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桜魂×影縫 第1章第1話 縫われた光、咲く影

春の夜風が、まだ冷たかった。

福田朋広は杖をつきながら団地の外階段を降り、満開の桜を見上げる。

足元の疼きはもう慣れたものだったが、胸の奥の違和感だけは薄れない。

あの日、桜雨の交差点で助けた“誰か”の面影が、まだ夢に出てくる。


夜風の中、ふと感じた。

桜の花弁の間に“縫い目”のような影が揺れていた。

人の気配もないのに、どこかの視線が重なっている。


「……あの夜と、同じ感じや」

そう呟いた瞬間、周囲の空気が一瞬だけ凍る。

次の瞬間、背後に現れたのは、黒いコートを羽織る男。

クロト――名を聞く前に、彼の瞳が朋広の“心”を視た。


「……あなたの中に、封じられた呪素がある」

「なんやそれ? オカルトか?」

軽く笑って返したが、胸の奥がざわついた。

クロトの言葉は、なぜか“思い出してはいけない何か”を刺した。


花びらが光の粒となり、二人の間で舞い散る。

その瞬間、朋広の手の甲に“桜色の縫い紋”が浮かび上がった。


「これは……」

「呪素の共鳴。あなたが“救った想い”が形になったんだ」

桜と影、光と縫目。二つの世界が、静かに重なり始めていた。

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