表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたがりのミランダ  作者: 宝月 蓮
子供時代編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/34

毒を求めて

 両親を毒殺しようと決意した翌朝。

「最悪……」

 ミランダは鏡を見てポツリと呟く。


 ふわふわとしたピンクの髪に、真紅の目。一応可愛い方ではあるが気が強い顔立ち。

 鏡にミランダ(大嫌いなキャラ)が映っている。

 

「こんなの、死にたくなるに決まってる。オリヴィアお義姉(ねえ)様を虐げる義妹ミランダ(ゴミ)に転生だなんて」

 ミランダは自嘲した。

「まあ良いわ。どうせ近いうちに死ぬんだから」

 それだけがミランダにとっての唯一の希望だった。


「ミランダお嬢様、起きていらっしゃるでしょうか?」

 ヴォルケ伯爵家の使用人がミランダの部屋の扉をノックした。

 平民だったミランダをお嬢様扱いである。

 きっと使用人達も複雑だろうとミランダは予想する。

(私、そんな扱いされる資格ないのに……。私なんか……)

 ミランダは自嘲し、扉の外へ向かって返事をする。

「はい。起きています」


 ミランダはヴォルケ伯爵家の使用人達に手伝ってもらい、朝の身支度をした。

 ミランダの為に用意されたドレスは、一人で着ることが出来るものではないのだ。


「助かりました。皆さん、ありがとうございます」

「いえいえ。ミランダお嬢様、いきなり貴族になられたことに戸惑いはあるかもしれませんが、我々使用人にお礼は不用です。これが仕事ですから」

 使用人達はミランダを丁重に扱ってくれる。

 前世を含めて初めてそんな扱いをされたので、少し居心地悪く感じてしまうミランダ。

「お礼を言ってくださるなんて、オリヴィアお嬢様や亡くなられた奥様のようですね」

「……やはりオリヴィアお義姉様はお礼を言うんですね。流石はオリヴィアお義姉。オリヴィアお義姉様のお母様も、流石です」

 ミランダは使用人からオリヴィアの様子を聞いて表情が柔らかくなった。

 やはりオリヴィアは素敵な少女なのだと嬉しくなった。

 そんなミランダの様子を見た使用人達は、安心したように表情を綻ばせている。

(原作ではオリヴィアお義姉様に味方をする使用人達は解雇されてしまうのよね。確か来年……オリヴィアお義姉様が十歳になる年には、使用人が全員入れ替わる。この人達……解雇されてしまうのよね)

 原作を思い出したミランダは内心ため息をつく。

(きっと両親を殺したらオリヴィアお義姉様がヴォルケ伯爵家当主になる。そうなった場合、この人達は解雇されないはず。必ず両親毒殺計画を実行しなければ。私なんかが生きていても仕方がないんだし)

 ミランダはそう決意した。






☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨






 朝食を終えたミランダは早速毒のある植物を探しに、ヴォルケ伯爵家の屋敷近くにある山へ出掛けた。

 毒薬なども調べたが、手っ取り早く手に入るものはなかったのだ。

 ミランダが実行可能な毒殺方法は、毒のある植物を両親の食事に混ぜること。

 両親が絶命したことを確認した後、ミランダも毒のある植物を口にする予定だ。


(それにしても、見たことのない植物ばかり。流石は異世界だわ……)

 ミランダは植物図鑑と周囲に生い茂る植物を交互に見て真紅の目を丸くしていた。

 目の前に広がる光景が新鮮だったのだ。

(でも、そう簡単に強い毒がある植物って見つからないのね。このいかにも毒々しい見た目の花も、せいぜい下痢や軽めの食中毒を引き起こす程度だなんて……)

 ミランダは目の前にある紫と赤の縞模様の花を見てため息をついた。

 刺々しく毒々しい見た目にも関わらず、期待に反して弱毒性だったのだ。

 植物図鑑にも微毒としか書いていない。


 しかし、ミランダは諦めずに強い毒のある植物を探す。

「あった……!」

 ミランダは目の前にある植物を図鑑と見比べ表情を明るくした。

 見た目はそこまで毒があるように見えないが、少量を経口接種しただけで確実に死に至る。

「これで両親(クズ共)を殺せるし、私も死ねる……!」

 ミランダは表情を綻ばせた。

 まるで希望に満ち溢れた表情である。

 ミランダは毒性の強い植物に手を伸ばした。


「何をしている!?」

 その時、ミランダの手は後ろから何者かに掴まれ、毒性の強い植物を摘むことを止められてしまう。

「離しなさい!」

 ミランダは抵抗するが、その者はミランダの手を離そうとしない。

(もう! 一体誰なのよ!?)

 ミランダは苛立ちを露わにして背後にいる人物に目を向ける。


 ブロンドの髪に黄色の目。年はミランダと同じくらいの少年だ。

「あ……!」

 ミランダはその少年に見覚えがあった。

(ブライアン・ソイル……! オリヴィアお義姉様に婚約破棄を突き付けるクズキャラだわ……!)

 ミランダは『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』の内容を思い出した。


 ブライアン・ソイル。ヒロイン、オリヴィアの婚約者だ。年齢はミランダより一つ年上で、オリヴィアと同い年。貴族学園入学直前にオリヴィアの婚約者になるのだ。しかし、虐げられて見窄らしくなってしまったオリヴィアよりも義妹(いもうと)のミランダに目移りしてしまう。もちろんミランダもオリヴィアの婚約者となったブライアンを誘惑していた。その後ブライアンはミランダと仲を深め、貴族学園の卒業パーティーでオリヴィアに婚約破棄を突き付けるのである。


 ミランダは目の前にいるブライアンに対し、ミランダ(自分自身)同様嫌悪感を抱いた。

「お前が摘もうとしたその植物、強い毒があるぞ! 絶対に摘むな! 死ぬぞ!」

 ブライアンは必死にミランダを止めていた。

「だったら何なのよ!? あんたには関係ないでしょう!」

 ミランダはキッとブライアンを睨みつける。

(まさかブライアン(クズキャラ)に邪魔されるなんて……!)

 予想外の邪魔者の登場に、ミランダは戸惑いと苛立ちを隠せなかった。

読んでくださりありがとうございます!

少しでも「面白い!」「続きが読みたい!」と思った方は、是非ブックマークと高評価をしていただけたら嬉しいです!

皆様の応援が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ