シャワーを浴びてきた彼女の体は
シャワーを浴びてきた彼女の体は、美しかった。
頬は紅潮し、瞳は少し潤んでいるようだった。
ぼくは彼女を抱きしめようとして……ふと、あることが気になり始めた。
「先輩、こういう経験、あります?」
彼女は苦笑して、たしなめるように言った。
「もう、そういうこと聞かないの。そりゃあ、それなりには経験してるけど」
ぼくは激しく動揺した。
だって、とても受け入れられるものではない。ぼくの生涯の伴侶となる人が、他の男に触れられたことがあるなんて。それこそ、他の男を受け入れたことがあるなんて。
なぜ、ぼくのことを待っていてくれなかったのか……。
結局その後、ぼくは彼女といたすことができず、彼女とは別れた。彼女もぼくとの結婚を考えてくれていたらしく、心苦しくはあったが……まあ、どうしようもない。
考えてみれば、彼女は年上だ。ぼくより多くのことを経験しているのも、当たり前ということか。
そんなわけで、今度は隣の部署の後輩と付き合うことにした。
気立てがよく、明るい子で、ぼくにはもったいないと思った。おまけに美人だ。スタイルもよく、大きな胸が人目を引く。
そして、やっぱり処女じゃなかった。
なぜだ! なぜ、この胸を他の男に揉ませたりしたんだ!
処女じゃなければセックスできないと言うぼくに、彼女は面食らっていたようだったが……まあ、どうしようもない。
その後しばらくの間、ぼくは女性と親密な関係になることを避けていた。しかしある日、大学時代に所属していたサークルに顔を出して、ぼくはまたも理想の女性と出会った。
大学三年生だという彼女は、物腰はおしとやかだが意志が強く活動的な、素敵な女性だった。数度の会食を経て交際することになったが、ぼくにはもったいない女性だと思った。おまけに美人だ。
そしてやっぱり、処女じゃなかった。
ぼくは落胆したが、彼女はサバサバしたもので、別れたいというぼくをすんなり許してくれた。今は、別の男と付き合っているようだ。
それからしばらくして、今度は共通の知人の紹介で、高校生と付き合うことになった。
きちんとした言葉を遣う、とても感じのいい女性だった。それでいて、年相応にはしゃいだり甘えてきたりもする。ぼくにはもったいない女性だと、紹介してくれた知人に感謝した。日々の生活が明るくなった。おまけに美人だ。
でもやっぱり、処女じゃなかった。
処女じゃなければ付き合えないというぼくに、彼女は憐れむような目を向けた後、興味を失った様子で去っていった。
そして、また同じ知人の紹介で、ぼくは中学生と付き合うことになった。
賢く、気立てがよく、活発で、でも人と接する時はとても礼儀正しい。まさしくぼくの理想の女性だった。高望みはしないはずのぼくだったが、デートを重ねるほどに、世界中でこれほど素敵な女性はいないのではないかと思うようになっていた。彼女と一緒にいられることを、紹介してくれた知人に、そして天に感謝した。ついにぼくは、子どもの頃思い描いた理想の人生に到達できるのだ。彼女の優れた性質は、まさに理想の伴侶というにふさわしい。おまけに美人だ。
しかし、やっぱり、彼女もまた処女じゃなかった。
なぜだ! なぜ処女じゃないんだ!
天はどこまでぼくに試練を与えたまうのか!!
中学生でも駄目だった。
中学生でも、駄目だった。
よし分かった。
ならば、次は……。
おしまい♪