給料のために…
翌日、労働力を求めて人集めに来た妖怪が集まる広間にヤマメとケンも居た。自然石で出来た地面を歩く度にコツコツと音がする。周りには多くの妖怪達が今か今かと仕事を貰えるのを待っているところだ。
ヤマメ「思ったより多いわね…」
ケン「ホント、多いな。これ仕事もらえるのかな?」
ヤマメ「大丈夫じゃないかしら?一つの仕事でも多く人は取るって聞いたわ。それに人間にしかできない仕事もあるって聞くし…」
ケン「へぇ…でも俺がその仕事行っちゃったら、ヤマメと離れ離れになるんじゃない?」
ヤマメ「そうね…どうしましょう。アナタが居ないなんて仕事どころじゃないわ」
ケン「でも…数時間くらいなら…あ」
言いかけて思い出す。あの時の放置プレイの時のヤマメを…。
「うあー!ケン!帰ってきてよおおー!うわああああああ!!」
「お願い!帰ってきて!ケン!ケン!ああああああああああ!」
「ケン!戻ってきてよぉぉ!私を置いて行かないで!帰ってきてぇぇぇぇ!」
蘇る思い出を振り払い、言葉を変えてヤマメと話す。
ケン「そうだな…じゃあ、二人で出来る仕事聞いてみたら教えてくれるんじゃない?」
ヤマメ「そうね。そうしてみましょう」
それから10分後、大きな荷車を率いて数人の人型妖怪達が来た。数頭の馬を手慣れた動きで停止させ、下馬して仕事を求めている妖怪達を見回す。
妖怪「えー、今から仕事を一つずつ言っていく!参加したいものは、それぞれ指定された荷車に乗れ!後で審査する!」
ヤマメ「始まるわね」
ケン「せめて人間の俺でもできる仕事で頼むよ…?」
妖怪は懐から紙を取り出し、仕事名を一つ一つ言っては荷車を指差す。参加したい奴はそれに乗れということだろう。
妖怪「次、地上で畑の耕しの手伝いをしたい者は、あの荷車に乗れ!日給は1万円!」
ケン「1万!?」
ヤマメ「当たりの仕事ね…行くわよ、ケン」
ケン「あ、あぁ」
ヤマメに手を引かれながらついて行き、荷車の荷台に乗り込む。他にも5名ほど妖怪が乗っており、乗ったのは自分達で最後のようだった。
妖怪「以上で仕事は全てだ。では、また3日後に来くるぞ」
妖怪は引き連れていた他の妖怪数人に指示を出し、それぞれの仕事場に向かわせる。
ガタガタと小さく揺れる荷車の荷台で風を受けながら、ヤマメと一緒に目的地に着くのをジッと待つ。
洞窟から地上に出て、さらに森の奥を進む。すると、木々の羅列が無くなり、代わりに広い畑が姿を現した。手手入れをされていないようで、そこ等中に草が伸びきっている。
妖怪「ここがお前達の仕事場だ。日雇いではあるがここはちょっと特別でな、最大で3日までなら居てくれて構わない。その分給与も上がるぞ」
ヤマメ「へぇ…思い切って、3日間居ちゃう?」
ケン「一文無しから脱却の為だ…背に腹はなんとやら…」
妖怪「まずは、周りの雑草を取り除いてもらう。終わり次第本格的に耕しにかかり、夕方の5時には帰る。残りたい奴は事前に言っておけ」
妖怪の言葉を聞き、ヤマメとケン、その他数名の妖怪は残ることを告げた。
ケン「おし…仕事仕事っと…」
根っこが残らないように根本から引っ張り、少しの土ごと雑草を宙に持ち上げる。
ケン「一つ抜いては給料のため…。二つ抜いてはヤマメのため…」
ヤマメ「私は二番目なの?」
ケン「優先順位はもちろんヤマメだよ。でも給料もらわないと働く意味がないからね」
ヤマメ「一つ抜いてはケンのため…二つ抜いてはケンのため…三つ目も四つ目もケンのため…」
ケン「せめて給料の為に働いてくれ。それだとタダ働きだ」
スカートの丈を少し上げて汚れないようにし、雑草を引き抜くヤマメに突っ込む。
二人の仕事は、始まったばかりである。
一日で1万円も稼げるって、良いですね…羨ましいです。
それと昨日、読者様の方々のおかげで、一日の閲覧数が初めて1000を突破致しました!(約1200)本当に感謝しています。え、今日の閲覧数?は、はい…まぁ、順調です…はは;
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」




