9話 忘れていたこと《和也側》
武器を探すのに時間を取られたせいで、もう夕方になってしまった。
ぐう〜
セリルの腹の虫だ。そういえば、セリルはさっきから、ずっとキョロキョロしてたな。食事をするところを探していたのか。
セリルに服の裾を引っ張られた。
「カズヤ、ここで食べよう。」
そういうセリルが指差したのは、いかにも冒険者の酒場みたいなところだった。『ロブレナ食堂』と古ぼけた看板にかいてある。
こんなところに行くとなったら、やよいが『てんぷれ』って言いそうだな。『てんぷれ』がなんなのかはよく知らないが。
店は冒険者と思われる人達で賑わっていた。なかなか良さそうな店だな。だが、酒くさい。まあ、しょうがないことだが。
すると、店に3人の男がやってきた。どうやら、酒に酔っているようで、フラフラしていた。こういう輩に関わるとめんどくさいので、目を逸らした。
「おい、ここはガキのくる店じゃねえんだよ。」
3人のうち1人がそういう。
ガキ?そういえば、俺の今の姿は10歳だったな。
「「そーだ、そーだ。出てけー。」」
1人目に便乗する後の2人。無視して席に座ろうとすると、体が浮いた。どうやら首元を掴まれたようだ。めんどくさい。なので、細剣を鞘に入れたまま振るった。男の腕に細剣が鞘ごとぶつかる。男は驚いて思わず俺を離す。地面に着地した俺はそのまま座る。
「やんのか?」
男がいう。すると、
ダアン。
という大きな音がした。音のした方を見ると、筋肉ムキムキの女性がいた。
そして、こちらを睨みつけながら、
「おい、あんたたち。喧嘩がしたいなら、ウチじゃなくて他所へ行きな。」
と、言った。おそらく店の名前にある『ロブレナ』だと思われる女性がそれを言っただけで、すごすごと男たちは店を出て行った。
しばらくした後、ウェイトレスがメニューを渡してきた。メニューが書かれた羊皮紙には「鳥の手羽先」、「野菜の盛り合わせ」などと書かれている。
「何がいい?」
俺の正面に座ったセリルが訊いてくる。
「俺は手羽先と野菜でいい。セリルは?」
「ここは量が多いから、2人で分けようか。」
「わかった。」
何を頼むのか決定したので、ウェイトレスを呼ぶことにした。
「ええと、鳥の手羽先と野菜の盛り合わせでお願いします。」
「分かりました。」
セリルが量が多いといっていたけど、どんなもんかな。
しばらくセリルと雑談をしていると、料理が運ばれてきた。
……手羽先と野菜だ。
メニュー通り。
量は、セリルにいった通り、確かに多いな。冒険者とかはたくさん食べたいから、冒険者に人気なのか?
俺は手羽先に手を伸ばす。熱いな。骨の部分を持って大きく口を開けて肉を頬張る。
美味しい。肉の味をそのまま味わえる。だけど、個人的には辛味があった方が好きだな。
セリルも気に入ったようで、終始無言で食べていた。
なんで野菜のレポートをしないかって?普通の野菜だからだよ。
ここもいい店だな。明日も来よう。
その後、宿に帰り、水を浴びて布団の中に入った時、セリルがウンウン唸っていた。
寝付きが悪いのかと、セリルの方へ行ったら、起きていた。何か悩んでいるようだ。しばらくすると、
「あ!」
とセリルが声をあげた。
「どうしたんだ?」
「今日、ずっと何かを忘れている気がしていたんだけど、今それが何かわかった。ツノブタの素材をギルドに売ってない!」
なるほど。セリルもスッキリしたようで、眠りについてしまった。俺もそろそろ寝るか。おやすみ。
連続投稿してみました。
お金の価値について書いておきます。
(10円)銅貨
(100円)小銀貨
(1000円)銀貨
(10000円)小金貨
(10万)金貨
(100万)白金貨
という設定です。




