9
夕方。
ユミはタクシーで実家へ向かう。
ヨギョンは同行している。
「せんせ、
この門……
なんですかこの門……
“王宮”ですか……?」
「実家よ」
「実家!?
実家って言いました!?
こんな実家あります!?
わたしの実家なんて、
玄関のチャイム壊れてて、
“おーい”って叫ばないと誰も出てこないんですよ!!
なんでこんな差が!!」
門が開くと、
広大な庭園が広がる。
噴水、
彫刻、
庭師、
そして――
愛犬・もも
が走ってきた。
「もも!」
ユミは、
思わず笑顔になる。
ももは、
ユミに飛びつき、
顔を舐めまくる。
ヨギョンは叫んだ。
「ももちゃん可愛い!
でもデカいぃ!
わたしの田舎の犬よりデカいぃ!
せんせ、なんでこんな犬飼ってるんですか!!
財閥の犬ってこんなにデカいんですか!」
「知らないわよ!
ももはももよ!」
玄関を開けると――
家族が勢ぞろいしていた。
母:上品で強烈。
「ユミ、遅いわよ。
スポンサーの娘が遅刻なんて、
前代未聞よ」
父:温厚だが存在感が薄い。
「まあまあ、ユミも忙しいんだろう。
原稿……なんだっけ、あれ……」
「お父さん、原稿の名前忘れないで」
長兄:会社の後継者。完璧主義。
「ユミ、昨日の会議資料は持ってきたか?
スポンサーとして確認したい」
「家族の食卓に会議資料持ってくる人いる!?」
次兄:自由人。芸術家気質。
「ユミ〜、久しぶり〜。
僕の新作のモデルになってよ〜。
“眠たい目の女神”ってタイトルでさ〜」
「やめて」
妹:大学生。毒舌。
「ユミ姉、
あんたのドラマ、
SNSで“元カレと共作とか草”って言われてたよ」
「言わなくていいわよ!!」
お手伝いさん。
「ユミお嬢様、
また痩せましたね。
ちゃんと食べてますか?
あの脚本家の男に振り回されてるんじゃないですか」
「なんで知ってるの!?」
「家の情報網を甘く見ないでください」
ヨギョンは、
圧倒されて震えている。
「せんせ……
家族全員クセ強すぎません……? 」
ユミは、
頭を抱えた。




