第一話 これが始まり
とにかくいきます!
「母さーん、ただいまー!刹那もいるー!」
「お邪魔します」
「はーい」
玄関まで行くと、爽耶のお母さんの彩音さんが出迎えてくれた。
「あらぁ、刹那くんじゃない。いらっしゃい。相変わらず別嬪さんねぇ」
「こんにちは。出来れば最後の言葉は要りませんでした」
「うふふ、そんなこといっちゃってー。照れてるんでしょ?」
「……ハァ」
思わずため息をもらす。が、相変わらず彩音さんは、そのふわふわの髪を揺らしながら、ずっと上品にニコニコ笑っている。
正直、この人のことは苦手だ。
彩音さんは物凄くおっとりしていて、天然だ。だからか、俺が嫌がっていることに気付いてない。多分、こういうところが爽耶に似たんだろう。
だが爽耶と違って、この人はおっとりしていて、更に天然だから扱いづらい。
だからこの人のことは苦手……いや、嫌いだ。
「そんなことより母さん、あれ届いた?」
……爽耶に“そんなこと”で片付けられた。後で殴ろう。
は
「ええ、ちゃんと届いてるわよ。部屋に置いておいたから、見てらっしゃい」
「マジで!?うしっ、刹那!早く行こうぜ!」
“分かったから腕を掴むな”と言おうとする前に、俺の腕は既に掴まれ、思いっきり引っ張ろうとしていた。
「おい!引っ張ろうとするんじゃねぇよ!」
「んな細かいこと気にすんじゃねぇよ!」
「細かくねぇし!」
そんな俺の言葉は爽耶には届かず、俺は二階の爽耶の部屋へ無理やり連れて行かれた
チラッとしか見えなかったが、何故か彩音さんは微笑ましそうに笑って見ていた。おい、お前の息子の幼馴染が、お前の息子のせいで心底困っているのに、何で助けないんだよ。
そんな俺の心の声が聞こえるはずも無く、俺はまた一つ、ため息をはいた。
…………
「い、いくぞ?」
「何、緊張してんだよ。さっさとしろよ」
「お、おう。じゃ、じゃあいくぞ!」
この会話であっち系の話だと思う奴は、所謂“腐女子・腐男子”の方々だろう。
だが、実際は違う。
今、俺達がやろうとしているのは、抽選で当たったノットリミットアドベンチャー……NRAが入っている箱を開けようとしているだけだ。
だが、いざ開けようと言う時に、何故か爽耶が“うわっ、緊張すんなー”なんて言い出し、何時までたっても開けようとしない。面倒くさいことに。俺は、もうとっくに開けてんのに。
一つの箱のなかには、右側から複数のカラフルなコードが繋がっており、後ろ側からはコンセントが伸びている四角い機械……ゲーム機の方の本体と、○や×といったボタン等が取り付けられたコントローラー、文字がびっしりと書かれていそうな、縦25cm、横20cm程の説明書、そして、ゲーム機と同じように右側から複数のカラフルなコードが繋がっている、謎の球体が入っていた。
もう一つの箱には“ノットリミットアドベンチャー”と書かれた、データが入っている方の本体が入っていた。
正直、ゲーム機の本体は持っていなかったので、本当に有難い。データが入っている方の本体だけ持っていても、ゲーム機自体が無くては本末転倒だからな。
この謎の球体の様なものと、四角い機械から出ているコードは、数も色も同じだから、きっと繋げるものだろうと推測する。
とりあえず、説明書を見ながら全部繫げてみる。
爽耶も俺の隣でせっせっとしていたらしく、せーのゲーム機の電源を入れる。
そして、ゲーム画面に出てきた“スタート”と書かれた枠を、○ボタンでクリックする。
すると俺の視界は段々真っ暗になっていき、視界がブラックアウトする頃には、俺の意識は朦朧としていた。
そしてついに俺の体は床に倒れ、意識が途切れた。
前より短くなりました……。
すいませんでした……。




