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S級冒険者が歩む道~パーティーを追放された少年は真の能力『武器マスター』に覚醒し、やがて世界最強へ至る~  作者: さとう
第二十八章 ネクロファンタジア・マウンテン

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封印されし黒鋼の山ネクロファンタジア・マウンテン③/『オルウェン』

 エクリプス、ヒジリ、ロビン、シズカ、ロウェルギア。

 戦力的にはSSSレートの魔獣が現れても対処できるであろうメンバーであり、五人は現在山道を歩き続け、大きな広場に出て立ち止まった。

 周囲を警戒するが、魔獣の気配が全くない。ロビンが弓を降ろして言う。


「魔獣、いないみたい」

「デスねぇ……フム」


 ロウェルギアも、ここから先は未知の領域を感じているのか、軽口を叩かない。

 それはシズカも同様。上空を見るが、舌打ちをする……恐らく、『空神』の力で上空から偵察をしようとしたが、先程ひどい目にあったので自重したようだ。

 エクリプスは言う。


「何もないのは好都合……ここから先が真の『ネクロファンタジア・マウンテン』なのは間違いないと思うわ。恐らく……」


 視線を向けた先にあったのは、『森の入口』だった。

 だが、木々は濃い紫色、得体のしれない瘴気を放っており、どう見ても魔境だった。

 ヒジリは言う。


「ふふん、退屈してたところよ。あの先からやっばそうな魔獣が山ほどいるんでしょ? 滾る!!」

「うう、こんなこと言いたくないけどさあ……この中で一番弱いのあたしだからね? 偵察とかなら誰にも負けない自信あるけど、直接戦闘とかあんまり得意じゃないよ」


 ロビンは、自分の実力をしっかり把握している。

 隠密、偵察としての腕前はS級冒険者……というか、魔界攻略メンバーで最高だ。だが、直接戦闘での実力は大きく劣る。

 弓を使った戦闘を得意とする以上、前衛必須、守りは必須である。

 明らかに、この先は常識が通じない森……そもそも、こんな毒のような瘴気を放つ森に踏み込みたいとは思わない。

 ロビンは、アイテムボックスから防毒マスクを出す。


「人間界の防毒マスクだけど……効果あるかな。みんなの分もあるけど」

「私は平気。自身の気流を操って、瘴気を寄せ付けないようにするわ。フフ……よければ、あなたたちもどう?」

「……できるなら最初から言ってよね」


 ロビンはムスッとして、防毒マスクをアイテムボックスに入れた。

 エクリプスが指を鳴らすと、五人の周囲を風が包み込む。


「オホゥ、これはいいですネェ」

「……大した力だな」


 ロウェルギア、シズカは感心していた。

 オーバースキル保持者であるが、エクリプスのような繊細さ、多彩さは真似できない。

 ヒジリは拳をパシッと打ち付け、先頭に立って言う。


「よっしゃ!! みんな、気合い入れていくわよ!! 目指すは一番!!」

「……なに、一番って?」

「当然!! ハイセやサーシャたちより早く山頂を目指すってこと!!」


 ヒジリは当たり前のようにロビンに言うと、瘴気塗れの森に踏み込んだ。

 そのあとにシズカが、ロウェルギアが続く。


「……ねえエクリプス。エクリプスはさ、戦闘しながら行きたいなんて思わないよね」

「当然。と言いたいけど……下手に逃げて進むより、さっさと倒した方が楽、という考えもあるわ。フフ……安心なさい。あなたのことはちゃんと守るから」

「うー……ありがと」


 ロビンは、エクリプスと並んで森に踏み込むのだった。


 ◇◇◇◇◇◇

 ハイセチーム

 ◇◇◇◇◇◇


 遺跡。

 天井が高く、横幅も広い。壁には複雑な装飾が施されており、壁が淡く発光しているせいか明るい。

 不思議なことに、魔獣の気配が全くない。

 全くない。だが……それを差し引いても。


「どこだ、ここー!!」


 エアリアが叫ぶ。

 そう、遺跡はまさに『迷宮』と呼ぶに相応しい広さだった。

 ハイセも、マップを作製しながら進んでいるが、その広さに舌打ちする。


「広すぎる……参ったな、ここまで広いのは『デルマドロームの大迷宮』以来かもしれない」


 ふと、一緒に大迷宮を攻略した冒険者、チョコラテのことを思いだす。

 今あいつは何をしてるのか……と思ったが、今考えることではない。

 プレセアも、周囲を精霊に探らせているようだった。


「……広すぎる。少なくとも……ハイベルグ王国の区画一つ、二つ、三つ以上……それ以上の広さがあるわ。それに、通路の入り組みも尋常じゃない。魔獣の気配は……ある。会わないだけ」

「……魔獣、どのくらい強い」

「間違いなく、SSSレート。正直、出会いたくないわ」

「俺もだ。負担をかけるが……できるか?」


 ハイセは、書きかけのマップをプレセアに渡す。

 プレセアは頷き、マップに書き込み始める。

 精霊で周囲を探索しながら、マップを書き、魔獣を避けながら進む。

 この中で、一番負担があるのはプレセアだ。


「……こっちのルートにお前がいなかったら、攻略に数日……いや、下手したら一月以上かかってるかもしれないな」

「感謝は言葉と行動で。人間界に戻ったら、返してもらうから」

「……常識の範囲で頼むぞ」

「私は常識人よ」


 ハイセは、アイテムボックスから飴玉の入った缶を出しプレセアへ。

 

「舐めておけ。疲労にも効く薬飴だ」

「へえ、気が利くわね」


 プレセアは飴を口に入れ、コロコロ舐める。

 すると、シドラとヒデヨシがハイセを見ていた。


「……お前らはこっちだ。この薬飴は少し苦みがある」

「わあ、嬉しいです」

「飴……あまり舐めたことないです」


 ヒデヨシ、シドラは嬉しそうに飴を舐める。

 当然、エアリアも飛びついてきた。

 しばらく、プレセアの案内で進んでいたが……半日も歩くと、プレセアが止まった。


「……わからない」

「どうした?」

「広すぎる」


 プレセアは、見たことがないような表情をしていた。

 地図はびっしりと書き込まれ、すでに十枚以上描いている。あまりにも道が細かく、プレセアは必要のない道は省略して描いていた。それでも、膨大な道が遺跡には敷かれている。


「ハイセ。私たち……恐ろしいところにいる」

「それは理解してる。ちゃんと説明しろ」

「広いのよ、ここ……はっきり言うわ。ここ、ハイベルグ王国よりも広い。間違いない」

「……何?」


 プレセアは、人差し指に淡い光を灯して言う。


「私の精霊は、命じればハイベルグ王国の端から端くらいまで探索できる。今、全力で全方向に精霊を向けて探査しているけど……終わる気配がない。あり得ないわ」

「……つまり?」

「ここはただの遺跡じゃない。狂乱時空大森林みたいに『生きている遺跡』とも考えたけど……迷宮の構造は固定されている。生物じゃない。でも……ここはあり得ない。まるで……」

「……まるで、なんだ」


 プレセアは、あり得ないような……それでも、言うべきかどうか迷って言う。


「……エルフ族に、死者の国は無限に続く迷宮があるっておとぎ話があるけど……まるで、永遠に続く『(ネクロ)』の『幻想(ファンタジア)』みたいな……ごめんなさい、意味が分からないわよね」

「…………」


 ハイセは、チラッとヒデヨシたちを見た。

 今は、ハイセの出したクッキーを食べながら、エアリアの馬鹿話を聞いて笑っている。だが……すでに半日以上歩いている。

 シドラ、ヒデヨシはこれ以上無理をさせない方がいいだろう。


「……よし。シドラ、ヒデヨシはアイテムボックスに戻って休憩しろ。エアリアは二人に付いてやれ」

「えー? あたい、全然やれるぞ」

「いいから頼む」

「むう、わかったぞ」


 ハイセは、アイテムボックスにヒデヨシ、シドラ、エアリアを収納。

 プレセアに言う。


「お前は、俺と二人で迷宮の調査だ。ここがただの迷宮じゃないっていうなら……きっと攻略の方法があるはずだ」


 ハイセは銃を抜き、近くの壁に向かって発砲する。

 すると、銃弾は壁を貫通し消えた。

 貫通したはいいが、全く音がしなかった。


「……ここは、何かある。プレセア……警戒しろ」

「え、ええ……」


 プレセアは弓を手にし、ハイセと背中合わせで警戒する。

 ハイセの銃弾がきっかけになったのか、周囲の様子がおかしかった。

 空気が重々しくなり、重圧が増していく。


「……来るぞ」

「……どう、なってるの?」


 精霊が、一瞬で消えた。

 周囲に散らばっていたプレセアの精霊が、全て消滅した……まるで食われたように。

 ハイセは両手に拳銃を持つ。


「どうやら……気付いちまったせいか、敵も方法を変えたようだな」


 ハイセは気付いた。

 この迷宮は『擬態』しているようだった。

 魔獣の腹の中。

 討伐レート測定不能。

 禁忌六迷宮『ネクロファンタジア・マウンテン』に存在する最強の魔獣が四体、そのうちの一体。


 幻想迷宮型魔獣『イズールド』が、ハイセとプレセアに牙を剥く。

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〇S級冒険者が歩む道 追放された少年は真の能力『武器マスター』で世界最強に至る 2巻
レーベル:GAコミック
著者:カネツキマサト
原著:さとう
その他:ひたきゆう
発売日:2025年 10月 11日
定価 748円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
ハイセと一緒に冒険したチョコラテ。懐かしいですね。サーシャ達とは違いハイセといい仲間であり友人関係になった人物でしたね。その後ハイセは,プレセアやヒジリ、エクリプスと交わり、クレアを弟子に迎え入れ、サ…
作者さんがチョコラテの事を忘れてなかったのが嬉しかった S級になってからは1番ハイセの友人ポジっぽいキャラだと思ってたから いつか再登場してほしいと秘かに思ってた ピアソラがハイセの相棒みたいなのも…
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