本格的 続々
上にまたがり、激しく自分を責めるヤマメ。荒い息遣いで、自分を絶頂に押し上げんとする恍惚の表情。その目に必死に耐える自分の姿が映って…。
ケ「!?」
ハッと目が覚めると、そこはさっきから自分が居た寝室。自分の胸に手を置き、スゥスゥと眠っている裸のヤマメを見つめ、さっきのことが本当だったんだと実感する。
ケ(ヤマメ…本当にどうしちゃったんだ…)
今までは…優しくて、なんでも自分のために手伝ってくれたりして、ずっと一緒に居たいと心の底から思える人、いや妖怪だった。確かに、あってすぐのころは、縛ったり愛が重いな~と思っていたこともあるが、それもちょっとずつ薄れてきて、丁度いいくらいの愛し方だったのに、それが突然の悪化。なんだか寂しく、虚しく感じられる。まるで、自分だけ違う世界に放り込まれたような、今までの日常がもう戻ってこないような感情。
ヤ「あら、起きてたのね…私ったらすっかり眠っちゃったのね、アナタを逃がす所だったわ」
ケ「いや、逃げないって…何度も言ってるだろ。それに逃げれるんだったらもう逃げてるだろうし」
ヤ「それもそうね…うふふ、ありがとう。私から離れないでくれて…」
ゆっくりと半身を起こし、ヤマメはそっとケンに抱き着く。柔らかい二つの感触が腕に触れるが、そんなことも気にできない程に落ち込んでしまっている。
ヤ「どうしたの…?何かあったの?」
ケ「あぁ、大事な物が無くなった」
ヤ「可哀想に…。私が一緒に探してあげようか?」
ケ「一緒だと、見つからないよ。絶対に…」
ヤ「そうなの?」
気がつくとケンは両目に涙を貯め、それが溢れて泣いていた。しかし、肩を震わせることも、声を上げることもない。ただ、静かに涙を流す。横にいるヤマメにはその涙を理由が分からなかった。「自分はケンと一緒に居て嬉しい。だから、ケンも嬉しい」という今の思考の彼女に、ケンの心情が理解できる筈もなかった。
ケ「ヤマメ…本当に、どうしてこんな事になっちゃったんだよ…」
静かにヤマメを抱き寄せてより大粒の涙を流す。その涙は流れ落ちて、ヤマメの肩に触れる。
ヤ「…?」
ケ「前のヤマメは、もっと明るくて…優しくて…いっつも俺に笑顔を見せてくれたじゃないか…!」
ヤ「私は、ケンには明るく接してるつもりよ…?優しくするし、笑顔だって作るわ」
ケ「違う、今のヤマメは違う…。なぁ、頼む。なんでもするから、俺の嫌いな所があるなら全部直すから…ヤマメの事だって今まで以上に好きになるから、だから…戻ってきてくれよ…!!!」
裸の男女。その単語だけでは如何わしく聞こえるが、今のヤマメとケンの間にそんな無粋なものは一切ない。愛する人の感情が理解できないヤマメと、そんなふうに変わってしまった女性に悲しむ男性がいるだけ…。
と、思っていた。
ヤ「ふっ、うふふ…」
ケ「?」
ヤ「あははははははは!」
ケ「…?」
突然笑い出したヤマメの声を聴いて、「あぁ、ダメだったのか」とケンは絶望した。しかし、そうではなかった。
ヤ「今日、なんの日か知ってる…?」
ケ「知らない…教えてくれ。なんなんだ?俺達が初めて会った記念日か?」
ヤ「まだそんなに長くはないわ…今日は…」
エイプリルフールよ
ケ「…」
ケンは考え込むように硬直してしまった。そんなケンから身を離し、向かい合って説明する。今まで通りのニコニコした表情で。
ヤ「だから、今日はエイプリルフールなの。私の愛が、今まで以上に重くなったらケンはどうするのかなって思ってたから…予想外の反応だったわ~」
自分の流した涙の痕はすでに乾き、唖然とした表情に変わる。それに対し、ヤマメは何時もの笑顔でケンにネタ晴らしをしている。
ヤ「何でもするって言ってたから、そんなに私の事好きなんだって改めて分かったわ…ありがとう、ケン…」
ケ「ヤマメ…」
ヤ「なぁに?ダーリン?」
上機嫌な口調で答えるヤマメに、壁に飾ってある時計を真実を告げる。
ケ「エイプリルフールで嘘をついていいのは、午前までだぞ」
ヤ「え?」
時計は、午後の6時を指していた。驚き、笑顔をまま固まってしまったヤマメと、「知らなかったのか…」と思うケンの間に、沈黙が流れる…。
なんと!向こうの方ではまだ4月だった!なのに暑いっていうんですね。多分、地底だけが暑いんでしょうね。
ノリと勢いで書いているので、時系列が良くわからないことになったりしますが、そこは優しく寛大な心で見守ってくれると助かります。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




