第25章:腐敗した貴族どもに裁きの鉄槌を! 『3人制限』の嘘を暴き、100万ルーメンの報酬で大団円。そして影の君主は相棒と共に、新たな冒険の海へと出航する
雲の湖の癒やしの霧の中で再生した後、グループは天空の地下都市を去る準備をした。彼らは、目に涙を浮かべながら深くお辞儀をし、救世主たちに対する感動的な感謝の意を表すアエロールや天空の民たちに別れを告げた。
しかし、成し遂げるべき最後の偉業が一つ残っていた。地表の世界へ戻るために、サイクロプスのような天空の迷宮の降下に立ち向かうことだ。
グループは、空側からのダンジョンの入り口である第70階層の巨大な隙間の前に陣取った。
「くつろいで、俺の後ろにいてくれ」
ゴランは、マストドンのような深淵の藍銅鉱の絶滅双刃斧を上の空で肩に担ぎ直しながら言った。
「この散歩は俺のおごりだ」
彼らが敷居を跨ぐ時間すらなく、闘技場全体が震えた。ダンジョンの入り口を塞いでいたのは、塔を守るために復活した階層ボス、巨大な【白竜】だった。圧縮された雪とダイヤモンドのような白い鱗に覆われた神獣は、その古代の黄金の目で侵入者たちを睨みつけた。
ゴランの4体のタイタンのような使い魔は唸り声を上げ、飛び出してそれを八つ裂きにする準備をしたが、巨人は空いている手を上げた。
「待て、お前たち」
ゴランは命じた。
「ここは俺がやる」
イスリルの化身は魔物たちの列を通り抜け、一人で前進した。白竜は咆哮し、巨大な翼を広げて、単一の破壊的な物理的衝撃で侵入者を踏み潰そうと、そのタイタンのような巨体で突進してきた。
ゴランは少しも怯まなかった。彼は双刃斧を両手で握った。マナを1オンスも使用せず、能動的なシステムスキルも一切使わず、あらゆる生物学の法則を無視する純粋な腕力だけを頼りに、巨像は武器を解体用メイスのように振り回した。彼は刃の端を使わなかった。アビサル・アズライトの広くて平らな面で、ドラゴンの鼻先を真っ向から殴りつけたのだ。
――バァァァン!!
衝撃は黙示録的だった。運動エネルギーが数トンのドラゴンを持ち上げ、昆虫のように払い除けたのだ。クリーチャーは数十フィート飛び、フロア全体を揺るがす鈍い音と共にエントランスアリーナの分厚い壁に激突した。怪物は瓦礫の雲の中で地面に滑り落ち、完全に気絶して意識を失ったが、生きていた。
ゴランは歩調を緩めることなく斧を肩に戻し、倒れた獣の横を通り過ぎた。
「寝てな。俺たちは急いでるんだ」
巨人は唸った。
彼の後ろのグループは口をポカンと開けて立っていた。カルダーとマーカスはショックを受けた視線を交わした。
「あれを倒すために血を吐く思いをしたと考えると……」
忍者は髪をかきあげながら囁いた。
金属の杖に寄りかかっていたジンは、諦めたような笑みを浮かべて首を振った。
「これまでの人生で、こんなに自分が無力だと感じたことはないよ」
「よし、入り口はクリアだ」
ゴランは獣たちの方を振り返って宣言した。
「次はお前たちの番だ。道を切り開け」
尖塔の降下は探検ではなかった。それはグループが息をつくことを可能にする、絶対的な支配のデモンストレーションだった。
そびえ立つ鉄皮の巨獣と巨骸騎士が止まらない壁のように肩を並べて前進し、一方、狼のボルトと血竜の暗殺者が、近づこうとするあらゆる者を焼却し、バラバラにした。彼らの後ろで、グループは完全な安全の中で歩き、ジョークを交わし、その一方的な大殺戮のシュールな光景を楽しんでいた。数週間ぶりに緊張感は消え去り、不可能を克服した本物のクルーの純粋でカオスなエネルギーに取って代わられた。
しかし、行軍の途中、グループは第27階層に到達した時に短く、厳粛な停止をした。
カルダーは陣形から離れ、列柱の廃墟に向かって重い足取りで歩いた。優しい手つきで、創世の地獄解体者は倒れた仲間の紫色の布のバックパックを埃の中から拾い上げた。彼は表面を慎重に払い、指先で生地の粗い織り目を感じ、それからそれを胸に強く抱きしめた。無言の祈りの中で目を閉じ、彼はそれを背中にしっかりと縛り付けた。ゴランは無言の敬意のジェスチャーで頷き、降下は再開された。
◇ ◆ ◇
4時間足らずで彼らは全距離をカバーし、ダンジョンの基部である第1階層に到着した。彼らの前には、巨大なプラチナの扉と、遠征の開始時に軍隊の警備兵が彼らを内側に封印するために降ろした分厚い魔法の石板が立っていた。
エララは唇を噛み、その一見越えられない障害物に視線を休ませた。
「それで、今度はどうやって通り抜けるの? 上に行く時、彼らは私たちをここに閉じ込めたのよ……」
マーカスはポケットに手を突っ込み、彼特有の生意気な笑みを浮かべた。
「ゴランに任せとけ」
イスリルの化身が前に出た。システムが伝説の木こりの意図を認識し、彼の黄金の目が輝いた。
≪システムハブ≫
【パッシブスキル:木こりの掟 レベル3。】
【効果:絶対的な魔法の無効化。】
ゴランは肩を踏ん張り、怪物的な水平のスイングを放った。
――クラァァァ・ブォォォン!!
『木こりの掟』は石板の呪文を完全に無効化した。プラチナの門は蝶番から引きはがされ、純粋な運動エネルギーによって乾いた枝のように粉砕され、耳をつんざくような轟音と共に外へ衝突した。
外では、尖塔の麓にある要塞化された軍営地がタイタンのような衝撃波に見舞われていた。何日もそこに駐留していた何百人もの王室近衛兵は、純粋な恐怖に後ずさりした。パニックが部隊を這い回り、攻城クロスボウ兵は武器を上げ、その手は引き金の上で震えていた。
「戦闘態勢! テストゥド(亀甲)陣形!」
小隊を率いる将軍が剣を抜いて叫んだ。
「あの隙間から出てくる者は、誰であろうと撃ち落とせ!」
しかし、ボルトが一本でも発射される前に、巨大な姿が入り口を暗くした。現れたのはただの冒険者ではなかった。ゴランの伝説的な使い魔たち――鉄皮の巨獣、巨骸騎士、狼ボルト、そして血竜の暗殺者が、グレード4のドラゴブリンとエララのそびえ立つ森の阿修羅タイタンを従えていたのだ。彼らの単なるオーラが軍隊全体の生存本能を押し潰し、最前線の兵士たちの膝を崩れさせた。恐怖は絶対的だった。
その時、深く馴染みのある、揺るぎない権威に満ちた声が煙の幕を切り裂いた。
「お前たちは本当に、自分たちの司令官を撃つつもりか?」
土埃が晴れた。エルヴィンがゆっくりとしたペースで前進した。無傷のダイヤモンドの鱗と雄大なドラゴンの翼が誇らしげに背中に休んでいたが、彼の傷だらけの顔とリーダーの姿勢は紛れもないものだった。
将軍の目は大きく見開かれた。剣が手から滑り落ち、鈍い金属音と共に地面に落ちた。
「エルヴィン司令官……」
兵士は本能的に膝をつき、囁いた。
「しかし、あなたは1年前に死んだと思われていた……」
「私は死んでいない!」
エルヴィンは凍てつく山風を圧倒する声で宣言した。
「私は地獄を生き延びた! エランドールの兵士たちよ、お前たちは嘘をつかれていた! 卑怯者たちの手駒として利用されていたのだ!」
エルヴィンは光竜剣を遠くの街に向け、軍隊の目を真っ直ぐに見た。
「アンソニー卿とソーン・ギルドマスターが闇に資金を提供したのだ。彼らはギルドの許可証を利用して、私と無数の無実の探求者をこの屠殺場に封印し、飽くなき強欲だけに駆られて、瘴気を養うために私たちを死に追いやった! この入り口での彼らの警備は、脅威からお前たちを守るためではない。彼らの犯罪を隠すためだったのだ! お前たちは宮殿で宴会を開く反逆者と共にあるのか、それとも私と共にあるのか?!」
一瞬の躊躇もなかった。その軍隊はエルヴィンを盲目的に信頼していた。彼は彼らのメンターであり、英雄であり、彼らが命を捨ててもいいと思っていた司令官であり、まる1年間喪に服していた人物なのだ。ざわめきは絶対的な忠誠の咆哮へと変わった。大地を揺るがすようなユニゾンのジェスチャーで、大隊全体が武器を鞘に収め、彼の前にひざまずき、胸に拳を打ち付けた。
「あなたのご命令のままに、司令官!」
将軍は咆哮した。
エルヴィンは誇らしげに微笑んだ。
「ならば野営を解け。エランドールへ進軍する。我々には掃除すべきギルドがある」
◇ ◆ ◇
山からの下山と大都市への入場は、止まることのない行進へと変わった。軍隊の全派遣団に護衛された英雄たちのグループがエランドールの中央広場に入場した時、街全体が立ち止まった。
冒険者ギルドの豪華なバルコニーから、アンソニー卿とソーン・ギルドマスターはヴィンテージワインをすすり、自分たちが大陸の揺るぎない支配者であると信じ込んでいた。彼らが軍隊が広場になだれ込むのを見、そしてエルヴィンが元気な姿で、黙示録的な怪物たちに囲まれているのを認識した時、アンソニーの手からゴブレットが滑り落ち、地面で砕け散った。
「これはどういう意味だ?!」
アンソニー卿はシーツのように青ざめ、金切り声を上げた。彼はバルコニーから身を乗り出し、毒を吐き出した。
「将軍! 奴らをその場で殺すよう命じる! これは反乱だ!」
彼に味方して筋肉を動かした兵士は一人もいなかった。代わりに、何百ものクロスボウと槍がバルコニーに向けられ、彼に狙いを定めた。
冷や汗を流し、終わりが来たことを悟ったソーンは、遠くへテレポートして命を救うための呪文を狂ったように暗唱し始めた。
しかし、黄金の閃光の中でジンが彼の側面に実体化した。モンクはギルドマスターの肩に二本の指を置き、正確な電気ショックを放ち、彼を痙攣させて地面に崩れ落ちさせ、呪文が発動する前に魔法を無効化した。
同時に、カルダーがバルコニーに跳躍し、重い轟音と共に着地した。地獄の解体者はアンソニー卿の豪華なシルクの襟首を掴み、無力な操り人形のように彼を持ち上げた。
「終点だ、寄生虫め」
シェフは唸り、彼をギルドの広い階段から残酷に投げ落とし、エルヴィンの足元まで転がした。
兵士たちが彼を逮捕するためにアンチマナチェーンを素早くはめる中、アンソニー卿は血を吐き、絶望的にエルヴィンとマーカスを見上げた。
「ノトリウス……ノトリウスはどこだ?!」
貴族は怒りとパニックの入り混じった哀れな様子で叫び、鎖の中でもがいた。
「我々は取引をしたんだ! 私が奴に軍事アクセスと生贄の傭兵を保証し、その見返りに、奴は私の息子を連れ戻すはずだった! 私の息子はどこだ?!」
マーカスはポケットに手を突っ込んで一歩前に出た。まさに地獄の底を見てきた者だけが持つ、氷のような視線だった。
「あんたの息子は1年前に死んだよ、アンソニー」
忍者は、一切の同情を交えずに言った。
「そして、ダンジョンのモンスターに殺されたわけじゃない。サイモンとノトリウスが深淵で全てを自白した。ノトリウスは最初の瞬間からあんたを弄んでいたんだ。彼はあんたの息子を、瘴気を養うための最初の生贄のバイオマスとして利用した。彼は遠征の資金を得るためだけに、ずっとあんたに嘘をついていたんだ」
アンソニー卿の顔からすべての血の気が引いた。彼の唇が震え始めた。
「嘘だ……嘘だ、そんなはずはない……」
貴族はどもり、彼自身の愚かさと傲慢さの重みが彼にのしかかる中、息を詰まらせた。
その瞬間、マーカスは地面でまだ麻痺しているソーンと、群衆の方へ向き直った。忍者は腕を組んだ。
「そして、あの有名なシステムルールは? 3人以上のパーティーが尖塔の門をくぐるのを防ぐというルールは?」
彼は大きな声で尋ね、軽蔑に満ちた笑顔を見せた。
群衆の中からギデオン卿と共に到着したばかりのアリスター卿は、目を丸くした。
「どういう意味だ、少年?」
「すべては茶番劇だった。ギルドによって画策された、マカブルな茶番劇さ」
蝕の君主は宣言した。
「システムの制限なんて最初から存在しなかった。あんたたちが3人というルールをでっち上げたのは、深淵に降りるノトリウスが、小規模で孤立したグループにしか直面しないようにするためだ。黒檀の疫病に支えられたノトリウスなら、一度に3人の冒険者を虐殺して肥料として使うことなんて造作もないと、あんたたちはよく知っていた。もしギルドが軍隊全体や巨大なパーティーを送り込んでいたら、ノトリウスは圧倒されていただろう。3人のルールは、ただ奴に簡単な獲物を銀の皿に乗せて提供するためだけのものだったんだ」
群衆と兵士たちの間に、純粋な恐怖のざわめきが広がった。その計画の残酷さはゾッとするものだった。
「お前は世界の終わりに資金を提供し、何百人もの無実の冒険者を死に追いやった」
エルヴィンはアンソニーを睨みつけながら付け加えた。
「お前自身の血族の処刑人そのものに信頼を置いてな。お前はただの哀れな操り人形だ、アンソニー」
警備兵たちが彼を一片の同情もなく引きずり出していく中、アリスター卿とギデオン卿は市の役人たちの群衆を押し分けて進み出た。
ギデオン卿は警備兵を無視して司令官をハグするために走った。
「エルヴィン、古い友よ……我々は君が死んだと思っていたよ!」
ギデオンは感情で声を震わせて叫んだ。彼は鎖に繋がれたアンソニーを純粋な嫌悪感を込めて振り返った。
「我々はこの狂気を何も知らなかった。アンソニーとソーンは、評議会の誠実な派閥を完全に暗闇の中に置いていたのだ! 奴らには絞首台がふさわしい!」
アリスター卿はマーカスに近づき、信じられないというように首を振った。
「アンソニーが何かを隠していることは知っていた……しかし、これほどの忌まわしいことだとは想像もしていなかった」
エルヴィンはギデオンの前腕を握った。
「悪夢は終わった。異常は根絶され、天空の世界樹は安全だ。私のそばにいるこの英雄たちのおかげでな」
アリスターはマーカス、カルダー、ジン、エララ、そしてゴランを深い敬意の目で見つめた。
「エランドールはあなた方にその存在そのものを負っている。マーカス、私はあのダンジョンに入る前に君に約束をしたな。100万ルーメンという天文学的な金額は失われない。それは王室の金庫と、これらの裏切り者たちの没収された資産から直接引き出される。そして、あなた方は皆で世界を救ったのだから、それぞれが100万ルーメンを受け取るにふさわしい」
正確にその瞬間、クリスタルのようなチャイムが彼らの心に響き渡った。黄金の輝きが彼らのハブを照らし出す。
≪システムハブ:エピッククエスト完了≫
【秘密の目標:天空大陸と深淵の浄化。】
【報酬発行:各パーティーメンバーに1,000,000ルーメンが付与されました。】
【新規称号獲得:アイテラスの英雄。】
マーカスは、残高の数字を読みながら口笛を吹いた。
「船旅の元は利子付きで取れたってところだな」
ギデオンは司令官に向き直った。
「しかし、我々のギルドには今、導き手がいない。エルヴィン、君にギルドマスターの役職を引き受けてもらいたい」
エルヴィンは、誇らしげに微笑む娘のエララを見て、厳粛に頷いた。
「引き受けよう。そして私の最初の指令は、アイテラスとの通信チャンネルを開くことだ。天空の民は、もはや隠されるべき秘密ではない」
◇ ◆ ◇
数時間後、黄金色の夕日の光がエランドールの石畳の通りを浴びていた。
カルダーは美食地区に向かってゆっくりとしたペースで歩いていた。彼は父親のレストランの重いドアを押し開き、鐘を鳴らした。老人は顔を上げ、カルダーの姿、そして何よりも息子が胸に抱きしめている紫色のバックパックに焦点を合わせた。マグカップが手から滑り落ち、床で千の破片となって砕け散った。カルダーは泣きながら膝から崩れ落ち、父親はカウンターを駆け回って彼を抱きしめた。
「彼らを見つけたよ、親父」
カルダーは途切れ途切れの声で囁いた。
「彼らの仇は討った」
一方、エランドールの静かな地区で、ジンは落雷の神殿の敷居を跨いでいた。モンクはメインの祭壇に近づき、年老いた聖職者の足元に非常に重い袋を置いた。
「5万ルーメンです。この神聖な場所を修復し、天空の迷宮の戦死者を讃える祭壇を建てるために」
彼はひざまずいて2本の線香に火を灯し、自分のタンクとヒーラーを思い返した。
「嵐は過ぎ去った、俺の友よ。お前たちの魂は今、澄み切った空で輝ける」
街の反対側では、無愛想な熟練の武器職人が鍛冶場から顔を上げると、マーカスとドラゴブリンが目の前に立っていた。一言も発することなく、マーカスはカウンターの上に革のポーチを実体化させた。
「10万ルーメンだ」
蝕の君主は、使い魔の古い木製の棍棒を指差して宣言した。
「これをベースに使ってほしい。溶かして、補強して、一つ一つのトゲを純粋なアビサル・アズライトでコーティングしてくれ」
熟練の武器職人は目を丸くした。
「ドラゴン殺しの武器を……使い魔に? お前、完全に狂ってるぞ、坊主」
「わかってる」
マーカスは微笑んだ。
「だが、これは約束なんだ」
エランドールに夜が優しく降りてきた。『燃えるゾンビ亭』の広大な中庭で、グループは巨大なテーブルを囲んで最後に一度だけ集まった。テーブルの上では、スパイスの効いた料理の巨大なトレイが手から手へ飛び交っていた。
少し離れた場所では、森の阿修羅タイタンと鉄皮の巨獣が巨大な肉の足を巡ってじゃれ合いながら争っている。突然、ドラゴブリンが飛び込み、肉をひったくり、夜空へと真っ直ぐに飛び上がった。血竜の暗殺者がそれを追いかけて飛び立つ。2体の魔物は純粋で酔いしれるような幸せから、星に向かって無害な炎を吐き出しながら、空中で一緒に飛び交い始めた。
マーカスは立ち上がり、マグカップを掲げた。騒音は徐々に静まっていった。彼は仲間たちの顔を一人ずつ見て、微笑んだ。彼らは全くの他人として出発し、壊れることのない伝説として現れたのだ。
「世界樹に。そして、俺たちがいる間に……それを切り倒そうとするイカれた奴らに」
マーカスは乾杯の音頭をとった。
「ギルドに!」
彼らは声を揃えて答え、激しくマグカップをぶつけ合った。
闇と黒檀の疫病との戦争は終わり、エランドールの空についに新しい夜明けが輝いた。
◇ ◆ ◇
数日後、塩の味と潮風が再びマーカスの金髪の房を撫でた。
商人のガレオン船がコバルトブルーの波を切り裂き、エランドール大陸と、浄化された巨大な天空の尖塔のシルエットを背後に残していく。きしむ木製の手すりに寄りかかりながら、マーカスは外海の空気を深く吸い込んだ。
彼の傍らでは、ゴランのタイタンのような姿が、重いアビサル・アズライトの絶滅双刃斧を甲板に休ませながら雲を眺めていた。さらに下では、ドラゴブリンが船のメインマストの間を飛び回り、愛想よくカモメを怖がらせて楽しんでいる。
「それで、小僧」
イスリルの化身の深い声が轟き、波に揺られる沈黙を破った。
「俺たちが英雄としてアエテルガルドに戻る今、もう一度アナベルに告白するつもりか?」
マーカスは水平線を見つめ続けた。彼のいつもの傲慢な笑顔は、穏やかで成熟した表情へと和らいでいた。彼はゆっくりと首を横に振った。
「いや、おっさん。自分の道が何なのか、今はわかっている」
忍者は腕を組んで答えた。
「静かな生活を夢見たこともあったさ。もしかしたら妻や子供と一緒に……でも、それはもう俺には向いていないって気づいたんだ。あそこには驚異が多すぎる。俺は、俺の友達のドラゴブリンと一緒に世界を発見しに行くつもりだ」
ゴランはクスクスと笑った。甲板を震わせるような深い笑いだ。
「冒険が呼んでいる、か? それはよくわかるぜ」
マーカスは木こりの方を向き、その黄金の目に好奇心の閃きを灯した。
「そういえば、数日前、深淵でお前は詳細を話してくれなかったな。俺たちのところへ向かう途中で、あんたが山のダンジョンで救ったっていうあのガキ……一体誰なんだ?」
ゴランは太い腕を胸の前で組み、分厚い顎鬚から称賛の笑みがこぼれた。
「あり余るほどの勇気を持ったガキだ。想像してみてくれ。わずか18歳で、パーティーも組まずに一人で、あの悪名高いダンジョンの第2階層まで下りていったんだ。俺が近くにいて本当によかった。もし俺がいなかったら、第2階層のボスがその場で彼を殺していただろうな」
マーカスは眉を上げ、わざとらしい非難の目で彼を見た。
「ちょっと待てよ……つまりあんたは、ダンジョンのたった2階層のところでそいつを助けるために遅刻したってのか?」
ゴランは首を横に振り、笑顔を広げた。
「違う、違う。彼が最初のパーティーメンバーをようやく見つけた第42階層まで、俺が護衛して下りていったんだ」
マーカスの目は、その偉業の不条理さと純粋な力を想像してほんの一瞬大きく見開かれ、その後、心からの笑い声を爆発させた。
「なるほど。要するに、また別のイカれた奴ってわけだな。俺たちみたいに」
「俺たちみたいにな」
ゴランは確認した。
蝕の君主とイスリルの化身は、船首の方を向いた。船が新しく、未踏の冒険へと帆を広げる中、彼らは目の前に広がる無限の水平線を並んで見つめていた。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
これにて『記憶喪失の『木こり』と影の『忍者』が天地の世界樹を救う件 ~チート斧と最強魔獣を引き連れて、理不尽なシステムをぶっ壊す無双戦記~』、堂々の完結となります!
第1部では記憶を失った規格外の木こり・ゴランと頼もしい従魔たちが大地の世界樹イスリルを救う物語を、そして第2部では成長した若き忍者・マーカスと相棒のドラゴブリンたちが天空の世界樹アイテラスを巡る陰謀に立ち向かう物語を描いてきました。
不遇職から始まったゴランの豪快な斧無双と、かつては生意気だったマーカスが仲間と共に『蝕の君主』へと駆け上がっていく姿、そして2つの世界樹を巡る冒険を最後まで楽しんでいただけたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。
ゴランが山のダンジョンで助けた「18歳の無謀な少年」の物語や、大海原へと旅立ったマーカスとゴランの新たな冒険など、彼らの世界はこれからもどこかで続いていきます。
ここまで彼らの旅路を見届けてくださった読者の皆様に、心より感謝申し上げます。
もしよろしければ、感想欄などで本作のご感想をお聞かせいただけますと、今後の執筆の大きな励みになります!
それでは、また次の作品、あるいは彼らの新たな物語でお会いしましょう!本当にありがとうございました!




