いざ温泉 2
背中を洗ってもらった後は、シャンプーで頭を洗う。が、それもヤマメにさせてくれとせがまれたので、自分は椅子に座ってジッとしている。
ヤマメ「うふふ…これが終わったら、今度は私にさっきのを…」
ケン「俺は普通に洗わせてもらうよ」
ヤマメ「えー、お願い。帰ったら何でも言う事聞くから」
ケン「ほう…なんでも…とな?」
ヤマメ「ふぇ、あ、あ!くすぐりはナシ!ダメ!」
ケン「くすぐりはどうせ夜にできるからいいよ」
ヤマメ「そうだった…」
落ち込むヤマメに、不意打ち目的で唐突に背中をタオルで洗う。
ヤマメ「!?」
一瞬ビクッとなるヤマメをニヤニヤしてながら背中を洗っていると、ヤマメの腕と横腹のスキマに目が行ってしまう…。
ケン「ヤマメって、結構肌白いほうだね」
ヤマメ「ずっと地下にいたからかしら…でも、多少白くても大丈夫でしょ」
脇の下…横腹…。
ケン「…」
ヤマメ「どうしたの?」
ケン「いや…肌綺麗だな~って」
ヤマメ「うふふ、そう言ってくれると嬉しい」
ケン「…」
くすぐりたい…すっごく…。綺麗な肌を捩らせながら笑うヤマメが見てみたい…。
ケン「腕も洗ってあげようか?」
ヤマメ「うん…アナタなら体中を洗ってもらってほしいくらいよ」
ケン「さすがに前と下は自分で洗ってくれ…」
そういって伸ばされた右腕を片手で持ち、もう片方で傷つかないようにゴシゴシと洗う。
ケン「…」
もういいや、ヤマメなら怒らないだろう。腕を洗うと見せかけて自分の脇にヤマメの片腕を挟みこんでロック、そして閉められなくなった脇に手を入れる。
ヤマメ「ちょ、ちょっと!あははははは!こ、こんな所で、あはははははは!」
腕を引き抜こうと、腕に力を入れるヤマメだが脇をくすぐられて上手く力が出ずに笑い続けるしかない。
ヤマメ「はははは!ケ、ケン!止めて、あははは!」
ケン「ほーい」
くすぐりを止めて腕を離すと、ヤマメは両脇を閉めながら荒い息を整える。
ヤマメ「はぁ…はぁ…」
ケン「さて、ヤマメの頭も洗ってあげるよ。頭ならくすぐれないし、安心していいよ」
ヤマメ「ほ、本当…?」
ケン「本当だよ本当。ほら、シャンプー貸して」
シャワシャワとヤマメの髪を傷つけないように指で優しく洗い、今までの汚れを全て丁寧に洗い流す。
ヤマメ「ふぅ…すっきりしたわ。さ、入りましょ」
混浴ということで、多くのカップルが広い浴場で仲良く湯に浸かったりしている。その中には、さとりやお空も他の男性と一緒に入っている。
ヤマメ「あ、さとりだ」
ケン「知り合い?」
ヤマメ「うん。この地底にあるおっきい建物あったでしょ?あれの持ち主」
ケン「へ~。金持ちなんだろうね」
ヤマメ「…やっぱり他の女性の話なんてするものじゃないわね。アナタには私だけで十分よ」
ケン「そんな釘を刺さなくてもわかってるよ。好きなのはヤマメだけさ」
ヤマメ「ふふ…そうよね。大好きよ。ケン…」
腕を抱き寄せるヤマメは湯に浸かっているせいか赤くなっていて、それを見て自分もヤマメを抱き寄せる。
パルスィ「く…なによこのカップル風呂は…最近はどこも混浴ばっかりでこんなの見せつけられてばっかり…!妬ましいわ!私だって男の一人や二人くらい居ればこんな惨めな思いはしないのに!妬ましい、嗚呼妬ましい!」
頭を掻き毟るような乱暴な洗髪をするパルスィの独り言は誰にも聞こえてはいない。
パルスィ「呪ってやるわ!ここに居る全員、一人残らず破局の呪いをかけてやるわ!」
そう言って浴槽に飛び込むパルスィは、逃げるように湯から飛び出す。
パルスィ「冷たっ!?これ水風呂じゃない!誰よこんな紛らわしいところに造ったの!?」
ケン「なんかうるさい客もいるな」
ヤマメ「橋の女よ。放っておきましょ」
ケン「そうだな。それにしても…やっぱり温泉って良いねぇ~」
ヤマメ「アナタとなら何をしても良いわ」
ケン「そうなのか」
ヤマメ「そうよ」
そうって、さっきは横から腕を抱いていたが今度は真正面から両腕を後ろに回して抱き着いてくる。
ヤマメ「うふふ…周りから見られてるかもしれないのに…ドキドキするわね」
ケン「そうか?そこに居るカップルはキスしてるぞ。抱き着くくらいならインパクト少ないんじゃないか?」
ケンが指差すと方にはピンク色の髪をした少女、さとりが隣にいる男性と濃厚なキスをしている。
ヤマメ「なら私達も…」
ケン「そうだな…ん」
ケンもヤマメを抱き寄せ、数秒間のキスを続ける。お互いの愛を感じられる瞬間である。
銭湯からあがった二人は、銭湯で買った牛乳と冷たいアイスを食べながら借家に戻る。
ケン「いい湯だったね。アイスも美味しいし。また行きたいな」
ヤマメ「そうね。お金が入ったらまた行きましょう」
手を繋いで戻る二人から立ち上る湯気は、どこかハートの形を描いているように見えた…。
イチャイチャラブラブ・・・銭湯でさえこの相思相愛っぷり。そして、地霊殿の殆どのキャラがヤンデレと化しているようで。あのさとりんでさえ男性と付き合っているようです。そして一人ぼっちのパルスィ・・・頑張れパルスィ、負けるなパルスィ、君の妬みが世界を救うと信じてる。
読者様につかの間の安らぎを
「kanisaku」