再来の二人
日雇いで働き出してから数日後。結構お金を稼いだ二人は、そのお金を持って地上に出てきた。その数日間で稼げた額は、二人の生活を維持するには充分な程だった。
ケン「仕事先のおっちゃん。かなりいい人だったね。これ本当の給料の倍以上あるんじゃないか?」
ヤマメ「そうね、あの人には感謝してるわ…。じゃあ、行きましょうか」
ケン「な、なぁ…やっぱり、飛ばなきゃダメか?」
ヤマメ「そりゃ…もちろんよ。じゃないと、帰ってくるときには陽が沈んじゃってるわ」
ケン「だよなぁ…」
落ち込み、頭をうなだれるケンを後ろから抱き着いて宙に浮く。三回目のフライトで、ケンも抵抗せずに足をブラブラと力無く揺らしながら高く飛んでいく。
ヤマメ「だ、大丈夫よ。場所は覚えてるからすぐにつくわ」
ケン「ホントかな~…」
ヤマメ「本当よ」
ケン「ホントなのかな~」
ヤマメ「ホントだってば…」
心配性になってしまっているケンをなだめながら空を飛び、太陽のひまわり畑を目指すヤマメは、風を切って突き進む。
ヤマメ「着いたわよ」
辺り一面ヒマワリが咲き誇る丘の中央にある一軒家の前に降り立ったヤマメはケンから腕を離す。張り付くように地面に倒れるケンは、そのまま芋虫のように張って家の扉の前まで進む。
ヤマメ「何してるの?」
ケン「ミミズは良いよな。ずっと地面と一緒でさ、俺なんて、まるで鳥にさらわれた虫だぜ?」
頭でゴツゴツと扉を頭突き、ブツブツと何かを言っている。そんなケンの頭部に、開きかけた扉が直撃する。
ケン「痛っ!」
青年「あ、す、すみませ…アナタは…お久しぶりです」
ヤマメ「こんにちわ」
オドオドとした感じで扉の隙間から顔をのぞかせる青年。以前にもまして、目の下にクマができ、生きる力を奪われたような表情をしている。
青年「今、声がしたような気がするんですが…誰かいました?」
ヤマメ「ん」
ヤマメが扉を下を指差す。青年がそこに目を向けると、うつ伏せに倒れて扉にぴっちり頭を付けているケンがいた。
青年「ご、ごめんなさい!」
扉を強く閉める青年は、思い出したように再度扉を開ける。
ケン「痛っ!」
青年「す、すみません…あぁどうしよう…」
慌てる青年を見かねて、ヤマメはケンを掴んで立ち上がらせる。
ヤマメ「もう、しっかりしてよ…帰りは歩いて帰るから」
ケン「そだね…」
室内に案内されたケンとヤマメは、前にも座ったことのある椅子に座り、幽香を呼びに奥へ入って行った青年を待つ。少しすると、泣きながら青年が幽香を連れてきた。青年とは反対に幽香はご機嫌そうにニコニコしている。
幽香「霊冷草、たくさん増やしておいたわ。奥にあるから好きなだけ持っていきなさい」
ヤマメ「ありがとう、お金は…」
幽香「財布は置いておきなさい。私が代金分抜いておくから」
ヤマメ「…」
幽香「有り金全部取るわけじゃないから、安心しなさい」
ケン「そんなに心配しなくていいんじゃない…?行こう」
部屋の奥に続く扉を開けた途端、全身鳥肌が立ち、ボーっとしていた感覚が覚醒する。
ケン「寒ぃ!?うぇ!?うそ、なにこれ!?超寒い!?」
部屋からはヒンヤリ…どころではない寒すぎる程の冷気が室内を漂っている。部屋の隅々が凍ってしまい、まるで巨大な冷凍庫の中に入り込んでいるようだった。そして、部屋に設置されている棚には、大量の青い花を咲かせた植物が飾られている。
ヤマメ「霊界の冷気を伝えてるって言われる霊冷草…一本でもエアコンくらいの冷気が出せてるわね…」
ケン「そんなものがこんなにあるなんて…」
ヤマメ「運び出すのは…難しそうね」
一本でエアコン分の冷気…欲しいですね。これさえあれば、夏場は超節約されるでしょうね。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




