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プロローグ
ウチは、この世界を舐めていた。
『アビリティ』を持っていれば楽勝と、嘲笑していたのだ。
現に今まで数多くの死戦を潜り抜けてきたが、自分でも勝てるイージー世界。
そんな世界――『夢世界』
仲間と出会って、素性もしれて。
これから、薔薇色の生活を送りながら、目的を果たすことができるのだ――そう、思い込んでいた。
頭から流れる液体が目に溜まる。
赤い。
瞬きすらできない。
怖い。
足がすくんで、上手く足が動かない。
それでも這いつくばりながら、後ろへ下がっていた。
ウチが持つアビリティのせいで、痛覚はない。
それなのに、血が見える。
そのせいで、いつもより恐怖が目立った。
アイツすら救えず、ここで死ぬのだろう。
この森の中、ここがどこだか分からずに。
異様に長い刀身を持つ、大きな日本刀。
それに斬り殺される。
その持ち主が今、こっちに向かってくる。
奴が何をしたのかは分からない。
だが気づいた時には、さっきまで笑っていた仲間を見た瞬間、彼女は切り殺されていた。
目の前の――悪魔によって。
持ち主の足跡には、仲間の血が滲んでいる。
その血の跡を見て、ウチは彼女の名を叫んだ。
何故こうなったのか。
現実で言うと、六時間前に遡る。




