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死にたがりのミランダ  作者: 宝月 蓮
子供時代編

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10/34

オリヴィアの魔力

 魔法薬学研究所に通うようになり、三年が経過した。

 ミランダは十一歳、オリヴィアは十二歳になったのだ。


(……やっぱり、自分のことを好きになれないわね。この顔を見たら、毎朝死にたくなるわ……)


 ふわふわとしたピンク色の髪に真紅の目。パッと見は可愛らしく、気の強そうな見た目。


 朝起きて、鏡に映る自身の姿を見て超大息をつくミランダ。

 転生当初より絶望感は薄れているものの、ミランダが自分を好きになれないことは変わらなかった。

(でも、それは関係ないわ。一番重要なのはオリヴィアお義姉(ねえ)様の幸せよ)

 それだけは変わらないミランダである。

(オリヴィアお義姉様はもう十二歳になる。『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』では十二歳の魔力判定でオリヴィアお義姉様は魔力なしと判定されて虐げられてしまうけれど、オリヴィアお義姉様を虐げる奴らはミランダ()以外全員追放したわ。エードラム伯爵家にいる限り、オリヴィアお義姉様が魔力なしと判定されても虐げられることはないと思うけれど……)

 原作情報を思い出し、ミランダは心配になった。


「おはよう、ミランダ」

「オリヴィアお義姉様、おはようございます」

 エードラム伯爵家の使用人に手伝ってもらい、身支度を終えたミランダ。

 オリヴィアの姿にうっとりと真紅の目を細める。


 艶やかさが増した絹のような銀色の髪。陶磁器のようなきめ細やかな白い肌。神秘的な紫の目。


(うぅ……! 眩しい……眩しいわ……!)

 三年前よりもオリヴィアの美しさは増していると感じるミランダ。

(それに、オリヴィアお義姉様は魔法薬学研究所に通い始めてから論文やレポートも多く提出しているわ。まだ魔力開花していないながら優秀だと研究所の方々にも評価されている。ああ、やっぱりオリヴィアお義姉様は素晴らしいわ!)


「さあ、ミランダ、早くダイニングに行きましょう。お祖父(じい)様とお祖母(ばあ)様も待っているわ」

「はい!」

 ミランダはオリヴィアに手を引かれ、ダイニングへ向かった。


 ミランダはエードラム伯爵家の血を引いていない。

 エードラム伯爵家はオリヴィアの実母の家系である。

 オリヴィアの祖父母、先代エードラム伯爵夫妻アンブローズとヴェロニカは、身寄りがいなくなった当時九歳のオリヴィアと共にまだ八歳だったミランダも引き取ってくれたのだ。


 元々は平民だったミランダ。しかしミランダの実母がオリヴィアの生家ヴォルケ伯爵家当主の愛人だった。

 オリヴィアの実母が亡くなってからミランダは実母と共にヴォルケ伯爵家に迎え入れられたのだ。

 そこでオリヴィアと出会い、ミランダは前世の記憶を思い出す。


 この世界はミランダが前世で夢中になっていた『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』の世界。

 物語のヒロインはオリヴィアで、ミランダは彼女を虐げる義妹(いもうと)だったのだ。

 しかし、前世の記憶を思い出したミランダはオリヴィアを守ることを決意。何とミランダは、ヴォルケ伯爵家の脱税や違法薬物の取り引きの証拠をブライアンの父ソイル侯爵に渡し、ヴォルケ伯爵と後妻としてやって来たミランダの実母を逮捕、処刑まで持って行ったのだ。

 それ以降、ミランダはオリヴィアと共にエードラム伯爵家で生活している。


 アンブローズとヴェロニカは、エードラム伯爵家の血を引いていないミランダのことも実の孫娘オリヴィアと同様優しく、時に厳しく教育してくれていた。

 生きるのに必要な知恵を授けてくれているのだ。






☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨






「ミランダ、今日の予定は覚えているわよね?」

「ええ、もちろん覚えておりますわ!」

 朝食後、オリヴィアに話しかけられてミランダは力強く頷いた。

(今日はオリヴィアお義姉様が神殿で魔力判定を行う日。オリヴィアお義姉様は光の魔力を秘めているのだけれど、原作では魔力なしの判定がされてしまう。でも、私が原作シナリオを盛大にクラッシュさせたからどうなるのかは分からないわ。でも、とにかく私はオリヴィアお義姉様を見守るのよ!)

「ミランダが神殿までついて来てくれるだなんて、何だか嬉しいわ」

 オリヴィアはクスクスと鈴の音が鳴るような声で、楽しそうに笑っていた。

(オリヴィアお義姉様……まるで地上に舞い降りた天使だわ……! 穢れを知らないその姿、ああ、何としてでも守りたい……!)

 ミランダの胸の中にときめきが止まらなかった。






☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨






 タフマ王国の貴族は魔力を持つ。そして貴族に生まれた子供達は、十二歳になると魔力が開花する。

 何の魔力を持つか、神殿で判定してもらうのだ。


(オリヴィアお義姉様の魔力判定……)

 オリヴィアと共に神殿に来たミランダはソワソワとしていた。

「いよいよオリヴィアも魔力開花か」

「どんな魔力か楽しみですね、アンブローズ様」

 ちなみにアンブローズとヴェロニカもオリヴィアの付き添いに来ている。

 二人は落ち着いているが、オリヴィアが何の魔力を持つのか少しワクワクしている様子だ。


 オリヴィアは目の前にある水晶に手をかざす。

 すると、水晶は神々しく眩い光を周囲に放った。

「きゃっ」

 オリヴィアはその眩しさに思わず目を瞑ってしまう。

(うっ……! 眩しいわ……!)

 オリヴィアを見守っていたミランダも、周囲の者達もその眩しさに目を瞑る。


「これは……光の魔力でございます!」

 魔力判定に携わる神官が目を大きく見開きながらそう言った。

「何と珍しい……!」

「光の魔力……この地に降り立った女神様と同じ魔力……!」

 他の神官達も騒めいている。


「オリヴィアに光の魔力が……!」

「確かに、エードラム伯爵家を数代遡れば、光の魔力を持つ方がおりましたわよね。世代を隔ててオリヴィアに光の魔力が現れるなんて……!」

 アンブローズは驚いている。ヴェロニカは驚きつつも冷静だった。


 魔力には、光、炎、水、風、土の五種類ある。その中でも特に光の魔力は希少なものだ。光の魔力には、外傷の治癒能力、心を癒す力、闇や魔獣を祓う力があるのだ。


「オリヴィアお義姉様!」

 ミランダは気付けばオリヴィアの元へ駆け出し、抱きついていた。

「ミランダ……!」

「凄いですわ! オリヴィアお義姉様、光の魔力に目覚めたのですね!」

 ミランダの表情は明るかった。

(まさかオリヴィアお義姉様が十二歳で光の魔力に目覚めるなんて……! 本当に良かった……!)

 ミランダはまるで自分のことのように嬉しかった。そして、ふと原作のことを思い出す。

(そういえば、『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』では、光の魔力が目覚めるには条件があったわ。その条件は、身近にいる誰かから愛されること。読んだ時最初は何じゃそりゃって思ったわね。……原作のオリヴィアお義姉様は長年家族から虐げられて愛されなかった。でも、ルシアン様に出会って愛されて十八歳で光の魔力が発現した。今のオリヴィアお義姉様は、アンブローズ様とヴェロニカ様に確かに愛されているわ。だから十二歳で光の魔力が覚醒したのね)


「ミランダ、少し苦しいわ」

「あ、ごめんなさい、オリヴィアお義姉様」

 オリヴィアの言葉にハッとするミランダ。オリヴィアに強く抱きついていたようだ。

 ミランダは慌てて体勢を戻す。

「ミランダ、少しお転婆が過ぎるぞ」

「まあまあ、アンブローズ様。元気があることは良いことですわ」

 苦笑するアンブローズに対し、ヴェロニカはおっとりと微笑んでいた。

「まさか(わたくし)に光の魔力があるとは……!」

 オリヴィアは自身の魔力に驚き、紫の目を大きく見開いていた。

「本当に凄いですわ、オリヴィアお義姉様」

 ミランダはパアッと明るい表情でオリヴィアの手を握る。

「光の魔力タフマ王国では希少な魔力だ。有効に使いなさい」

「オリヴィア、この先お仕事をするにしてもどこかにお嫁に行くとしても光の魔力があれば引くて数多よ」

 アンブローズとヴェロニカはそう微笑んでいる。

(十二歳で光の魔力に目覚めたオリヴィアお義姉様、これからどんな未来が待っているのかしら? きっと輝かしい未来であることは間違いないわ!)

 ミランダは真紅の目を輝かせ、ワクワクとしていた。

読んでくださりありがとうございます!

少しでも「面白い!」「続きが読みたい!」と思った方は、是非ブックマークと高評価をしていただけたら嬉しいです!

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本日はここまでの投稿とします。

次回はまた明日投稿です。

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