82.ついに遭遇
「見えてきました!あそこです!」
そう言ってサーシャが指差した先にはちゃんと人のいる村があった。面積的には小さそうだが、建物の数は断然こちらの方が多い。ただ、どこも窓やカーテンが閉じられており全体的に活気がない。
「ギリギリだけど間に合ったわね」
「だな。でも、やけに静かなのが気になる」
「確かにそうですが、その前に今日の寝床を探す必要がありますよ。もう夜になります。リルさんの発言からしても今日は野宿ではない方が良いかと」
ああ、言われてみればそうだ。いくら移動したとはいえ近いことにかわりはないし、リスクは低いほうがいい。それに、お姫様たちを野宿させるわけにはいかないからな。そんな経験あるわけないだろうし。
「まぁ野営は何回かやったことあるからどうしようもなければ仕方ないけど」
あるそうです。なんで?
「なにがどうなってそんな事態になったのよ……」
「若気の至りってやつ?」
「今も十分若いでしょうが」
「えへっ」
チクショウ可愛いなこいつ!可愛さに免じて誤魔化されてやろう。
「とりあえず誰かに聞いてみるか」
「そうね。闇雲に探しても時間の無駄だし」
活気がないとは言ったが全く人が通らないわけではないので、たまたま通りかかった人に話を聞いてみる。初老にさしかかった頃だと思われる見た目の男性だ。
「すみません。この近くに泊まれる場所はないですか?」
「君たちは、他所から来たのかね?だとしたら運が悪い。今ここは非常事態でね、宿はもちろんのこと、食料すらろくに手に入らないんだ。悪いことは言わないから早く別のところへ行きなさい」
「非常事態ってどういうことですか?外は特に何もありませんでしたが」
「アレは突然現れるんだ。何もない今のうちに行きなさい。すまないが、私もやることがあるんだ。ではね」
「あ、ちょっと!」
「行っちゃったな」
「アレってなんなのかしら」
「もう少し非常事態について知りたいところだな」
まだ一人にしか話を聞けていない。判断するには情報が足りなすぎる。かといって手分けするのも危険だ。
「サーシャさん達は何かご存知ですか?」
「分からないです。すみません」
「私も特に覚えてないなー」
「そうですか……」
ルーシャとアリスも情報が無いことには動けなさそうだ。
かなり手詰まりだし、いっそのことローラー作戦でも提案しようかと思ったその時。
「サーシャ……?」
「え?」
誰かに声をかけられたサーシャが振り向き、そして硬直した。隣にいたミーシャも驚いている。
声をかけてきた相手を見ると、白い髪に青い目をした女性がいた。歳は四十くらいだろうか。なんとなく、サーシャとミーシャに似ている。
……まさか。
「「お母さん!」」




