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ラストチャンス  作者: 花染
プロポーズから始まる恋愛も良いかもね
2/9

1

私はアルトにつられて、一件の小さな家に入っていった。どうやら此処がアルトの家らしい。

うん。なかなか悪くない。独り暮らしのくせに一戸建てのマイホームって、アルトは、何歳なのだろうか?


「アルトって、何歳?」

「は?18だけど?」


ほぼ変わらなかった。

どうやらこの世界は、15歳を過ぎたら家から追い出され自給自足の生活をするらしい。

アルトはギルドで働いて稼いだお金で、この家を買い、遣り繰りしているらしい。


どれだけ私が楽しているかが解る。

朝、ギリギリまで寝てお母さんが作った弁当を受け取り学校に行く。

そして、部活をして夜遅く帰ってお母さんが作った晩ごはんを食べて、お風呂に入って寝るだけ。


親に言えば、お金も貰ってたしお小遣いもあった。家に帰れば何時もご飯があった。


けど、アルトたちはちがう。


「アルトって、凄いだね」

「凄い?このぐらい普通だ」


確かにこの世界では、普通。

でも私とは全然違う生活。


「うんん、凄いよ。

出会ったのが、アルトで良かった。ありがとう」


っと言っておこう。

むかつくやつだけど、普通此処まで面倒を見てくれるやつなんていないからね。実は良い奴かもしれない。だからほんの少しだけ感謝はしているから、お礼を言いたかっただけ


アルトは、頭をぽんっと叩いた後、ガシッと掴み


「気持ち悪いな。眠たいのか?腹が減ったのか?」

「アルトこそ」


っと微笑んだ。アルトは、台所に行きリンゴを投げる。


「飯だ」

「えええ!?」

「ッフ、冗談だ」


っとアルトは、笑う。

いやはや、本気にしたよ。ダイエットしろって言われるかと思った。いや実際にダイエットしないとダメだけど…こいつに言われるとむかつくだよね。うん、だけどリンゴは食べる。


「なんかむかつくから、これで良い」


っとリンゴを一かじり、シャリッと音をたて、ゆっくりとリンゴを食べ終わりお風呂に入って私は寝た。いや、正確には寝たふり


それは、ただ寝るのが、怖かったから。


「帰れるのかな?」


もしかしたらこれは、私が死ぬ前に見る夢かもしれない。

目覚めたら、もう死んでいるかもって考えるだけで、吐きそうになる。


「寝れないのか?」

「うん。ねぇアルト、あの時言いかけたのって何?」

「…………

貴様が異世界人って事は俺たちとサブレットおばさんの3人だけの秘密だ。


もし、初めて出会った異性が俺だと他の奴らにバレたら“殺される”かもしれないからだ」

「どういう意味なの?」

「はぁー貴様はやっぱりバカだな。


異世界人は、1000年に一度来るって言ったよな?」

「うん」

「この世界にとって異世界人は、不幸の訪れと言われ、殺すことが決まりなんだ。いわば、貴様は“生け贄“って訳だ」

「うそ…」


私は、自分の世界に見捨てられたってわけ?


「………心配するな。俺が守るから感謝しろよ」


っとアルトは、立ち去った。

私は、借りたベッドにうずくまり目をとした。


そして、気づいたら朝になっていた。寝れたんだ。


「…………」

「おはよう」


挨拶する元気すらない私の目の前にハムと卵、キュウリにトマトをパンに挟んだサンドイッチとミルクたっぷりのコーヒーをおく


「食べろ」

「いらない」

「昨日の事で落ち込んでいるのか?」


アルトは、私の隣に座りじっと私を見ながらサンドイッチを食べる


「昨日言ったよな?貴様は俺が守るから、心配するな。今は食べろ。今日は、サブレットおばさんのところで働くだろ?


そんなに細い体してるんだからすぐにばてるんだだろうな」


アルトは、私の手を掴みパンを持たす。欲しくない。でも、そう思っていてもお腹はなる。


考えてみれば、昨日はリンゴだけだもんねお腹空くよね。


「………」


私はサンドイッチを口に運ぶとアルトは、優しく微笑み頭を撫でる。


「良い子だ」

「子供扱いしないで」


悔しいぐらいにアルトが作ったサンドイッチが美味しい。

てか、マジで美味しい。コーヒーも


「なんか、むかつく」


サンドイッチを食べ終え私はサブレットおばさんの所へ向かった。


「ハナ、これが此処の服だよ」


っと渡されたのはまるで不思議の国のアリスのような可愛い服。確かに可愛い。でも、着るのが恥ずかしい。


「ハナはマリーと一緒にバスケットで、パンを売るんだよ。マリー、ハナに教えてあげるんだよ」


よし、仕事だ。

頑張るぞ!!


私は、バスケットを持ちマリーと一緒にパンを売る事になった。この世界はどうやら、パンはこうやって売るらしい。うん、うん積極的だね。


「マリーさん、パンを下さい」

「はい、どうぞ」


っとメロンパンを渡しお金を受けとる。あれ?金額を言わなかったしパンって自分で選べれないの?なんとまー自己中な


「あの、マリーさん。パンの金額ってどうやって覚えれば良いですか?」

「え??パンの金額は、お客様の気持ち次第だけど?」


お客様気持ち次第っか……ん???って事はこのフランスパンが1円とか1000円とかになるってわけ?そんな馬鹿な。


「お客様に幸せを分けるって事で、お客様がハッピーになれば、それだけのお金を受けとるの。当然同じものでも日にとっては売上高が違うわ。


さぁ、ハナさん笑って笑って!」

「笑う?」

「笑っていれば、お客様もハッピーになるでしょ?」


あ、そっか、笑おう。笑う?スマイル?口角を無理にあげてみるけどピクピクするだけど?


この笑顔でもいいの?良いだよね?


「パンを下さい」

「はい」


っと振り向き私は無理な作り笑顔でパンを渡す。

うん、うん私にしては上出来の笑顔。初めてパンが売れたよ。お母さん!


「っひ!あああああありがとうございます」


どんだけ、動揺してるだよ。しかも、走っていったしね。っと思いつつ渡されたお金を見ると10円だった。


「…………」

「あらまぁ…」


パンが10円って笑うしない。え?10円??可笑しい。ちゃんと微笑みながらパンを渡した。パンは美味しいよね?じゃあ私に問題が?


私は、窓ガラスごしにうつる、私を見る。そして、笑う。


「…………

うん、10円貰っただけでも奇跡だね!」


うん、普通に恐い。

お化け屋敷で、働けるよ。ホラーだ。ホラーよ。


「パンを下さい」

「あ、はい!」


っとまた来た客にパンを無駄な笑顔で渡す。そして、客はお金を私に渡し走っていった。


なんとまーそれ5回繰り返して、お金は全部で100円


正直心が居れる。


「マリーさん。笑顔って何?どうやってすれば良いだよ!?皆逃げていくよ?私を避けていくよ?え?わらうなってこと?」

「ハナさん落ち着いて?ね?きっと皆なれるからね?」


私ではなく客か。客が慣れたらいいのか?

そりゃあさ、マリーさんは、顔も性格も可愛いし笑顔が素敵だし服も似合ってるし

スタイル良いし、マリーさんから貰ったパンなら何個でも食べれそうな気がするし


「パンをくれ」

「あ、はい」


っと微笑みながら振り向くとアルトだった。


「何か悪巧みをしそうな笑みは止めろ」

「否定は出来ないけど、黙れ」


むかつくアルトには、あんパンをあげよう。っとパンを渡す。渡されたお金は、5円


5円かよ。知り合いだから期待したのに5円って


「酷い!」

「貴様の笑みがな」


っとあんパンを食べながら立ち去った。あーもうムカムカする。殴りたかった。


「そろそろ休憩にしょうか…私、ジュース買ってくるね」


っとマリーさんは何処かに行った。

座るところでも探そうか。彼処に公園があるからそこで待っとこう。


「きゃああああ!!!」


ん?マリーさんの声?

嫌な予感がする。

私は、慌てて声がする所へ向かった。

其所には、男に囲まれているマリーさんがいた。


「おい、マリーどうしてくれるんだよ?俺様の服が汚れたんだぞ?それで、ごめんなさいって済むかよ!?」

「すみません、すみません!」

「素直にすれば、こんなことにならなかったのになー」


これは、ヤバイ。

どうしようか。殴るか蹴るか、どっちが効率が良いのだろうかって、悩む前に走って一人の男に目掛けて飛び蹴りをすることにした。

そして、華麗に仁王立ちをして


「嫌がっているでしょうが!


あんた、アホ?アホなの?マリーさん、怖がっているんだよ?」

「いってーな!このブス!」


ブス?うん、聞き捨てならない言葉を聞いたよ?

よーし!こいつら全員死刑だ。

正義感とかはない。単なるこいつらがむかつくから、イライラしていたから

私は、指をならした。


「今、何て言った?」

「あ?うっぜーだよ。ブス!」


二回目。

私は、微笑みながら一人の男にストレートパンチをする。相変わらず何処かの漫画のようによく飛ぶな。


「誰がブスだって?可愛い女の子に何言ってるの?え?何?あんたら死にたいの?」


私は、何にかを言おうとする男の喉仏の下を指で思いっきり突く


そして、マリーさんの手を握り走ってその場を後にした。


「大丈夫?マリーさん」

「ええ。ハナさんって強いのね」

「そうかな?」


怖かった。だなんて言えないよね?私の役割は何時もこんな感じ。暴力女とか、不良に紛れてタバコとか吸っているだろうとか、言われてさ。


皆、私を恐れて避けるんだ。きっとマリーさんも避けるんだろうな。


「ハナさんって格好いい女性だよ」


っと可愛い笑顔でマリーさんは、微笑んだ。うん、うん本当の可愛い女の子が笑った顔は可愛い。

私が格好いいだなんて、言われたことがない。少しだけ嬉しいから


「マリーさんは、可愛い女性だよ!萌だよ!萌え!胸キュンする!」


っと抱き締めた。


「ありがとうございます」


マリーさんは、私の頭を撫でる。

初めて会った人にこんなスキンシップは、普通は引くのにマリーさんは笑顔で、受け入れる。マリーさん、天使だ!

パン屋の天使!女神様はサブレットおばさん!


私、恵まれてる!


仕事も終わり家に帰る。そして、アルトに伝えたい事を言ってみる。


「アルト!」

「何だ?」

「私、恵まれてる。アルトに出会って、そしてアルトのお陰でサブレットおばさんに出会えて、パン屋に働ける事になって…」

「何が言いたい?」

「要するに私は、生け贄ではなくて“神様がくれた生きるための最後の選択で、生きる最後のチャンス”をくれたんだよ」


私は、そう考えることにした。




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