苦音
ドンドン。
窓を叩く音がした。
この冬、一段と冷え込みの厳しい夜。
車の中、張り込みの最中、相棒と二人でやつの部屋の灯りが消えるのを見た。
それを確認したと同時の窓を叩く音だった。
灯りをこっちに向けてきやがる、所轄の警官だろう、事情の知らない奴だ。
早くどこかに行け。
と、掌でここから立ち去るように振った。
灯りを消し、慌てて来た自転車で、元来た道を引き返していった。
現場も知らない奴はこれだから、と消えた灯りの部屋を再び凝視した。
フウと、一息ついて。
今日も動きがありませんね。
相棒はため息交じりで言った。
この張り込みを続けて何日経ったのだろうか。
情報屋に高い金を払ってまで仕入れたやつの居場所だった。
解決までは時間の問題とたかをくくっていたが、ことはそう順調ではなかった。
序盤はスムーズにことは運んでいたが、今ではもうほとんど動きはなく停滞していた。
仕方ないな、
もっと大きなため息を一つ、セリフを吐きながらついた。
脳裏には今までの苦労が蘇った。
あいつは凶悪犯だ、色々ヤバい奴と取引していて、裏社会ともつながっている、やがて政界にもその影響力が蔓延っていると言う。
そんな奴は俺達が、捕まえてやる。
いよいよ、奴との対決だ。
犠牲者は何人も出してきている、同僚たちも次々斃れていった。
そいつらのためにも必ず捕まえてやる。
寒いな、ところで、ヒーターは効いているのか?
エアコンの調節をさわったが一向に暖かくならない。
寒いし、今は何時だ、もうすぐ夜が明ける時間じゃないのか?
寒い、夜は明けないのか?
暗いぞ?
おい相棒、返事しろ!
おい?
・・・・。
朝日に照らされ路上に止められた車の周りには、所轄の警察の車がライトを点滅させながら、それを取り囲み現場検証をしていた。
(本部へ、遺体が二体、車の中で発見しました。)
(はい、性別は男性二人、後頭部に弾丸が撃ち込まれています。)
(ハイ、即死の様です。)
(一発づつです。)
(計二発。)
拙作に目を通していただき、誠にありがとうございます。




