ご飯
案内された食堂には、きちんと整理された沢山の椅子と机が並べられていた。しかし、そこには自分たち以外は誰もいない。
「お食事はあちらにある配膳口から受け取れます。」
「あの、どうして自分たちの他に、人がいないのですか?」
「ここに収容されている方の多くが、人とできるだけ会わないことを希望されておりまして、食事時間をずらしているのです」
「そんな、引きこもりみたいな」
「私たちは能力を情報として国に提出していますから、生活は保障されているのです。狭い折の中ですが、ここでなければ生きられないものも多くいるのです。でも、私みたいに人と外の人と会う事を楽しみにしているものもいるんですよ」
お姉さんの笑顔は寂しげだった。
「貴方もここに収容されている方だったのですね」
「ええ、そうです。私には人の気持ちが見えるんです。だからそのお嬢さんにひどいことを言ってしまった。彼女、色が無いんです。最初は見間違いかと思いました。でも私の首を絞めた時...あんな色は見たことなかった。」
「そうだったんですか...」
「貴方はあのお嬢さんの付き添いで来たのですか?」
ん?そう見えるかな?
銃の彼女を膝の上に座らせる。んー。ちっちゃい。
「違いますよ。私の力に問題がありまして、この子今は、人の見た目をしていますが、元は人間じゃないんですよ」
「...は?」
「私の血には、不思議な力がありまして、血に触れたナイフとか銃に人になれる力を与えられるのです。多分家では皆が心配していると思うので早く連絡をつけないと」
ハハハ!!!
「いやーごめんなさい。そんな変わった能力もあるのですね!!どおりで彼女に色がなかったわけだ!! で、何家では彼女さんが待ってたりするの?」
膝の上の少女が”キッ”と振り向いて見つめてくる。どうした?お腹すいたか?
「いえ、私に彼女はいませんよ。なんていうか、家族と言いましょうか。そんな子たちがいるんです。みんな個性豊かで」
「あなたには帰りを待ってくれている人がいて、いいですね」
「ええ。自慢の子達です」
膝の上のお嬢さんがぐずり始めそうなので血をあげることにする。一度この力を持ってしまうと、失う瞬間の彼女を想像してしまい、悲しい。
指を切るのに刃物は使えないから、皮を噛み切って血を出す。口元に持っていくまでもなく、彼女に吸い付かれる。がっつくねえ。
何の説明もせずに始めてしまったからお姉さんがぽかんとしてる
「彼女たちは定期的にこうして私の血を補給しないと力を失ってしまうんです。」
「ご主人様、もっと♡」
回復力が高すぎてすぐに傷が塞がってしまったのだろう。もう一度傷を作る。もう彼女の瞳には傷から染み出す血しか見えていないようだ。
「おいひい」
「へーそんなにおいしいんだ。お姉さんにも一口くれない?」
「普通の人には多分普通の血と同じだと思いますが」
多分吸血中のお嬢さんは周りが見えていないから、開いているもう一方の手に傷を作って差し出す。
「一応言っておきますが、変な病気は持っていませんから」
フフ
「私も。 じゃあ失礼するね」
ペロ
「なんか普通。人の血ってもっと鉄臭いのかと思ってた。
私、初めて自分以外の人の血を飲んじゃった。」
「私も多分人に飲ませたのは初めてです。」
二人で笑い合って、今日のお昼も一緒に食べることを約束した。




