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33鬼 人形になっちゃえ

スキルボール。

それは、使用すると中に込められているスキルを獲得することができるというとてもありがたいボールだ。


「使いたいところだが、中身が分からない以上誰が使えばいいか決められないな」


「えぇ~。私使いた~い!」

「アタイも~」


「わざわざ使わないスキルを獲得しようとするんじゃねぇよ。スキル1つあるだけでだいぶ違うんだからな?」


メリーと増華が、自分が使いたいと主張してくる。

自分の職業とかとかかわりが少ないスキルは手に入れにくい。それこそ魔法とかは手に入れられないわけだし、スキルが欲しい気持ちはわかるもののだからと言って与える気にはならない。


「そんなこと言ったら、俺だって欲しいんだが?」


「指揮する人がスキル取ってどうするの?」

「戦闘系のスキルとか使わないでしょ?」


「逆に指揮関係のスキルが入ってたらどうするんだよ!お前たちが獲得しても意味ないだろ」


バカなことを言ってきたので適当にあしらう。

そのまま、また少し探索を続けてメリーのレベル上げをした後に換金所に向かってついでにボールに入っているスキルが何か調べてもらうことにした。


「絶対アタイの使うスキルだね」

「いやいや。私のだよ」

「オイラのかもしれないっすよ~」


各々自分が使うスキルではないかと期待しながら結果を待つ。

結果として、


「こちら、『麻痺付与』のスキルボールになります」


「「「うぅん」」」


誰が獲得するのか悩むようなものとなっていた。

名前の通り今回手に入れることができるスキルは、相手を麻痺させるスキルだ。


「誰に適してるスキルって言いにくいスキルだな」


「つまり、アタイが獲得しても問題ないってこと!?」


「いや~。私とメリーは候補外じゃないかな?使うとすれば廻場かダスト。ボスも一応候補って感じじゃない?」


「確かに状態異常を付与出来たらテイムの成功確率が上昇するって話はあるし、麻痺を付与できれば俺にとっては有益かもな」


最有力候補が、回避を主に行う唐笠お化けの廻場。回避の際相手を麻痺させることができていればより簡単に対処できるようになるはずだからな。

さらにスライムのダストも同列だ。相手を捕食するような戦い方をするから、そこで相手を動けなくできるのは純粋に強化になるだろう。

そして次点で俺。テイムをするときに相手の状態異常を引き起こすことができれば成功確率が上がる。


「誰にするのが1番か。悩ましいところだな」




そこからしばらく話し合い。

結局のところ、


「フハハッ!見なさい!これがアタイの新技ぁ!!」


「メリーのテンションがぶち上がってるねぇ」

「今までなかった力っすからねぇ。理解はできるっす」


メリーが持つことになった。

全く候補に入ってなかったメリーが、だ。


もちろんこれには理由がある。

その理由の1つがメリーの攻撃の命中率にある。結局のところスキルも相手に使えなかったら意味がないため、相手の背後に回り込み確実に相手に使えるメリーが1番簡単に使えるのではないかと言う話になったんだ。

そしてさらに、


「右手を上げろ!…………おお!本当に上がった!アタイの命令が通じた!!」


「できるのか。これは予想外だな」

「思ったより職業の力って強いんだね」


メリーの職業とそれに伴って獲得したスキル。

それが関係していた。


人形使いとはそもそも、人形を扱うための職業である。

では、その人形と言うのはどこまでが対象になるのかと言うことが議論になることが多かった(ネット上で調べた限り)。

それこそ使ってみれば死体に効果を発揮するときなどもあるそうで、


「麻痺させて相手の思い通りに動くことさえできなくしてしまえば、人形遣いの力が通用するなんてな。生身の相手にも効果があるなんてチートじゃないか?」


「メリーだから、だよね?世の中の人形使いがみんなできることじゃないといいんだけど」

「もし眠扱えるなら、オイラたちみたいな他の職業はあんまり必要ないっすからね」


生身の相手。

つまり、生きているモンスターをそのまま操ることができてしまうということだ。これがものすごく強い。


「強い敵でも、麻痺さえ通用すれば味方にできてしまうんだからな」


懸念点があるとすれば、それは俺のテイムしているモンスターへの影響。

以前動画でゲーマーたちのテイマーのレベルのあげ方を見た時に感じたように、あまりモンスターを雑に扱うとテイムしているモンスターにも悪影響がある可能性があるんだ。さすがに今回の場合はテイムしてないモンスターを俺以外が操るわけだから問題ないとは思うんだが、


「反応とかは見ておかないとな~。好感度に影響が出ていそうだったらこのやり方はやめておいた方が良いだろう」


「どうかな?さすがにここまでボスが関わってなければ影響はないと思うけど」

「敵を操っているだけですからねぇ」


パーティーメンバーは問題ないだろうと言ってくれるが、俺は油断なんてできない。

俺は、ダストに反逆されるなんてことになったら嫌だからだ。身動きを取れなくされたうえでじわじわ溶かされていくとかあまりにも嫌すぎる!


「キャハハッ!いけ~!!アタイのために働けぇ!!…………あっ、もう麻痺切れた?じゃあ用済みだね」


何よりも怖いのは、今のメリーの動き。

モンスターを操り他のモンスターを襲わせ、麻痺が切れて動かせなくなったらサクッと処理して高笑いをしてる。


「…………どう考えても悪影響を与える光景なんだよなぁ」


「それは否定できない」

「オイラもダストたちの事は視ておくっす」

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