力自慢
あれから、ウサも皆になじんだようで今は楽しそうに話をしている。彼女は望んでそうしたわけではないが、自分の弱い所をさらけ出したことが良かったのだろう。なぜか話題が私の失敗談なのは悲しいが楽しそうなので許す。今日はキャンプ最終日。私一人では食べきれない肉は燻製にしたので食料には困っていない。最初はどうなることかと思った。こんなに沢山の刃物を山に持ち込んだことは無かったし、みんな個性豊かだから、反発し合うのではと心配もしたが、最終的には団結力を強めることにつながった。と思う
一番問題だったのは、トイレ。キャンプでは当然トイレなんてあるわけなくて、自分で掘らなくてはいけない。周りは女の子だらけだし、彼女たちは基本排泄をしないから、言い出すのが恥ずかしかった。
だから
「少し、お花を摘みに行ってくるよ」
と言ってキャンプを一人抜け出そうとした
「山菜摘みなら、みゃーの得意分野にゃ。ご一緒するにゃ」
とクロがついてくる。違うんです、トイレなんです。ユイ姉とアセッタが下を向いて震えていたから彼女たちは分かっている。絶対分かっていて笑いをこらえている!
「大丈夫だよ。少しで帰ってくるから、待ってて」
「何がいるか分からない森の中です。護衛に私が付きましょう」
ユイ姉、分かってて言ってるよね??トイレだぞトイレ
「大丈夫だよ」
「ユイ姉、ご主人様はそんなことは望んでいないのですよ。ここは穴を掘ることも前提に設計されている私が共に行きましょう」
「スコップ持ってるから大丈夫!!」
「にゃ!?山菜を根っこから抜いちゃだめですにゃ!!!」
ああああああもう!違うんだ!!!
結局オールラウンダーであるアイがついてくるということになった。彼女の刃は伊達に厚いわけじゃない。勿論穴を掘った後は5mほど離れて何も聞かず、考えず刃物に戻っていることを頼んだ。風下でしたけれど、リコあたりには気が付かれるんだろうなー。近づかないように言っておかないと。
一応、クロは山菜を取りに行ったと思っているはずなのでイワタバコの葉を持ち帰る。タバコって名前に入っているけれど、葉の形が似ているだけだ。季節がずれているから、おいしさは期待できない。
帰り道にアイがクルミの実を見つけた。私は初めてクルミの木を見た。立派で幹が人の胴体の二倍はあった。クルミはアイがスカートを持ち上げ、そこに出来たポケットにも入れきれないほど沢山あった。
ベースキャンプに戻ると
「お帰りなさいだにゃ!」
「ただいま」
「まあ、頑張ったようだにゃね」
主にアイさんが頑張ってくれました。森の中でも彼女がいれば安心して暮らせそうだ。
その後、彼女たちによる握力自慢大会で、持ってきた全てのクルミは砕かれた。いやあ可愛い女の子がニコニコしながら、その細腕でクルミを割っているのを見て、私も参戦したのだけれど、全く歯が立たなかった。落ち込んで中のクルミを食べるマシーンになり変わったら、クロがなぐさめるようにすり寄ってきてくれた。うううう。お前だけだよクロ。私を慰めてくれるのは
作者です。猫がすり寄ってくるのは自分の匂いを上書きするためらしいです。でも飼い主としては嬉しいものです。




