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チャラ男とボタン姉

「おい! 待つッ……まってください!じゃんよ・・・・!」

「……結局、言ってる」

「ぼへぇッ!?」


 振り向くとチャラ男が童女に尻を蹴り上げらていた。

 抗議をするチャラ男だが取り合ってもらえない様子。

 土嚢を車で轢いたような豪快な音が響く。


「!……あぁ!!、待てください!!そこのガキ……おぼっちゃま?」


 なんか、取り合いたくないなぁ。


「あきひと。君がよばれてるんじゃないのか?」

「……そのよですね」


 肯定したのは呼ばれている事。のみだったんだけど、

 いらぬ気を回してくれた軍人さんがニールに指示をだし減速してしまった。


「……ほら、来たよ」

「あ、あぁ、分かってるって……敬意をもってだろ? おい、ガキ。ちょっといいか?」


 チャラ男は自分で言ってることをちゃんと分かってるんだろうか?


「いいですよ。ふつうにしゃべって……」

「おおッ!わるいな」


 と、ニカっと笑うチャラ男。

 親しみやすい人といった感じだろうか?


「……少年のほうが…いい子」


 見るからに、年下の童女に褒めれる


「いいじゃんよぉ。普通に喋っていいって言ってんだから。なぁ?」


 童女が小さな手を額に当て、う~…と呻いている。

 蹴る気力もないようだ。


「……それで。なにかようですか?」

「お。そうだ。スイ様を治してやってほしじゃんよぉ」


 スイ様?誰だっけ?


「……私たち角氏の巫女。青緑髪に翡翠色の玉角の少女。」


 と、童女が補足してくれた。

 あの少女か。両腕がなくなってしまった子だ。


「う~ん、俺に魔法とか使えないんですけど……」

「ん? あれじゃんよ? あれ。その女治したときの。あれで治してほしいじゃんよ」


 白無垢の変えの着物のことかぁ。

 ニールに勝ってに使った前科があるとはいえ、どうしたものか?

 てか、なんで知ってるんだ? パパのくだりの時だよな?

 

「頼む。なんなら我が姉をやるからッ!な?」

「……な…」


 と、抑揚なく驚く童女。

 え? 姉なの?

 童女が幼すぎるのか、チャラ男が育ちざかりなのか……。


「いえ。結構です」

「…やっぱだめだったか」

「……少年。私は…悲しい……」


 いやいや、スイ様を治す治さないの話から脱線してるよ?


「スイ様の話じゃ……」

「あ……」

「そうだった、そうだった。で、ダメなのか?」


 気を取りなおし、今度は真剣に問いただしてきた。すると、


「ちょっといいかしら?」


 軍人さんがチャラ男に問いかける。


「不本意だけど私たちには私たちの目的があるの。貴方達の詰めの甘さのせいでね」


 険しい表情になるチャラ男。

 童女姉も眉間にしわを寄せ軍人さんを見る。


「その尻ぬぐいに付き合ってる時間もその少女も助ける理由もない。助けたところでまた事態が悪化してもらってもこまるのだけど?」

「別にお前に話してないじゃんよ」


 軍人さんを睨む。 


「あら、そう? じゃぁ、この話(・・・)はここでおしまい。先、行くわね。」


 ニールが白光し速度上げようとする。


「……!?」

「ちょ!? ちょっとまったッ!分かった。理由をいうッ!……はぁ。今、荒神の力でオーガの死霊が大軍で聖地を跋扈してやがる。スイ様なら止めらるかもしれないじゃんよ」

「根拠は?」

「スイ様は霊装が扱える」

「そう。あなた達は霊装をもってるのね」

「あぁ」


 にがにがしい表情で答えていくチャラ男。


「少年。どうかしら? あなたの霊装で助けてあげてみてもいいかかもしれないは。探索術式に無数の魔素分布の移動を検知してる。足止めしてくれるのなら見返りはある。」


 ニールに騎乗しながら肩越しに俺にそう言ってきた。

 この話ぶりからすると、最初から大軍が来ていること知っていてカマかけたんじゃないだろうか?

 そのうえで目的があって近づいてきたオーガ達から情報を聞き出したと……。


 俺が応対してたら普通に白い着物貸して終わりになりそうだけどさ。


 そして暗に、囮にしようぜ。って事を言ってるんだけど……。


「頼む」


 そう言って頭を下げてくるチャラ男。


「はぁ……保障はできませんよ?」

「ほんとか!? 助かるじゃんよッ!」

「…少年…感謝する……」


 ペコっと頭を下げる童女姉。


「直ぐ追いつくだろうが、迎えにいってくるじゃんよ」


 そういうと人間離れした跳躍で踵を返す。

 たぶん、スイ様とやらが遅れているのだろう

 ……。

 童女姉がこちらを見てくる。


「……少年…」

「なんでしょう?」

「……どこが…ダメ?…」


 ニールの疲労を鑑みて鈍行してるとはいえ、付いてきながら聞かれる。


「え? 子供だから」

「……なら…少年も、まだ子供…」

「……」

「……同士よ…哀しいね…」


 同士って言われた。

 なんとなく慰めれる。

 軍人さんがこぎざみに揺れ出す。


「……少年。氏族どこ?」

「氏族? いや、どこもなにも俺はオーガじゃないですよ?」

「……?」


 コテンと小首を傾げる童女姉。


「……でも、ちゃんと角生えてる。獣人?」

「獣人でもないです」

「……同士だと思ってたのに…」

「いやいや、嘘ついてませんよ?」

「……少年。私じゃダメ?…」

「歳はいくつですか?」

「……」

「26じゃんよ」


 いつの間にか戻って来ていたチャラ男。

 26かぁ。11違うな。

 しかも、見た目が童女。

 なりふり構わない感じに引いてしまう。


「イッデ!!」


 と、童女姉に蹴られるチャラ男。


「御手を患わらせて申し訳ありません」


 そう、チャラ男の後ろの方から少女の声がする。

 灰髪黒二角の大男に抱えられているようだ。

 改めて近くで見ると、両腕がないというのは不憫だと思う。

 会釈で返礼しとく。


「……期待はしないでくださいね? 俺の持ち物じゃないないんで勝手がわからないですから」

「かまいません。お願いします」


 傷ついた人を治すという、断りずらい条件。

 まぁ、布かぶせるだけだしね。

 龍と違って命がかかってるわけじゃ……あれ?

 龍を見つけてこれかけてやればいのでは?

 と、心の棘が取れる思いが胸中を満たす。


「……少年。私のことも、お願い」


 また、増えた。

 当然、無視する。


 カバンからグシャグシャの着物を取り出し、大男に抱えらるスイという少女に布を掛けよと近づこうとした時だった。

 黒い焔を纏った死霊の集団が森の影から蠢き、湧き出してくる。


 「ちッ!こんな時にッ」


 次々と湧き出てくる死霊が進軍するたびに黒い焔を見境なくまき散らすと、

 木々を灰に変えながらが広がっていく。


 多方向から奇襲され、陣形を崩される。

 黒い焔を纏った死霊が振り降ろしてくる拳撃を受け流すチャラ男。


 寡黙に淡々と結界を張る灰髪の大男。


 軍人さんに黒い焔が掠めそうになった所を引っ張られ、落ちそうになりながらも回避する。

 しかし、その際に白い着物を手放してしまった。


「ちッ!」


 灰髪の大男が張った結界を足蹴にひるがえるとチャラ男が着物を空中で掴むが、

 なだれ込む死霊に分断されてしまう!


「少年! 捕まってなさい! 離脱します!」


 突然の事態に混乱するニールを宥め、空を駆け出しすと一旦降りた地上付近から森の上へ躍り出る。


「あの布はあきらめなさい! 彼らの手に渡ったなら目的を果たせるでしょう! 急ぐわよ!」


 後ろ髪を引かれ振り替えっていると、咎められる。


 オーガ達はチリジリになってしまったようで死霊の中に確認できなかった。


 すると、雷鳴が轟く。


 「なんだ!?」


 思わず振り向く。

 遠くで紫電が走り、白光するものから離れていくのが見えた。


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