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第43話 不安な安定

「え?え?」


ひたすらにエリカの口から困惑がにじみ出る。


「何驚いてんの。仲間にならせてよ。」


先程、本気で殺しあった人に向かってそのような態度を取れるのが不思議なくらいだ。


「な、なんでなんですか?」


そういうと少し考える。


「と、いってもそのユアの好きな人というのが気になるだけだよ」


嘘をついているようには見えなかった。

だけど、それは信用するかどうかは別。


「あなたが仲間になる根拠はなんですか!」


そうすると、トーマスはニヤリと笑い突然飛び出し右の拳をつきだす。しかし、それはいとも容易く止められてしまった。


エリカはトーマスの本性かと思いそのまま攻撃を仕掛けようとした。しかしトーマスは両手をひっそりと上げた。


「見ての通り、感度(バイブ)を使えない上に体技も通用しない。悪い意味で信用はできるでしょ。」


力が無ければ歯向かうこともできない。

やけに説得力のあることをしてきた。


「ま、まぁ確かに……?」


納得してしまった。

常時警戒していれば、何をしてもエリカは対処できると考えた。


「アイが先へ行く!どうせ今はゴールを目指すだけだし進む道は一緒だからな!」


そういうとせっせこ前へ行ってしまった。

エリカはそれに着いていく。


◇◇◇


「歩きづらい……いくら地面が平らでも這いつくばるととてもいてぇ…」


烈は未だに身体を引きずりながら移動をしている。

周りには人は居なく、烈にとってはありがたい空間となっていた。


しかし、全くと言っていいほど動くのが辛い。そろそろ体力に限界を感じた烈は、策を講じる。


(俺はまだ立つまでの体力を残していないし、足が動かない。強いていうなら残っているのは戦闘でしか役に立たない輝石と魔力だけだ。今、俺が持ってる輝石に移動に使えそうなものは無い。……このままずっと引きずるのか?)


もっと多種多様な輝石を持ってくればよかったと今更ながら後悔した烈。

しかし想像の域の話は今は無駄なだけなので、今あるものでなにかできないかを考える。


(光の輝石、ただ光を放つだけ。明らかに使えない。刃の輝石、これも同様。いや、刃を出しその勢いで移動できないだろうか。……輝石のオンオフが1番魔力を使う。辞めておこう。)


烈は最後の望みである磁石を取り出した。


(どうにかしてこれを移動手段として使えないか。)


烈は頭を回転させた。


磁石の輝石自体のカラクリは普通の磁石と同じ。

ただひとつ違うのは。


(魔力を込めれば込めるほど磁力が上がる。)


磁力が上がれば遠くのものに引っ付かけることができる。もしも物が固定されているならば


その時、磁石は移動する。


「そうか!」


烈はつい言葉が出てしまった。


これはほとんど賭けになるが、誰かが磁石を引くための鉄を持っている。例えばルナの鎧。


(素材を確かめてなかったのが盲点……。だが他の思想家も似たようなものを着けていた人が多い。)


だが、それは同時に敵との遭遇も意味する。

それを回避するには烈以外の仲間に引っ付くことだが、それは命懸けかつかなりの低確率だ。


(そもそも魔力を込めてない磁石の輝石はただの石だ。)


十分な距離を移動していれば、それでいい。

適当な場所で輝石を解除すれば心配は失せる。


烈は早速ふたつの輝石を両手で前にかかげ、魔力を込めた。


「はっ!」


次の瞬間


「いっっった!!」


2つの輝石が反応し互いにくっついてしまった。その時の衝撃で親指を挟んでしまいダメージを負った。


烈は痛む指を他の指で抑えながらNの輝石をしまった。


そしてもう一度力をこめた。


「はっ!」


鈍色の輝きの後、何かが起こったかと言えば何も起こらない。


「まだまだぁ!」


さらに魔力を注ぐ。

先程の戦いで平等の天秤を2回ほど使った。

魔力はまだそれなりに残ってはいるはず。


すると


ズルッ


服がかすれたのを感じた。着実に動いている。

もっと力を込めた。


烈の身体は、何かに引っ張られた。


烈は手すりを使うように立ち上がるとそのままズルズルと移動していった。


……思ったより体制はキツイ


「今行くぞ!うおおおおお!」


◇◇◇


あれからどれだけ走っただろう。

遭遇した敵は単体の敵が多く、2対1では軽く往なせた。掃除自体はかなり楽に終わった。


恐らく出遅れたことと、攻撃を仕掛ける人間が少ないのであろう。恐らくまだ半分もやられていない。


そんなことをルナは考えていた。


「考え無しに突っ込むものにも2種類の人間がいるんだよ〜」


リズがふとそんなことを言った。


「ん…?急に何を言うんだ?リズ。」


突然そんなこと言われたルナは、困惑していた。

並走しながらリズは横を向きニタリと笑った。


「何も出来ない人と、何もかも出来る人……の2人なんだよ。」


リズが変なことを言った瞬間、目の前には突然の暗黒が広がっていた。


「ここは、明るいのにこの境から急に暗くなっている……。」


少しだけ手を入れるとまるで手が無いように、見えなくなった。それと同時に違和感を覚え、青ざめた。


「これを進んだら、もう後には戻れなさそうだな。」


「寄り道もできないかな〜。というか、したら道を真っ直ぐ行けないんだよ〜。」


この暗闇で道を見失うことは死を意味する。


ゴクリと、ルナは思わず固唾を飲んだ。


ルナは、目を閉じこれまでを思い出す。そして覚悟を……


「リズ」


「ん?なにかな〜?」


ルナが青ざめた表情でリズを見た。


「そ、そういえば……ミリアはどこに…?」


そういうと、さすがのリズもきょとんと口を開けてしまった。周りには2人以外には誰もいない。ミリアとはぐれてしまった。


「ま、まぁ…ミリアちゃんならなんやかんやでゴールにたどり着いているはずだよ〜。」


と、何とか理由をづけて落ち着こうとした。


「あ、あぁ。そうだな」


2人が納得した。そして今度はこの謎の暗闇を前にして覚悟を決める。


「それじゃあ行くぞ。」


ルナが1歩出そうとした瞬間リズの動きにルナは視線を向けた。するとリズは左腕をルナに差し出している。


「絶対に離しちゃダメだよ〜」


ルナは目を見開いた。しかしすぐ穏やかな表情(かお)になり、

そしてそっと手を握った。


「あぁ、絶対だ。」


2人は暗闇に身を投じた。

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