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ヤマメとの生活  作者: kanisaku
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隠れ身の人と妖怪

赤「はい、あーん」

シ「あーん…」


赤蛮奇は三色の団子をシュンに食べさせる。色々とあったが、シュンは赤蛮奇と仲睦まじくやっている。守矢神社への信仰を諦め、妖怪との道を選んだのだ。

そんな二人はこっそりと人里近くの無人の家で暮らしている。

近くと言っても距離はあり、歩いて1時間程の場所に存在するこの場所は、元々の家主が夜逃げしてから1か月程無人だった。

時刻は夜。木々の上にポツンと浮かぶ満月が二人と家を照らし、互いの姿を映している。


シ「けど…こんな場所があったんだね」

赤「そうだろう。私もつい最近見つけたんだ。まるで、私とシュンが結ばれるのを予知してたみたいに…」


キャーっと顔を振って喜ぶ赤蛮奇の横で、シュンは団子を頬張る。


赤「シュンは…本当に、良かったのか?」

シ「え?」

赤「その…自分から言っておいてなんだけど…。私と、一緒に過ごすのは…嫌じゃないか?」

シ「…そんなこと無いよ。俺も、なんかちょっと吹っ切れた感じがあるし、蛮奇には感謝してるよ」

赤「ば、蛮奇?」

シ「赤蛮奇って、ちょっと言い難いからさ」

赤「蛮奇…」


マントに顔を半分隠して恥ずかしがる赤蛮奇に、シュンは意地悪そうに言う。


シ「あ、蛮奇が嫌だったら、別の言い方でも…、せきちゃんとか、ばんきっきちゃんとか」

赤「蛮奇でいいっ!蛮奇でいいから…ちゃん付けは止めてくれ…恥ずかしい…」


顔を赤くして、小さな声でそういう赤蛮奇を見てシュンは微笑む。


シ「わかってるよ、蛮奇」

赤「うぅ…。意地悪なやつだ…けど、シュンとこんなふうに話せるなんて以外だよ」

シ「そう?」

赤「だって、最初はあんなに怯えてたのに」

シ「うん。けど…なんか前の生活って縛られてたような気がしてたんだ」

赤「縛られてた?」


赤蛮奇の言葉に首を縦に振って、ゴロンと横になり満月を見つめながら話す。


シ「人とだけ接して、妖怪は悪い奴だって教え込まれて…妖怪なんて見たことなかったけど…。けど、蛮奇を見て思ったよ、妖怪だって人間を襲う奴だけじゃないんだって」

赤「…もし、私が実は悪い妖怪だったら、とか…考えないのか?」

シ「親が言ってたんだけどさ、そういう事いう人は、悪い人じゃないって言ってた。だから、蛮奇も悪い妖怪じゃないと思う」

シ「そうか…シュンは、優しいんだな」


そういって赤蛮奇も寝転がり、シュンの横に寄り添う。手を両手でギュッと握ってその温かみを体感する。


赤「私は、そんなことを言ってくれるシュンが大好きだ。誰にも渡したくないくらいに…だから、ここで誰にも見つからないように暮らそう?二人だけのヒミツの家さ…」

シ「うん、それも悪くない…」


赤蛮奇は照れるように目を逸らしたが、チラリとシュンを方を確認する。そして、頭だけを飛ばしてシュンの口を自分の口で塞いだ。


赤「んくっ…ふぅ…はぁ…」

シ「キスなんて初めてだよ…」

赤「私もだ…長年生きてきたけど、シュンが初めてだ」

シ「お互い様だね」

赤「ど、どうだった…?キス…、私は、気持ち良かったけど…」

シ「気持ち良かった。とまでは行かないけど…悪くは無いかな」

赤「そ、そうか…じゃあ、もう一回、いい…?」

シ「ああ、何回でも…」


その返答に笑顔で返し、初めてのキスを今したばかりだというのに二人はもうセカンドキスまでしてしまった。

さっきとは違い、こんどはすぐに口を離す。シュンの顔は少し赤くなっているが、シュンを見つめる赤蛮奇の顔はそれ以上に赤くなっていた。


シ「蛮奇、赤くなってる。赤面奇~」

赤「なっ!?そ、そんなことない!シュンだって赤いじゃないか!」

シ「蛮奇ちゃんよりは赤くないよ~だ」

赤「だからちゃん付けはやめてぇ…」


恥ずかしそう俯いてにフヨフヨと床に降下していく。そんな彼女の頭を掴んで、寝ている自分の真上に持ち上げる。互いに見つめ合っているが、真っ先に目を逸らすのは赤蛮奇だ。


赤「…恥ずかしいから、降ろしてくれ」

シ「やだ」

赤「本当に意地悪だな…シュンは…」

シ「じゃあこうしよう」


赤蛮奇をクルリと180度回転させ、綺麗な満月を見せる。


シ「綺麗だね~。あんなに綺麗なのに、全くあの月の事を誰も知らないなんて不思議だよね」

赤「そ、そうだな…」

シ「どうしたの?」


胴体の方がモジモジと身を寄せている。


赤「…や、やっぱり、シュンを見たい…」

シ「なんだ、そんな事か」


また頭を回転させ、互いに見つめる。やっぱり赤蛮奇は恥ずかしそうに視線をあっちにやったりこっちにやったりしている。


赤「ぁうぅ…お、降ろしてくれ。放してくれ…じゃないと…恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだ…」

シ「そうだね。じゃあ」


横で腕に抱きつている胴体の方に首を戻す。よほど恥ずかしかったのか、頭だけをクルクルと回転させて気を紛らわそうとしている。


赤「あんな気持ちになったのは初めて…」

シ「蛮奇ちゃん可愛いかったよ」

赤「だから、ちゃんを付けないで…」


マントに頭を隠してモジモジと照れている。そんな可愛い彼女との生活は、まだまだ続くようだ。

蛮奇ちゃん二度目の登場だよ、やったね!好きなキャラがまた一人増えました。口調は強がってるのに恥ずかしそうにしてるキャラって良いですよね。いじめたくなりますよね。


読者様につかの間の安らぎを

            「kanisaku」

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