それは頭突に
一発限り(?)の赤蛮奇ちゃんのお話です。ちょっと長いです。「ヤマメ出せゴラァ!」の人は次回ご期待ください。
人里で最近、密かに話題になっているものがある。人里の横を流れる小さな河川に、夜な夜な人の首が飛んでいるのだそうだ。川辺に居る蟹などが食われているそうで、気味悪がって近寄らない人々が多々いるらしい。慧音に頼み込むことが何度かあったが、慧音も見つけられず、お手上げの状態だ
男「おい、お前あの川に行ってみろよ」
そう言うのは酒屋の店主の男性。守矢神社に献上するお酒を買いに来た人里の青年シュンに言ったのだが、そんなことを言われた青年は慌てていた。
シュ「え、い、いや…だって怖いじゃないですか」
男「慧音さんもお手上げとは言っていたが、なんだか気になるじゃないか。なんなら、俺も一緒に行ってやるから、なっ?」
シュ「そんな事言って…行きませんよ。俺だって暇じゃないんです。こうやってお酒買うのも、少ないお金をやり繰りしてですね…」
男「わかった。じゃあこうしよう。今夜行くから、一緒にその生首探してくれたら、ここの酒何本かタダでやるよ」
シュ「本当ですかっ!?じゃあ行きます!」
男「現金だな、お前…」
・・・・・・・・・・・・・。
その晩、河川の人通りの無い橋の上で待ち合わせしていた二人は、意を決して川沿いを歩き回った。
シュ「なんか…ホント怖いですね…」
男「だな…けど、生首が飛んでるってだけで、別に襲って来たりはしないんだろ…?だったら怖かねぇや」
怯えたような口調で言う男に恐怖を煽られたような気もしながら、暗い川沿いを提灯の明かりだけを頼りに進んでいく。小さく聞こえる川の流れる音や鈴虫の鳴き声、何時もなら気にしない木々のざわめきも、今夜は妙なまでに耳に張り付く。
辺りをキョロキョロと見渡していると、横を歩いていた男がビクッとして足を止める。
男「お…おい…あれって…」
シュ「? …!?」
提灯を上げて川辺にある物体を照らす。そこには、バリバリと一心不乱に何かを貪る生首が動いていた。
二人は絶句していたが、その音から来る恐怖心に耐えきれず、男が叫び声をあげて逃げ出した。
シュ「え、ちょっと!?」
その声を聞きいた生首はピタリと動きを止め、クルッとこちらを見た。口元には蟹の内臓と思わしき破片や体液がベッタリとつき、不気味過ぎる光景を目の当たりにしてしまった。
赤「…人間」
シュ「ひっ…」
怯えて一歩下がった途端、腰が抜けてその場にへたり込んでしまう。
赤「人間か…でも…以外と良い男かも」
どういう意味で言ったのか理解できなかったが、兎に角その場から逃げ出したかった。身体に鞭打って逃げ出そうと後ろを向きながら立ち上がったが、提灯に照らされて現れた少女の身体を見て立ち止まる。よく見ると、首から上が無い。
シュ「う、うああああ!!」
赤「そう逃げるな。良い男よ」
首無しの身体が自分の肩をガッシリと掴み離そうとしない。その間にも、生首はフヨフヨと飛びながら近づいてくる。
赤「そんなに逃げようとするな」
シュ「い、命だけは…!」
赤「そんな在り来たりな言葉でタダで済むとは思ってないだろ?」
シュ「そんな…」
赤「見れば見る程良い男だ…。私の好みすぎる…それに、これだけ怯えられるのは初めてだ。なんだか嬉しいな…」
そんなことを言う生首は突然速度を上げて思いっきり頭突きをかましてきた。 ゴヅッ! という重々しい音が聞こえたのを最後に意識が途切れてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
目が覚めると、何もない小屋のような中に両手を縛られて寝かされていた。目の前にはさっきの生首の少女も座っていて、じっとこちらを見ている。どこか恥ずかしそうに目を右へ左へ泳がしているが、決心がついたのかまたこちらを見直す。
赤「昨日見た通り、私は妖怪だ。赤蛮奇って呼んでくれ。それで、君の名前を教えてほしいな…」
シュ「しゅ、シュン…だけど…」
赤「シュンか…なぁシュン。突然で驚くかもしれないけど、私と付き合ってくれないか?悪いようにはしないからさ…」
シュ「そんな、妖怪と付き合うなん…できるわけが」
赤「できるさ、幻想郷じゃ珍しいことじゃないよ。それに、シュンから何か他の人間とは違う感じがするんだ…そう、なんて言うのかな…弱者の感じ?」
シュ「…以外と失礼だな」
赤「だって、そんな気がするんだ。君、何かにすがってるだろ?」
シュ「すがってる…?」
シュンには心当たりがあった。すがる、つまり信仰の事だろうと。
シュ「守矢神社に信仰してるけど…それがすがってるって言うのか?」
赤「そうか、やっぱりそんなことを…。そんな物にすがるのは止めるんだ」
シュ「ど、どうしそんなことを」
赤「あんなのに信仰しなくたって、きっと私が幸せにしてみせるさ。弱い者同士、一緒に仲良く…な?それに、シュンって、私好みだし…」
シュ「お、おれは嫌だ。なんで突然襲ってくるような奴と、付き合わなきゃいけないんだっ!」
赤「それは…だって…シュンが逃げようとしたから。それに、ここはもう使われてない山奥の小屋だ。どんなに叫んでも誰も来ないよ。ねぇ…もう一度聞く。私と一緒に…」
く ら さ な い か ?
目の明るさが無くなった彼女の首だけがゆっくりと迫る。どんなに嫌だと言っても今の彼女には聞かないだろう。手を縛られてろくに動けないシュンに拒否権は無かった。
その頃、人里では一人の青年が行方不明だと小さな騒ぎが起きていた…。
なんか、ちょっとグダグダしたお話ですみません。なんだか今一どういうキャラかつかめないまま、見切り発車感丸出しで書いてしまったので、赤蛮奇好きな方にも残念な内容かと思われます。実力不足で本当にごめんなさい。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




