポテの町が見えてきた。そして、なんと、門番がいたのだ。日本では町ごとに門番なんていないもんな。
「通行料は一人につき、1シルバーだ。」
セリルは肩にかけていたバックから、2シルバーを出した。そうか、俺は無一文なのか。そうか、俺はセリルのヒモか……
そんなことを考えていたら、ギルドについたようだ。木造の建物で、受付がいくつかあるようだ。受付の横には少し休めるカフェスペースもある。なかなかいいところだな。
セリルは受付の方へ歩いていく。
「すみません、冒険者登録をしたいのですが。」
セリルはキラキラの営業スマイルで話しかける。その美少年力に受付の女の人はやられたようで、目をハートにしながらしゃべる。
「わかりました。お一人様ですね。ギルドに登録するには、実力試験が必要となりまして……」
そこまで話したところで、セリルが口をひらいた。
「一人じゃないです。後ろの子も。」
受付の人は目を見開いた。周りもザワザワとしていて、所々から声が聞こえる。
「何歳だ。ありゃあ。」
「9歳ぐらいじゃねえか。あんなガキンチョに冒険者ができるわけねえな。」
「たたきのめされるだろうな。かわいそうに。」
「あの青色の目の子 、超タイプ。」
9歳とはなんだ。一応10歳の体のはずなのだが。あと、本当は17だ。
最後のは、セリルのことだな。
とりあえず、試験を受けてみよう。
返事をすると、ギルドの裏にある訓練所に連れていかれた。そこには2人の男がいた。
一人は金髪に緑色の目。ムキムキでいかにも冒険者という感じの男だ。もう一人は青色の髪に灰色の目のイケメン。だが、俺の嫌いなタイプだ。そう、ナルシストなのだ。ここからでも感じられる。ナルシストが放つこの「俺カッコイイ」感が。
「では、この子はこのボクが担当しよう。」
そういってナルシスト男はセリルを指差した。こいつ、絶対セリルの顔を中心的に攻撃するぞ。
「貴方の相手は俺ががやります。」
思わずいってしまった。
「ボクはこの子を希望したのだが?」
「特に試験相手が変わったところで、不備はないでしょう。それに貴方の方が弱そうだし。」
最後に少し煽ってみた。ナルシスト男を見ると、額に青筋が浮かんでいる。キレてる。
「わかった。君の相手はボクがしよう。」
結果として、ナルシスト男の相手は俺が、筋肉男の相手はセリルがすることになった。ちなみに、筋肉男の方が真っ当そうだ。
「ここにある剣の中から選んでください。」
そういって、受付の人はたくさんの武器が入っている箱を指差した。その中から選ぶのか。訓練用だから、刃はないみたいだな。身軽なやつを探していたら、細い剣を見つけた。細剣というらしい。軽いから、これにしよう。
ナルシスト男はロングソードというのを使うようだ。こいつが細剣を使っていたら、装備を変えようかと思ってた。
「3、2、1、始め!」
受付嬢の声が訓練場に響く。
っ…………!俺は右へ飛ぶ。危なかった。先程いた場所には男のロングソードがあった。そういえば、こいつはBランクとか言ってたかな。強い部類に入るのだろう。
キイン。細剣とロングソードが交わる音が響く。
こいつ、顔を狙ってきやがった。俺はとっさに細剣を顔の前にだし、ガードしたが。ロングソードを弾くと、ナルシスト男は後退した。
こいつに勝つには俺の攻撃力が足りていない。できるとしたら、こいつの動きを真似するくらいだ。だが、それをするにはあいつの動きが見えていなきゃいけない、今の俺にはあいつの動きは見えない。気配を感じることぐらいならできるが。
『<異眼>がLV3になりました』
アナウンスが頭の中に響く。
集中できないじゃないか。うるさい。
ん?俺は変化に気づいた。見える。あいつの動きが。今は地面を蹴ってこっちに向かってくる。今度は俺の足を狙って、低い体勢で剣を構えている。速いが、反応できないほどではない。俺は地面を軽く蹴り、ナルシスト男の後方に飛ぶ。ナルシスト男は避けられたことに気づいたようで、今度は建物の壁を蹴って飛んでくる。そして、今度は大きく剣を振りかぶる。
ギイン。今度は金属の鈍い音がする。
なんとか剣を防ぐことができたようだ。
「へえ、なかなかやるね。」
この戦いが始まって、初めてナル男が口を開く。
「けど、この動きについてこられるかな?」
ナル男は不敵に笑う。ナル男の姿が揺れる。ナル男は俺の背後にまわり、俺の首に剣をあてた、はずだった。
だが、それは成功しなかった。なぜか?俺がナル男の動きをあらかじめ予測していたからだ。
ナル男が背後にまわったあと、俺は振り向き、正面にいるナル男を見つめる。そして、俺は大きく剣を振りかぶる。ナル男は避けようと、左へ向かう。
しかし、そこには俺の足があった。猛スピードで動くものが止まっているものに衝突するとどうなる?多大な損傷を負うのだ。
ナル男の足は衝撃を受け、砕けた。日頃の鍛錬の賜物か、それほど損傷は大きくなかった。俺はというと、かなりヤバイ。右足全体の感覚がないが、激しい痛みを感じる。もしかして、粉々になっているのだろうか?10歳の体では保たないかもな。
ナル男は気絶しているようだ。これは勝ったという事なのか?受付嬢と戦いを終えたセリルが駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫ですか?すぐに回復魔法が使える人とポーションを持ってきます!」
「カズヤ、大丈夫?」
ヤバイ、痛い。
『<身体強化>がLV2になりました <身体強化>がLV3になりました <身体強化>がLV4になりました <身体強化>がLV5になりました <異眼>がLV4になりました <剣術>がLV2になりました。』
そこで俺の意識は途切れた。
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名前:唐松和也
性別:男
年齢:10(17)
種族:人間(?????)
スキル:<剣術LV2><異眼LV4><身体強化LV5><解体LV1><研磨LV1>
称号:転移者、異眼の主
次回は過去編、または王女編の予定です。
また、世界の設定や、登場人物紹介などは近々やろうかと思っています。
燃料補給(評価、ブクマ)をお願いいたします。してくださると、嬉しくなって、バンバン更新します。
ースキルをステータスに追加するのを忘れていたので追加
ー剣術のレベルが上がった表記がなかったので追加