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起きたらクリス様の隣だった。申し訳ないという気持ちとありがとうの気持ちを込めて朝食を用意すると、「気にしなくてもいいのに」と笑った。
「でも、美味しそう。ありがたくいただきますね」
そう言って綻ぶ笑顔は非常に可愛らしかった。そうして一緒に食事を取って学院へ向かうと、ヒロインが王太子殿下と談笑していた。
「窓から映る火は美しかったろう」
「ふふ、もうやめてくださいませ。人魂かと思って腰が抜けました」
犯人コイツかー!!
手の中の扇がミシっといった。
そういえば、あの人の好感度イベントで炎をヒロインの故郷にある蛍花という光る植物に見立ててみせるというイベントがあった。あれか。
でも、選択肢ミスると浄化かけた挙句に「蛍花というより人魂……」と言ってヒロインがすごく怖がっていたはずだ。選択肢ミスったってことはヒロインは殿下ルートじゃないらしい。
「本当に反省しない……!」
クリス様がそう言って眉間を揉む。
知り合いだったのかしら、と首を傾げると「行きましょうか」と私の手を取った。
「ふふ、エスコートされているみたい」
なんだか少し照れ臭くてはにかむように笑うと、クリス様の頬に赤みが刺した。
婚約者がいないし、兄たちと仲良くなってきたのは最近なのでよくわからないけれど、少なくともクリス様はなんだか少し王子様っぽい。
クリス様が男の子なら、きっと私が近づけないくらい人気者だっただろう。
それを考えると女子でよかったのかな、なんて思ったりもする。
「その、わたくしで良いのなら…」
「おはようございます!フィーネ様、クリスティナ様!!」
元気な声に振り返って、私もセーラに挨拶をした。
笑顔が眩しい。
「今日は三年生の皆様との合同授業ですわね」
その言葉に、別のイベントの存在を思い出してしまった。
貧乏な伯爵家出身であるのに高位貴族と関わりの多いヒロインを気に食わないと思う令嬢が、ヒロインを倉庫に閉じ込めるのである。そして、そこに魔物が現れてピンチになる。
その時一番好感度の高い攻略対象が助けに来てくれるのだけれど、特に好感度が高い人がおらず、学期初めの試験と最初の魔法実技の授業ミニゲームで高得点を出した場合にのみ隠しキャラのアルス・セレスティア。隣国の皇太子が現れる。
(とはいえ、基本的にはバロメーターを上げようと努力すれば大抵誰かの好感度が上がるので逆にルート入りが難しいらしいのですけど)
逆に、みんなと好感度が高くて成績がいい場合は隠しキャラの二つ年下の第三王子が現れる。見事な女装姿で。
ただし、全員の好感度をあげるのはこれまた微妙に難しい。
たしかになんとなくクリス様と似ているけれど、もしクリスティナがクリストファーであれば、やっぱり女子と女子寮で生活するなんてリスキーな事するはずないしなぁ。
それでも、自分を助けて慰めてくれるこの人を王子様みたいだなんて自分の中にいる夢見る少女が憧れてしまうのだ。




