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音ノ話  作者: 吉高 都司
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9/9

苦音

 ドンドン。

 窓を叩く音がした。


 この冬、一段と冷え込みの厳しい夜。

 車の中、張り込みの最中、相棒と二人でやつの部屋の灯りが消えるのを見た。

 それを確認したと同時の窓を叩く音だった。


 灯りをこっちに向けてきやがる、所轄の警官だろう、事情の知らない奴だ。

 早くどこかに行け。

 と、掌でここから立ち去るように振った。

 灯りを消し、慌てて来た自転車で、元来た道を引き返していった。

 現場も知らない奴はこれだから、と消えた灯りの部屋を再び凝視した。


 フウと、一息ついて。

 今日も動きがありませんね。

 相棒はため息交じりで言った。

 この張り込みを続けて何日経ったのだろうか。

 情報屋に高い金を払ってまで仕入れたやつの居場所だった。

 解決までは時間の問題とたかをくくっていたが、ことはそう順調ではなかった。

 序盤はスムーズにことは運んでいたが、今ではもうほとんど動きはなく停滞していた。

 仕方ないな、

 もっと大きなため息を一つ、セリフを吐きながらついた。


 脳裏には今までの苦労が蘇った。

 あいつは凶悪犯だ、色々ヤバい奴と取引していて、裏社会ともつながっている、やがて政界にもその影響力が蔓延っていると言う。

 そんな奴は俺達が、捕まえてやる。


 いよいよ、奴との対決だ。


 犠牲者は何人も出してきている、同僚たちも次々斃れていった。

 そいつらのためにも必ず捕まえてやる。


 寒いな、ところで、ヒーターは効いているのか?

 エアコンの調節をさわったが一向に暖かくならない。


 寒いし、今は何時だ、もうすぐ夜が明ける時間じゃないのか?


 寒い、夜は明けないのか?


 暗いぞ?

 おい相棒、返事しろ!

 おい?

 ・・・・。



 朝日に照らされ路上に止められた車の周りには、所轄の警察の車がライトを点滅させながら、それを取り囲み現場検証をしていた。


(本部へ、遺体が二体、車の中で発見しました。)

(はい、性別は男性二人、後頭部に弾丸が撃ち込まれています。)

(ハイ、即死の様です。)

(一発づつです。)


(計二発。)



拙作に目を通していただき、誠にありがとうございます。

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