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32鬼 擬態

瞬時に背後に回り込み、モンスターの首を掻っ切って行くメリー。

その姿はさながら暗殺者で、絶対に人形使いよりもそういう系統の職業を選択したほうが良かっただろうと思う。


「ふふふっ。こんなに簡単にレベルが上がるなんて、もしやアタイは探索者の才能があるのでは?」


「そうだな?」

「探索者の才能と言うより、むしろ暗殺の才能な気がするけど…………それでも別にいいか」


簡単にモンスターを屠ることができているからか調子に乗った様子のメリー。

更に次の獲物を求めて奥へと進もうとするのだが、それをあえて一旦待ってもらうことにする。

代わりに、


「それじゃあ、せっかくだし隠し部屋とやらを探してみるか」


「おお。いいじゃん。この間話は聞いたばっかりだし、憶えてるうちに調べちゃおうか」


俺たちは隠し部屋探しを行なうことにする。

この隠し部屋と言うものの存在は先日出会った激ヤバユニークスキル強奪系先輩探索者に教えてもらった。もちろん、探し方も一緒にだ。


「初心者用ダンジョンなのに、本当に隠し部屋なんてあるんすかね?」


「さぁ?あいつらはあるって言ってたけど」


「あいつら?誰の事?」


「ああ。そういえばメリーは知らないよな」


メリーに例の探索者の事を伝えつつ俺と増華で壁などにあるらしいスイッチを探していく。

結果として、ユニークスキル関連の事をメリーに伝え終わったあたりで、


カチッ

「おっ?」


俺の手が壁にあった突起を押し込む。

すると直後、ゴゴゴッと重い音をたてながら近くの壁が動いて、


「おおおぉぉ!!!開いた!ボス、お手柄!!」

「こんな風な仕掛けがあるんすねぇ」

「ちょっと~。メリー。先に行かないでよ」


隠し部屋が出現した。

そこまで大きい物ではなく、現れた部屋には宝箱がぽつんと1つ置いてあるだけ。


「人形を出しなさい!アタイが使ってあげるんだから!!」


最初に部屋へと侵入したメリーが、そのまま宝箱を開けようと手を伸ばす。

直後、触れる寸前に宝箱の方が勝手に蓋を開け、


「ギャアアァァァ!!!???何か出たぁぁぁぁ!!!????」


メリーに向かって飛び掛かる。

触れる寸前でメリーが転移してその宝箱の後ろに回り込んだから回避できたが、ダスト辺りが近づいていたらそのまま丸呑みされていたかもしれない。


「ミミックか」


「初めて見たね。あっちの難易度が高いダンジョンでは会わずにこっちで出会うことになるんて思わなかった」


当然ながらそんな宝箱は本物の宝箱ではない。

宝箱に擬態するモンスター、ミミックだ。


「メリー。大丈夫っすか?それ、モンスターみたいっすから離れた方が良いっすよ」


「これ、モンスターなの!?……でも、大丈夫じゃない?アタイ、後ろにいるし」


先ほどの動きから考えれば、ミミックの攻撃方法は噛みつき。

その箱のふたを閉じるようにして相手を挟む物。

であれば、どうにかなると思うのは分かるんだが、


「あれ?何だ無駄に蓋を大きく開けてない?……っ!?マズッ!?」


「範囲攻撃か。羨ましい限りだ」

「フレンドりファイアが怖いけどね」

「どうせなら、遠距離での範囲攻撃が欲しいっすね」


開いた宝箱から出てくる、絶対に当たったらケガをすると分かる針の付いた鉄球。

それは背後にいることなど関係なく、周囲のすべてに降り注ぎダメージを与えようとしてくる。

メリーだから背後に回り込めたが、メリーじゃなかったらあれを避けることは無理だっただろうな…………さっきも似たようなことを思った気がする。


「これが終わったらとどめを刺そう。ソーとチャックなら、これに刺さらずに済むだろ」


上から降ってくる間は近づかないが、吐き出すのをやめたら襲い掛かるつもりだ。

他のメンツは地面に転がっている物をふむとケガをする可能性があるが、俺や増華の場合はリビングメイルのお陰で踏みつける事さえしなければ恐らくダメージは受けないからな。


「でも、どうやって踏みつけないようにするの?歩いたら踏んじゃうんじゃない?」


「スリ足をしていけばいい。そこまで高く足を上げなくても移動はできるだろ」


「ああ。確かに。そんなので良いのか~」


と言うことで数秒後。

ミミックが吐き出すのをやめたので素早く2人で接近して武器で攻撃する。

俺は、正直言ってかなり久々に攻撃をした気がするな。


「最近は指揮をしたり道具を使ったりとかしてたから、少し感覚を忘れてるな」


「まだそういうことを始めてから1週間も立ってないのに?早くない?」


「今までは毎日やってたわけだし、そんなものだろ」


剣の振り方が以前より少し荒くなっている気がする。

使う機会は少ないが、訓練だけは毎日やっておいた方が良いかもしれないな。

…………どんどんやることが増えていく。


「で?ミミックだしドロップアイテムは期待して良いんだよね?」


「多分な。中身は宝箱のものと変わらないはずだ」


ミミックが出した鉄球を回収しつつ(安いけど売れるし、使いどころがあるという話も聞いたことがある)、俺たちはミミックが倒れた場所に落ちているアイテムを見つめる。

ミミックは宝箱に擬態していて、実は中には宝箱と同じようにアイテムが入っている。

隠し部屋の宝箱にあるアイテムと考えればそれなりにいいアイテムであることが期待できて、


「これは、スキルボール?」


「おお。大当たりじゃないか?」

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― 新着の感想 ―
スキルボール、、使い勝手がいいといいけど
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